「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論438」

みなさん こんにちは アバター近藤です。

「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。

「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第9号(2003.11.25発行)「定着志向のクラブづくり」7~※名称等は当時、一部文章省略

2.会員はなぜ辞めるのか

(2)会員を明らかにする

一般的なフィットネスクラブを経営する会社が何に優先的に資金を遣おうとするかについての傾向を見ると、多くの会社は施設に膨大な投資をします。

次に備品やマシンに多くの投資をします。

20%のサビーはここでいうマシンやプロモーションに反応する場合が多いのですが、80%のスターは、実際の投資の優先順位では最も低くなってしまっているプログラミングに関することに興味を持って入会し、継続するのです。

プログラミングとはオリエンテーションを含めた各種プログラムのことを言います。

これをコンサートホールに例えてみましょう。

すごい立派なホールに最新のサウンドシステムが備えられ、何千という客席がきれいに並んでいます。

事前に大々的なプロモーションもしています。

でもステージの上に立つアーティストがテレビののど自慢番組に出てくるようなシロウトさんだったらどうでしょうか。

観客はがっかりして帰ってしまうでしょう。

言いたいことは、フィットネスクラブもステージ上にいいパフォーマーを出していいショーを見せることにお金をもっと遣うべきだということです。

このスターにとってのいいショーとは、サポートであったり、ケアであったり、いいプログラムであったりします。

いいパフォーマーとは、そういうことができるスタッフであったり、インストラクターであったりします。

それではここで会員の退会理由について確認するとしましょう。

退会届には下記のような理由が書かれています。

①(他にお金を遣うことがあり)会費が払えなくなった

②(クラブに通うための)車が壊れてしまった

③子供が病気になった

④仕事が忙しい、仕事を変えた

⑤引っ越すことになった

⑥時間が無くなった

この中で「引っ越すことになった」と書いた人はおよそ30%です。

でも電話するとほとんどの人がまだそこに住んでいます。

オーストラリアの一般的な統計では、人口の7%の人が毎年引っ越しをしていると言われていますが、フィットネスクラブに通っている人だけがなぜ国の統計値の4~5倍になってしまうのでしょうか(笑)

また「時間が無くなった」あるいは「忙しくなった」と書く人もいます。

でも、もしフィットネスすることを「これだけは絶対に必要なものだ」と認識できたとしたらどうでしょうか。

こういう理由を堂々と書くでしょうか。

1週間3回、30分の運動で十分なのですよ。

1週間合計しても1.5時間です。

1週間168時間の中のたった1.5時間ですよ。

そして、この1.5時間は思っているほど苦痛な時間ではないですよ。

むしろこの1.5時間を楽しむことができれば、他の166.5時間をより楽しく、よりいいものにできるのです。

~ここまで~

前半部分の何に投資をしているかの順位は、日本においてもその通りだと思います。

そして、その傾向はパンデミック下において、さらに極端になってしまっていると想定されます。

つまり、プログラミングを支える人材の確保・育成に消極的になり、24Hジムや既存クラブの24H化、バーチャルレッスン導入などを通じたハード依存型の傾向がより強くなっているように感じます。

今回のパンデミックで流出してしまった顧客層のほとんどは、記事でいう「スター」層であり、その方々をまた呼び寄せるには、「施設・設備」「備品・マシン」ではなく、優れたトレーナーが生み出すプログラミングであることは、20年前のデータからもハッキリしていると言えるでしょう。

本日もお読みいただきありがとうございました。


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