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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論736」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第29号(2007.3.25発行)「世界の動きー保険会社の後押しで変わる、パーソナルトレーナーの資格制度」1~※名称等は当時、一部文章省略

パーソナルトレーナーにとっての資格の重要性

パーソナルトレーニングの資格認定制度の重要性は業界内ではすでに自明となっているが、消費者サイドでもこうした認識が高まってきている。
パーソナルトレーニングの資格認定制度を整備しようという動きは2005年に始まった。
IHRSAの理事会が成長著しいこの分野で信頼性の高い認定制度を整備することで、プロフェッショナルなトレーナーを育成し、業界全体のレベルを引き上げていく必要があると業界に提言したのである。
IHRSAはこの提言の中で、IHRSA加盟クラブに対し、パーソナルトレーナーを雇う際には、米国資格認定審議会(以下NCCA)か、それに準ずる第三者機関から認可された資格認定団体から、少なくとも1つ以上のパーソナルトレーニングの資格を取得しているトレーナーを雇うように呼び掛けた。
これを受けて、様々な団体がパーソナルトレーニングの資格認定プログラムを設立・整備し、NCCAの認可を得た。
こうした団体には、ASCM、ACE、NASM、NCSF、NEPT、NSCAなどがある。

こうした動きに着目したのが、保険業界である。
以下に紹介するように、特定の資格を保持するトレーナーからパーソナルトレーニングを受けた場合には費用を一部負担するというようなプログラムが登場してきた。
これにより権威ある団体の認定資格を取得することが、トレーナーにとってビジネスチャンスの拡大に繋がる可能性が高まってきた。
新時代の幕開けである。

こうした動きを牽引しているのが、アメリカン・スペシャルティ・ヘルス・インク(以下ASH)である。
同社は、全米の各種福利厚生団体を顧客とし、その加盟者に対して健康関連グッズやサービスを提供している。
このASHが先ごろ、特定の資格を持つパーソナルトレーナーのセッションを受けた場合に、費用を一部負担するというプログラムを提供し始めた。
パーソナルトレーニング業界の歴史において大きな意味を持つ出来事である。
ここで重要なのは、費用補助の対象になるのが、NCCAの認可を受けた資格を持つトレーナーによるセッションに限られるという点である。

ASHのヘルスサービス担当役員であるダグラス・メッツ博士を中心に、加盟者が質の高いパーソナルトレーニングを受けられるよう、現在各種のスタンダードやルールの整備が進められてきている。
「NCCAは広く認知された独立系の機関で、経験も豊富であり、ASHの加盟者が質の高いトレーニングを受けられるように保証する上で非常に重要な存在です。」と同氏は語る。
同氏は、ASHがNCCA認定の資格を取得したトレーナーのみをプログラムの対象とすることで、最終的にには加盟者が受けるサービスの質を担保することが可能となり、それがASHに対する信頼にも繋がると考えている。

このようなプログラムを提供しているのは現在のところASHであるが、メッツ氏はこうした動きが今後、広まっていくと考えている。
「市場は質の高いサービスを求めています。今後、他社が同様のプログラムを提供する場合にも、私達が取り入れているような、サービスの質を担保する仕組み(特定の資格を持つパーソナルトレーナーによるサービスのみをプログラムの対象とする等)を取り入れることでしょう。」と同氏は語る。

~ここまで~

以前の記事でも感じたことですが、米国は第三者機関や団体を通じて、業界内、業界外の関連サービス提供者を有機的に結び付け、結果、顧客へのサービス向上に繋げることに長けていると思います。

名著「7つの習慣」で言うところの、「Win-Winの原則」をまさに実践しているということです。

翻って日本を見ると、一般的には協調性が高く組織を大切にする国民性と評価されておりますが、その実、閉鎖的かつ部分最適に陥っている側面が強いと感じます。

本来、協調性が高く組織を大切にするのであれば、「Win-Winの原則」も実践できるはずですが、そうならないのは主に「事なかれ主義」に基づき得た風土だからと考えます。

最近、日本の株価が盛り上がっているものの、懐疑的で全く買う気にならないのは、上記記事からも直感的に察っする日米の文化構造的な相違に起因していると自己理解することが出来ました。

お読みいただきありがとうございました。

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