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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論516」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第14号(2004.9.25発行)「進化するフロントオペレーション」9~※名称等は当時、一部文章省略

2.ケーススタディ(先進的フロントオペレーション)

フィットネスチーフがフロントリーダーを兼ねて集客力と定着率を強化(スポーツクラブエスタ)

スポーツクラブエスタでは、近隣に競合クラブが増える中、将来への危機感を抱き、見学入会率を高めるための新しいセールス体制を模索していた。
そんな中、同クラブのマネージャーであるT氏が2003年のHFJで林佳範氏の講義を聞き、その考え方に共感、クラブに同氏を招き、スタッフ全員で研修を受けることを決めた。
当時、既に同社では「セールスはスタッフ全員の仕事」という意識は醸成できつつあったが、それを形にするオペレーション体制が構築できていなかった。
そこで、その研修を機に新しい体制を構築することも目標に置いた。

研修に先立つこと約1ヶ月前にスポーツクラブエスタ3店舗それぞれに「フィットネス改善チーム」と「テニス改善チーム」を編成、それぞれフィットネスチーフがチームリーダーになり、フロントスタッフをチームメンバーとした。
そして、研修までの間にチーム毎に過去のデータを分析して問題点を抽出、マニュアルを見直すなどして研修に備えた。

林氏の講義は「お客様にとっての問題をいかに引き出し、クラブがどのようにそれを助けるか」を重視した内容であった。
参加したスタッフもこの考え方に共感。
セールス力を高めるというよりも、お客様にとって相談できる存在になることやその相談の深さが重要であることを再認識した。
そして講義後それぞれのチームリーダーを中心に、見学者の受け入れ態勢や再構築が進められた。
ハード面では、まずフロント近くに「相談できる場所」を確保。
ソフト面ではフロントスタッフもフィットネスに関する相談にも乗れるようにと、体組成測定器の操作や結果の見方を勉強、館内案内もマニュアルを手直しするだけでなく、ロールプレイも行うようになった。
お客様に相談して貰えるようにするにはどのようにコミュニケーションすればいいのか、それぞれのお客様が抱える問題に対してどんな提案をしたらいいのかといったことをお互い話し合い、練習しながら習得していった。
さらに、相談形のセールスをする以上は入会後のフォローもきめ細かくする必要があるということになり、入会後2~4週間に渡って利用頻度をチェックし、利用頻度が利用可能日数の3割を切らないように、早め早めにメンバーとのコンタクトを取るような体制が取られるようになった。
例えば1週間で5日利用できる平日会員であれば、その3割である週1.5回の利用を下回らないように来館時や電話などでコミュニケーションを取る態勢が、それぞれチーム毎に工夫して作られていった。

そのようにフィットネスやテニスのチーフを中心にフロントの入会促進のオペレーションを再構築した結果、研修を受けた次の月から効果が出始め、研修前は平均入会率が47%だったものが、1ヶ月後には60%にまで高まり、その後もさらに高まってきている。
T氏は「林氏の研修によって、スタッフがメンバーの相談に乗ることの重要性を再確認できて、目指す先を一致することができたことが良かったと思います。また、フィットネスやテニスチーフをリーダーに具体的な態勢づくりやコミュニケーションの練習が進められ、フロントスタッフが自分でメンバーの相談に応えられる力が付けられたことで、スタッフも仕事に面白さややりがいを感じて取り組んでくれるようになりました。」と話す。
今後はさらに入会後の利用状況を分析しながら、入会後も含めて本当の意味での「相談できるクラブ」になり、顧客との関係性を強化していきたいと話す。

~ここまで~

セールスの仕組みを再構築する中で、定着に関しても連動するよう変化を加えていったという事例ですが、その連動させる意味は大きいと思います。
ただ当社ではさらに一歩進めて、定着を起点にセールスの仕組みを整えるという点で考え方を順序逆にしております。

つまり川上を変化させるために川下も合わせるということではなく、川下に合わせて川上を変化させるという考え方になります。

そうすることで、環境に合わせて施策が変わることがあっても、定着志向経営という根幹は揺るがないものになると思われます。

本日もお読みいただきありがとうございました。

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