8月3日(水):カルチャーとしての現場を鍛える3つの観点
このところは企業文化と関連して遠藤功さんの新刊「『カルチャー』を経営のど真ん中に据える」を引き合いに自分のなかでの整理も兼ねて同書の内容と紐付けたことを記していますが、本日もその続きです。
昨日は本書の主題である「カルチャーとしての現場力」を構成する組織風土と組織文化の関係を整理しましたが、本日はカルチャーとしての現場力を鍛えるための観点になります。
まず一番に挙げられていたのが「主体性」でした。
これが欠如して受け身になると現場の活気が減退して組織風土が劣化する大きな原因になるといいます。
主体性を構成する要素として挙げられているのは「自主性」「自発性」「自律性」の3つの要素です。
・自主性
自分の「力」で考え、行動すること。
誰かに言われて動くのではなく、人に言われる前にやるべきことをやる。
・自発性
物事を自らの「意志」で進んで行うこと。
「自ら発すること」を大事にし、自分の意志や意見に基づいて行動する。
・自律性
自分の点てた「規範」に従って、自らの気持ちや行動をコントロールすること。自分で自分自身を律し、行動する。
この点は自社でも「3自」として「自覚」「自発」「自律」を1等級の評価項目に明記していて、そこを含めた自立をベースに考えているから理解はできる部分です。
続いて主体性と絡んで同書でポイントに挙げられていたのは「身体性を取り戻す」ことです。
ここで言う身体性とは「頭でっかちにならずに、まず動いてみること、やってみること」で、皆で汗をかいて組織の身体性を取り戻す必要性を説いていました。
安易なアウトソースによる脱自前が行き過ぎて、結果的に自分たちで動いて何かを変えていく熱意や意欲が失われてしまっているきらいがあるから、まずは自ら動くことでそれを取り戻していこう、との意味合いでしょう。
この点は「なるほどな」と思いました。
実際に手足を動かす中で見えてくるものもあるし、自分たちで「できること」の領域が広いほど、単純にそこから創意工夫が生まれる余地も広がりますからね。
そして最後はカルチャーとしての現場力の核心が「現場こそが会社の主役であり、エンジンであることを会社全体で再認識すること」だと指摘しています。
会社のなかで現場をどう位置付けているのか、これは非常に大事なことだと考えています。
「ただやみくもに『プライドをもて』と発破をかけたところで、プライドなど持てるはずもない。現場のプライドは他者のリスペクトから生まれる。」とのメッセージもよくわかります。
単に言葉でだけ言うのではなく、本当にそのように思っているのか、そのような位置づけになっているか、そこが大事だということでしょう。
自社では「トレーナーが価値創造の源泉」だと位置付けていて、お客様との直接的な接点を持ち、最前線にいるトレーナーや現場が主体だと捉えています。
そうした認識に立つのはもちろんのこと、それとあわせて私が大事だと感じるのはフィットネス業界でいえばトレーナーの可能性を信じるかどうか、です。
現場を無人化するクラブはトレーナーを介して生む価値に意味を見出していないし、人をコストとしか見ていないのと同義です。
これだと当然ながらカルチャーとしての現場力が養われていくこともないですね。
トレーナーや現場の頑張りや知恵、可能性に目を向け、そこでの成果を讃えていくのは大事なことだと感じます。
「自主性」「身体性」「現場の位置付け」、これらの観点を踏まえて自社でもカルチャーとしての現場力が失われないようにしていきたいと思います。
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