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7月21日(日):藤子・F・不二雄さんの「すこし・ふしぎ」をつくる3要素

昨日は雑誌「BRUTUS」の最新号が「夏はSF」と題した特集だったことから、思わずそれを手に取ってしまった旨を記しました。

私自身は必ずしも「SF好き」というわけではありませんが、それでも作品を通じて新たな視点を提示してくれたり、発想を豊かにしてくれる点に魅力を感じます。

昨日にも記しましたが、私にとってのSFの入口は子ども時代に親しんだ「ドラえもん」で、近しい年代であれば同様なケースの方も少なくないことでしょう。

そんなドラえもんの作者である藤子・F・不二雄さんは、ドラえもんのSFは「サイエンスフィクション」ではなく、「すこし・ふしぎ」の世界だと表現している旨が、冒頭に触れた「BRUTUS」の特集で書かれていました。

その「すこし・ふしぎ」を構成する3要素として紹介されていたのが以下です。

1、日常の中に奇妙な存在がいる

2、価値観と視点が切り替わる

3、時間と空間を飛び越える

「1」の「日常の中に奇妙な存在がいる」のは、ドラえもんの存在自体がそれに当たり、ありふれた日常、小学生の日常のなかに未来から来たロボットという特異的存在が入り込むことで、日常が「すこし・ふしぎ」になっていく構成です。

何もかもが違っていると全くの異世界となり、想像や共感が及ばないものになってしまうので、あくまでもベースが日常と地続きになっている点がポイントなんだと思います。

SF作家の小松左京氏は作品を考える際に当たり前になっている私たちの前提、その「論理の歯車をひとつ飛ばしてしまう」手法に言及していましたが、それと重なるものがありますね。

続く「2」の「価値観と視点が切り替わる」のも、ドラえもんで良く出てくるパターンでしょう。

典型は「もしもボックス」のようなひみつ道具を使い、「もし~だったら」と、従来の当たり前をひっくり返した世界にしてしまうやり方です。

そうすると「昼寝ばかりしているのび太が偉い!」という世界が出来上がったりして、今までの当たり前を疑ったり、短所は状況によって長所にもなりえる、といった物事の見方やメッセージを発しています。

「3」の「時間と空間を飛び越える」は、これぞSFといえる特徴ですね。

時間を飛び越えるのはドラえもんの代名詞とも言えそうな「タイムマシン」にはじまり、「タイムベルト」や「タイム風呂敷」、空間の移転は「どこでもドア」や「通り抜けフープ」などなど。

昨日はビジネスの領域でも一般的になりつつある「SFプロトタイピング」のアプローチに触れましたが、藤子・F・不二雄さんの「すこし・ふしぎ」の世界観、そのための3要素も柔軟な発想をするためのヒントになるんじゃないかと思います。

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