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6月13日(木):サービスの品質マネジメント⑤

今週は私が担当しているフィットネスクラブ・マネジメント技能検定のテキスト執筆に関連したことを記しています。

先日はサービスの品質管理について説明し、連携ダイアグラムのサービスブループリントを用いることでサービス(顧客体験)の見える化のことを、続いて顧客満足の見える化に触れました。

これら顧客体験や顧客満足を見える化することで、サービスの定義や測定につながり、そこから改善を進めていく道筋が出てきます。

一方でサービスは人を介して提供するため、働き手の心理や組織全体の文化もそこに影響を及ぼすことから顧客側だけでなく、それを提供する内部側にも目を向ける必要があります。

そこで昨日はサービス・プロフィット・チェーンのことに触れながら、顧客満足の起点が従業員満足に置かれ、高い従業員満足がモチベーションや組織へのロイヤリティとなり、それが高いサービス品質へとつながっていく、との考え方を示しました。

こうした働き手の満足や環境設定に着目する流れは強まっていて、以前にもこのnoteで記したサービスデザイン協会が提示する「サービスデザイン原則」でも2017年にアップデートがなされ、原則のひとつが従来の「ユーザー中心」から「人間中心」へ置き換えられた通りです。

なおサービスデザイン原則は以下のようになっています。

1、人間中心
サービスの影響を受けるすべての人のエクスペリエンスを考慮する。

2、共働的であること
サービスデザインのプロセスには多様な背景や役割を持つステークホルダーが積極的に関与しなければならない。

3、反復的であること
サービスデザインは、実装に向けた探索、改善、実験の反復型アプローチである。

4、連続的であること
サービスは相互に関連する行動の連続として可視化され、結合されなければならない。

5、リアルであること
現実にあるニーズを調査し、現実に根差したアイデアのプロトタイプをつくり、形のない価値は物理的またはデジタル的実体を持つものとしてその存在を明らかにする。

6、ホリスティックな視点
サービスはサービス全体、企業全体のすべてのステークホルダーのニーズに持続的に対応するものでなければならない。

前述した「ユーザー中心」から「人間中心」へのアップデートはユーザー中心の顧客第一主義で物事を考える従来の視点に対して、サービスの影響を受ける「すべての人のエクスペリエンス」を考慮する方向への転換です。

当然ながらここには提供者側の経験も含まれおり、それもあわせて人間中心に考えていくことの必要性を示唆しています。

ユーザーにとって良いサービスの形であるのはもちろんのこと、それとあわせてサービスを担う提供者側にとっても望ましい形や関係性をデザインしていくことが求められる時代だといえるでしょう。

その他、昨今はサービスや小売りの現場でカスタマーハラスメントも大きな社会問題になりつつある。

現在は徐々に法整備に向けた動きも進んでおり、企業としてもそれに準じてカスタマーハラスメント対策のマニュアル整備を進めることは必要です。

それと合わせて大事になってくるのは顧客との関係性やサービスの現場を改めてデザインし直すことでしょう。

これまでの流れとして大量生産・大量消費、効率化などによって売り手と買い手の関係が希薄になり、互いが顔の見える関係ではなくなってしまったことで、消費の現場がストレスの捌け口の対象になってしまう面はあるからです。

互いを知る関係のなかだと人は一般的に責任や配慮ある振る舞いをするもので、相手が見ず知らずの「他人」であるから平気で相手を侮辱したり、傷つけたりできてしまう怖さがあります。

だから顧客と提供者における良好な関係性が築けるようなサービスデザインを再考していくことも今後の課題だろうと思います。

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