7月23日(火):ちょっと変だよ!?スリープテック市場
先般の日経新聞には「睡眠テック、異業種140社連合 データ解析で『快眠の家』も」と題した記事がありました。
日本人の平均睡眠時間は主要国で最も短く、不眠による経済損失が約18兆円という現状をふまえ、記事では連携する企業を増やしながら睡眠テックの経済圏が広がる旨を報じています。
睡眠問題に挑む日本最大の異業種連携コミュニティー「ZAKONE」に参画する企業は140社にものぼっており、現在は各企業が眠りにこだわったウエア、寝具、音楽、飲料、香りをそろえた快眠を追求する住宅などの展開を視野に入れている状況です。
この記事をみればスリープテックの市場は着実に広がっているのがわかるし、さらにいえば関連するプレイヤーが成長のために広げたがっているのも見て取れますね。
事業機会を拾い上げて未解決の問題を解消しながら収益を上げていくのはビジネスとしては当然ですが、その一方で健康の面からみれば歪みを感じるのもまた事実です。
食欲、睡眠欲、性欲は動物である人間にとっての3大欲求なのは周知の通りです。
3大欲求は動物にとっての「生存」と「生殖」と結びついた最も根源的な欲求だから、本来的には自然に沸き起こってくるもので、むしろそれに抗うほうが難しい面があります。
だから快眠のための特別な部屋、特別な温度、特別な光、特別な寝具、特別なウェア、特別な飲料、特別な音楽、特別な香りに包まれなければ、良い眠りにつけないというのは、よほどの異常事態だと考えるほうが自然です。
実際に野生の動物で長く不眠に悩まされる動物なんていないでしょう。
動物としての当たり前の日常をやっていれば自然に眠れるはずなのに、それができないということは、その人が動物としてはあまりに不自然な日常になっていることの現れでもあります。
そこにたくさんのお金を投じて、ありとあらゆるツールを揃えながら快眠環境を整え、それを有難がることの前に、もっとやるべきことが先にあるだろうな、とは思うわけです。
生活のリズムを整える、身体を動かす、食事の内容を見直す、ストレスを発散する(コントロールする)手段を持つ、少しばかりデジタルツールから離れる時間をつくる、といったことですね。
だって少し考えてもらえればわかりますが、ありとあらゆるツールを駆使して環境を整えてもらわなければ「食欲がわかない」、「性欲がわかない」となったら、誰しも「これはマズい」と感じるはずです。
でも不眠だけはそうならずに受け入れて、何らかの道具やサービスを購入してそれをやり過ごそうとしているわけだから、そこに歪みを感じます。
部分的に取り入れるぐらいなら良いですが、なんでも道具に頼り切る前に日常の習慣をリセットすることから始めるのが本来の姿だろうと思う今日この頃です。
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