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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論623」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第19号(2005.7.25発行)「ヨガ/ピラティス」11~※名称等は当時、一部文章省略

クラブによるクラブのためのピラティス指導者育成(ジェイアール東日本スポーツ)
ジェイアール東日本スポーツ(以下、ジェクサー)の大井町スタジオ。
月曜日の午前中ながら、定員15名のスタジオは満員になっている。
そこで行われているのは45分間に渡るピラティスのプログラム。
インストラクターは一人ずつ参加者をフォローするため、室内を絶えず動き回っている。

ジェクサーがプログラムにピラティスを追加したのは2003年1月のことだった。
その前年の夏から養成コースを開始、万全の態勢を整えて導入に踏み切った。
早くから会員に対してピラティスを訴求していたため、スタート時から参加率は高かった。
ジェクサーのピラティスプログラムがどのクラスも満員になるほど人気を集める理由は、何と言っても自社内にアカデミーとしての養成コースを展開している利点が大きいと同社のT氏は語る。

ジェクサーの社員にはピラティス指導者を育成するマスタートレーナーが2名おり、その指導のもとで学んだインストラクターは既に250名にものぼる。
養成コースは1クラス14~15人程度で行われ、計40時間(約1ヶ月半~3ヶ月)に渡って実技と理論を学ぶもの。
応募状況は好調で、毎回キャンセル待ちをする人も出るほどだ。
さらに極めたい場合はアドバンスコース、ピラティスパーソナルトレーナーと進級することもできる。
ジェクサーが採用しているのはFTP。
これはイギリス系のライセンスであり、ジェクサーの抱えるピラティスインストラクターは、全員FTPの認定資格を取得している。
プログラムの開発についてもFTPのマニュアルを参考にし、どのクラスに参加しても基本的な流れやイメージが統一されている。

成績優秀者などわずかな例外を除き、基本的にジェクサーでは卒業生のインストラクター採用は行っていない。
にも関わらず、「ジェクサーでインストラクターとして働きたい」という声が引きもきらないのは、ジェクサーと関連を保ち、そこで働くメリットを養成コースの卒業生たちがしっかりと認識しているからだ。
「ジェクサーにはピラティスに関する最新情報が集まってきており、いわば情報発信基地としての役割を果たしているのでは、と自負しています。また、登録しているインストラクターは養成コースに先行予約することができるなど、メリットもあります。その辺りがジェクサーで働きたいと支持される理由ではないでしょうか」(T氏)。

同社の強みは、早い時期から養成コースを立ち上げ、フィットネスクラブにおけるピラティスの指導について、日本人に合わせた形で開始したことにある。
そのため、多くのケーススタディが一本化して集積され、それを再び卒業生たちにフィードバックすることが可能になった。
また、アカデミーでは養成コースの卒業生を対象にブラッシュアップのための勉強会も開催している。
送り出した卒業生の質を高め、ひいては日本のピラティス土壌の底上げに繋がるよう、絶えず努力を怠らない。
信頼と進化。
ジェクサーの養成コースを支える基本はここにある。

「せっかくピラティスという素晴らしいメソッドがあるのですから、それを活用しないのはもったいない。今後はピラティスを使ったエアロビクスやピラティスを使ったアクアビクスなど、多様な展開が見られるようになるのではないでしょうか。そらに言えば、あえてピラティスという言葉を使わなくとも、皆がその価値や有益性を認知し、様々な種目に応用できるステージに至ることが理想です。そのためにはインストラクターだけでなく、ディレクターを始めとする中間職がピラティスについてもっと知るべき。他社の方がこちらへ勉強に来られることもありますが、ピラティスの普及とレベルアップのための情報提供は当社としても惜しみません」とT氏は語る。

ヨガほどの訴求力はなくとも、展開の仕方や広告の打ち方、指導者の育成手法等によって、その価値が大きく増減するピラティス。
目先の普及や安易な指導に甘える時代は終わり、いかにしてその価値を高め、差別化を図っていくか、そこに焦点を当てる時が来たようだ。

~ここまで~

自社内での教育体系や情報収集体制が整っていることで、希望者が後を絶たず、また卒業生も所属することを望むという流れは理想的だと感じます。

当社も畑は違えど、「健康習慣」にフォーカスしたスクール制小型ジムを先駆けて開発した経緯から、いずれ同様にノウハウが集積し、上記の機能・魅力を持って広がりを作ることが理想です。

ただ、これまでいくつか他社様の導入サポートをしてきた顛末から、伝播させることの難しさをつくづく感じるところでもあります。

お読みいただきありがとうございました。

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