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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論762」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第32号(2007.9.25発行)「減る入会者数、成長には優れたスタッフとソフト力が必須」3~※名称等は当時、一部文章省略

「企業トップ調査」
※調査に協力した70社のプロフィールは、単独店経営企業4割・チェーン店経営企業6割(うち店舗数1店4割、同2~9店4割、同10店以上2割)。
クラブのプロフィールはフィットネスクラブ業態166軒・スクール併設業態404軒・スクール業態214軒である。

・6割が成長期と認識
市場ライフサイクルのポジショニングとして6割を越える企業トップが今は「成長期」にあると認識していた。
「成熟期」と答えた企業トップも3割以上いた。

・経営課題は従業員の量と質
経営課題として認識している項目は高い順に①従業員確保②従業員教育③同業他社との競合④施設の老朽化⑤新入会員の減少だった。
従業員の量と質に関わる問題が上位を占めており、3番目の同業他社との競合と合わせて過去の調査結果と大きく異なった。
過去の調査では「退会者の増加」や「施設の老朽化」が多く挙げられていた。
これは各社の施設開発力、マーケティング力が向上し、より高度なソフトの戦いの場へと競争ステージがシフトしてきていることを示していると言えよう。

・入会者数の悪化傾向顕著
収支バランスの状況は、赤字企業1割、収支均衡企業3.5割、黒字企業5.5割であった。
過去の調査と比較すると数字上は赤字企業が減り、黒字企業が増えているが、これは、赤字企業がアンケートに答えていないからかもしれない。
業績評価を聞いた問いでは、前回調査と比べ入会者数と利益が「悪化」傾向となっていた。
特に入会者数の悪化傾向が顕著だった。
売上高や利用者はそれほど変わっていなかった。

~ここまで~

市場ライフサイクルのポジショニングへの見方は、経営層がフィットネスビジネスをどう捉えているかによって現在も分かれると思います。
主にハードを競争の源泉とする総合型クラブ業態をメインとする企業は、「成熟期」または「衰退期」と特にパンデミック以降は感じているかもしれません。

また、相変わらず出店旺盛な24時間ジム業態については、「成長期」と見る人が多いから出店増となっているわけですが、アバター近藤は、30年以上も続いている参加率3%前後のアクティブフィットネス層をメイン顧客としている限り、総合型クラブと同類の「成熟期」または「衰退期」に該当すると見ています。

経営課題は、このポジショニングとの関連で上位が変動すると考えられ、将来、チョコザップのような完全無人店舗業態が広がれば、当然ながら「従業員の量と質」という問題は無くなります。

収支バランスについては、記事の数値よりもパンデミック以降悪化し、黒字企業は半分以下になっていると推測されます。
先日には、業界大手の東急スポーツオアシスが同じく業界大手のルネサンスの完全子会社になるという発表がありましたが、借入金返済が厳しくなるパンデミック後、4年目の現在、買収、規模縮小、倒産等のケースは当業界にも徐々に増えてくることが想定されます。

お読みいただきありがとうございました。

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