4月1日(月):紅麹サプリとコンプライアンス
昨日は機能性表示食品市場に関連して小林製薬の紅麹を使ったサプリメントによる健康被害のことに触れましたが、本日はそこから派生した話を少しばかり。
現在は全容の把握、解明が進められている途上で健康被害に至ってしまった原因、詳細は明示されていない状況です。
こちらの記事を書いている時点(3月29日現在)では同社の機能性表示食品を摂取後に亡くなられた方が5名、入院患者が約100名、健康被害の相談件数は1万2,000件を超えると報道されています。
現在も多方面で状況の確認が進められている最中で、被害を受けた方の報告人数が日増しに増えていることから、その影響はさらに広がるものと思われ、ここまで被害が拡大してしまったのは、やはり初期対応のマズさだと思います。
同社の株主総会でも問い質されていたと思いますが、商品摂取後に何らかの不調が報告された最初の時点で、状況を確認するために一時的にでも販売を自粛していれば、ここまで被害が拡大してしまうことは防げた可能性はあります。
そこでの判断を左右した一因はコンプライアンスへの理解、意識でしょう。
コンプライアンスは「法令遵守」と説明されることが多いですが、それはあくまでも狭義の定義です。
より広義な捉え方でいえば、業務上のさまざまなリスクを回避するために守るべき業務マニュアル、守秘義務、その他の社内ルール、さらには、コミュニティとの関係のような行動指針なども含めた広い意味での遵守を指します。
今回の件が狭義のコンプライアンスの定義に触れるような罰せられなければ構わない、という脱法的行為や見つからなければ構わない、との違法的行動が含まれていたのかどうかは現時点では定かではありません。
一方で広義のコンプライアンスに照らし合わせた場合、リスクマネジメント的行動の観点で社内ルール・業務マニュアルとして問題なかったのか、模範的行動の観点で倫理的模範に照らし合わせた際にどうだったのか、です。
広義のコンプライアンスで捉えた場合には、おそらく課題はあったはずで、そこで最善が尽くされていたら、健康被害の度合いを軽減できた余地はあったように感じます。
コンプライアンスをどのレベルで捉えるか、理解がどこまで浸透しているかで判断や行動も大きく変わってくるので、そこは本件を例にしながら自社にとっても教訓にしていければと思います。
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