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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論534」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第15号(2004.11.25発行)「スイミングクラブの成長戦略」7~※名称等は当時、一部文章省略

Ⅲ成長クラブの事例研究

事例研究1「堅実経営で今なお会員数を伸ばす設立24年目のスイミングクラブ」(セントラルスイムクラブ成瀬)

成瀬店はまさにそのモデルケースとなっている。
従来型のスイミングクラブ経営の基本に忠実に運営を続けることで、現在でも着実に会員数を伸ばしてきている。
同クラブの強みの源泉についてチーフコーチY氏に聞いた。

「このクラブは運営受託ですので、オーナー様の経営方針に沿って運営してきています。非常に堅実な方で、目先の数字ではなく、既存の会員様を大切にしながら、手堅くビジネスを伸ばしていこうという方針をお持ちで、施設的にも毎年地道に再投資とメンテナンスを継続しているのが今奏功しているのだと思います。我々指導スタッフの運営面でのこだわりは、指導内容と進級に対する考え方です。子ども達や親御さんにおもねて安易に進級させたり、すぐに目新しいものを提供してしまいがちですが、水泳指導の基本であるビルドアップの考え方を大切にし、特に基礎の部分には時間を掛けます。これをしておくと、その後の伸びが確実に違います。上手く泳げるようになったり、早く泳げるようになることが一番のモチベーションだからです。簡単に進級させられない分、子ども達や親御さんと十分なコミュニケーションを取るようにしています。クラスでは毎回みんな初めてクラスを受ける人だという気持ちで、1人ひとりに声を掛け、目線を配ることを大事にしています。進級制度は通常無級からスタートして17~1級まで行くと、子どもが目標を失いがちですが、その先に特別級を設けたり、特別級に上がることで一般のスクール生と違う水着が着れるなどの工夫で子ども達のモチベーションを維持しています。また、全ての子どもが将来選手を目指すようになるわけではないので、中学生になれば成人コースに入会できるようにし、トップ選手ではないけれど水泳を続けたいという子どもが受け入れられるようにしています。こうすることで中学生・高校生の年代にも利用して貰うことができ、ブランクを作ることなく大人になるまで通い続けて貰えることになります。当クラブのメンバーに現在23歳で在籍21年という人もいますよ(笑)。こうした人を増やしていきたいと思っています。」

定着志向のクラブであることからプロモーションにはそれほど投資していない。
主なプロモーションは短期教室の時期に行うが、短期教室も1つの商品として位置付け、本科への移行率よりも短期教室自体での商品力を高めることを重視してきている。
そのため短期教室だけのリピーターも多く、通常約75,000部のチラシを新聞折込すると、すぐに満員になる状況にある。
今年の夏も1,100名の集客を達成した。
移行率は約20%とそれほど高くはないが、母数が多いことから本コースの会員増にも確実に貢献している。

今後の成長戦略・戦術については、営業時間の延長や客単価のアップによる利益率の向上を挙げる。
現在既にプール1面で3,000名の会員を抱え、施設キャパシティの限界に近づいてきているため、大きな成長は難しい。
そのことからK氏もY氏もスイミングクラブの新店開発を夢に描く。

K氏は将来について次のように話す。
「少子高齢化だからといって子どものマーケットを軽視するのはもったいないと思います。5歳の子どもはマーケットとしてあと80年もあるので、子どもの顧客価値は2倍、3倍あるわけです。これだけ広がりのあるマーケットを惹き付けるノウハウをスイミングクラブは持っているのですから、それを活かさない手はありません。フィットネスクラブは施設規模や新しさで違いがすぐに見えますが、スイミングクラブはその違いが分かりにくいので、陰日向のない努力が必要です。そうしたことからも、強いソフトを持ち、お客様との信頼関係を築いてきちんと経営すれば、まだまだ安定成長は可能です。加えて施設や運営面でも本腰を入れて最新鋭のビジネスモデルを構築すれば、大きな夢を持てる事業なのです。」

~ここまで~

業界の全般的な流れとして、特にパンデミック以降、効率化を求める戦略思考が多数を占める中、上記のような地道な取り組み姿勢は何年経っても通用するものだと感じております。

先日も当社代表の伊藤さんから、コンサルティングクラブでの昔ながらの測定項目によるお客様変化の情報を共有されましたが、記事当時の方がフィットネス分野においてもアナログで様々な顧客測定データを収集していたなと思い出しました。

何十年にも渡って認められてきた健康や運動に関する測定指標は、いわゆるエビデンスが積み重なったやり方であるとも言えますので、それをどのようにしてアプリ等で効率的に収集して、効果的な指導が出来るかという観点が「効率化」というワードについては重要ではないかと思います。

お読みいただきありがとうございました。

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