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5月30日(木):長寿&消齢社会では「人との関わり方」も大事に

昨日は経済財政諮問会議でウェルビーイング社会の実現に向けた方策を議論するなか、高齢者の定義について「5歳延ばすことを検討すべき」との指摘を受けたことを記しましたが、本日もその続きをもう少しばかり。

社会全体が長寿化に向かうなかでは、できるだけ健康的に日々を過ごし、いつまでも自分のやりたいことを続けられるように自衛するのが大前提になっていく旨を記しました。

こちらのnoteでは以前に書籍「消齢化社会(博報堂生活総合研究所著)」のことを取り上げましたが、そこにもつながってくる話だろうと思います。

タイトルの「消齢化」とは前述の研究所が各種のデータを読み解くなかで見えてきた「生活者の年代に基づく価値観や意識の違いが小さくなっている現象」を指して命名されたワードです。

そして消齢化がさらに進んだ先はどんな世の中になるのか、未来の可能性として提示されていたのは①「個人の生き方」の変化、②「人との関わり方」の変化、③社会構造の変化、④市場が変わる、といった4つの変化でした。

①の「個人の生き方」の変化については「年相応」や「適齢期」といった、年齢に紐づく「らしさ」のイメージが弱まり、性別や年代などの「デモグラフィック特性」に囚われない生き方が加速する、と目されています。

「実年齢」の意義が薄れ、肉体年齢や精神年齢など、心身の実際の状態を示す「実質年齢」が重視されるようになっていく可能性を示唆していました。

デモグラフィックによる特性で自身を狭義に「高齢者」だと規定してしまわない柔軟な生き方をする人が今後も増えていくのは間違いないですが、一方で年齢を重ねた先でこそ同世代間のギャップが大きくなっていく現実もあります。

若いうちは単に好き・嫌い、得意・不得意などの価値観や志向による選択に過ぎませんが、年齢を重ねた先では加齢による衰えが出てきて、そこに身体的な制約が伴ってきます。

日頃から運動習慣を持っている方、趣味を持っている方は年齢を重ねても元気で行動的ですが、年齢を重ねた先でそういったものと無縁になっている方は実年齢以上に老け込んでしまい、いわば一昔前のステレオタイプ的な高齢者像になりがちで、世代内のギャップが非常に大きくなっています。

そのため「消齢化」のように、個々が年齢や世代に囚われない生き方をしていくための前提は冒頭に触れたような心身の健康でしょう。

また、それとあわせて大事だなと思うのは②の「人との関わり方」です。

書籍内では全年代的に価値観の違いが小さくなることで、年代をこえて「見知らぬ人ともわかりあえる」という共通認識が生まれ、他者への関与の姿勢が積極的になると示されていました。

今回のテーマであった高齢者ということでいえば、年齢を重ねた先にデモグラフィック的な高齢者のコミュニティだけに身を置くのではなく、世代をこえて共通の価値観や趣味、ライフスタイルで若い人ともつながりやすくなっていきます。

こうした流れをふまえると心身の健康とあわせ、先に記したような世代をこえた社会的なつながりの形成もまた、長寿社会を生きていくなかでの大事な要素になっていくかもしれません。

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