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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論638」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第21号(2005.11.25発行)「地域密着マーケティング」2~※名称等は当時、一部文章省略

2.なぜ地域密着マーケティングに取り組むのか?
では地域密着マーケティングによって本当に利益は上げられるのか?
リアリストなら単純に疑うだろう。
この問いにあなたならどう答えるだろうか?
編集部の答えはこうだ。
「地域密着マーケティングだけでは利益は上げられない。しかし地域密着マーケティングなしでは利益を失う。」
地域密着への具体的な取り組みをするうえでは、マーケティングの基本要素を整えておくことが重要だ。
基本要素とはクラブビジネスの場合、次の5P1Rである。
即ち、Place(立地)、Product(施設)、Price(料金・利用システム)、Program(プログラム・サービス)、Promotion(集客)、Retension(定着)である。
これらを事業理念、クラブコンセプト、戦略に整合するように整えてからでないと、地域密着マーケティングの取り組みは奏功しないばかりか、企業そのものをも弱体化させてしまいかねない。

こういうと良く「うちは利益や数字はどうでも良い。それらは後から付いてくるもの」とか「マーケティングなんてうちはしていない。普通にやっていても何とかやっていける」というクラブに出くわすことがある。
そして実際に相応の経営実績を上げている。
だが、これらのクラブは意識せずとも偶然にマーケティングができてしまっているだけである。
従ってマーケティングの基本を押さえることの重要性はいささかも変わらない。
では、こうしたクラブを含めてこのようにインフラをきちんと構築して地域密着への具体的な取り組みを続けていくとその企業にはどんなメリットや効果を得られるのだろうか。
それらを表1に示した。
これら5つが、地域密着マーケティングに取り組む主な理由である。

表1「地域密着マーケティングによってもたらされる主な経営的メリット・効果」

①売り上げ・利益の拡大(直接的寄与)
②企業イメージ向上・ブランド価値向上(間接的寄与)
③従業員の福利厚生・意識改革(間接的寄与)
④ビジネス上、有利となるネットワーク構築(間接的寄与)
⑤商品開発における社会のアンテナ機能(間接的寄与)

~ここまで~

「地域密着マーケティングだけでは利益は上げられない。しかし地域密着マーケティングなしでは利益を失う。」という答えは、首肯できるものです。

特にパンデミック下にあったこの3年間で、そのことを痛切に感じられた企業・クラブも多いと思われます。

顧客との関係性をドライな会費とサービスの交換とみなしていたクラブの会員減少率と地域密着を大事に運営していたクラブのそれは大きな違いが出ており、退会率を上回る入会率がいまだ得られにくい外部環境において、その差は経営に直結するものになっております。

また反対に、戦略に乏しくただただ慈善事業的スタンスに止まっていた企業は、現在も赤字脱出できなかったり、一部では売却の危機となっている姿も見受けられます。

その意味で、地域貢献と利益貢献の両立はエリアマーケットビジネスにおいて、欠くべからざる要件とも言えるでしょう。

お読みいただきありがとうございました。

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