「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論573」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第16号(2005.1.25発行)「サービスの最適化(商業アドバイザー小柳剛照)」1~※名称等は当時、一部文章省略
会社が大きくなり、業界上位に位置するようになると、経営陣は会社のステイタスを高め、業績をさらに安定向上させたいと考えるようになるでしょう。
そのためには、これまで以上に顧客の意見に耳を傾けて、より高品位のサービス提供や、製品のバリエーションを広げることを考えるものです。
それはまったく正しい理念のように思えます。
しかし、その市場に破壊的なまでのイノベーション(革新)が登場してくると、どうでしょう。
顧客の声を聞き、高品位サービスを目指す優良企業が、業績を悪化させるという事態に陥る場合があるのです。
恐いことですが、優良企業はその優れた経営力ゆえに、失敗を招くということが、起こり得るものなのです。
この逆説的な理論は、ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授が、著書「イノベーションのジレンマ」に著して、全世界に衝撃を与えました。
つまり激変する状況下では、これまで成功を築いてきた企業は、従来の成功体験をずっと延長させようと思ってはいけない、ということです。
新しいサービス理念が必要なら、これまでの成功体験を捨てる勇気を持つこと。
その際、必要な判断基準は「顧客満足」でしょう。
航空業界の中で
航空業界は規制緩和の波を受けて、多くの新規参入が見られた業界です。
日本にも欧米にも、格安運賃の航空会社が多数誕生しました。
まさに航空市場に、価格破壊という劇的イノベーションが生まれたものです。
しかし競争激化で、新規参入組のほとんどは撤退しました。
一方では、従来からあった、優良経営を誇る大手航空会社の中も、倒産する事例が現れるようになりました。
優良企業ゆえに打ち出した、サービス強化による経費増や、無理な路線拡大が、経営を圧迫した結果です。
~ここまで~
日本のフィットネス業界において、記事の時代の前後から2010年代前半までは、ジム・スタジオ・プールの3種の神器に加え、スパ機能やその他アイテムを充実させた大型総合クラブの出店が、業界大手企業を中心に活発化しておりました。
それ以前の600~800坪前後の施設規模から1000~1200坪前後へと大きく変化し、当初は高集客により事業効率が上がることで、利益幅も上昇しました。
ただ、その一方で業界に新規参入した企業が、機能や提供価値を絞った業態で攻勢を徐々に深めていくと、その勢いにも陰りが見え始めました。
その傾向は、実はパンデミック前から起こっていた事実でありますが、ある程度の収益が確保できていたため、大胆な変革に着手できなかった結果、現在も成人のフィットネス会員は、それ以前の70~80%で低位均衡してしまっている状況です。
これはまさに従来の成功体験を延長させようとした姿勢が招いた結果と言えるでしょう。
お読みいただきありがとうございました。
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