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2月19日(月):カスタマーハラスメントの確認事項③

先月のパワーハラスメント対策に続き、一昨日からはカスタマーハラスメント対策について触れています。

昨日は厚労省が定めたカスタマーハラスメントの企業対策マニュアルをもとに、そこで定義されている内容を説明しました。

振り返りまでに確認すると以下のようになっています。

「顧客等からのクレーム・言動のうち、
当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、
当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、
当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」

※補足等の詳細は昨日の内容を参照

ポイントとしては顧客等からの①「要求の内容が妥当性を欠く場合」や②「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な場合」、そして③「要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるケース」はカスタマーハラスメントに該当する、との捉え方です。

そうしたなか、悪質クレームにみられる特徴的な行為、目的としては以下のようなパターンに大別されます。

これを先ほどの①~③に当てはめて捉えてみます。

1、欠陥があった商品・サービスの代金よりも高額な賠償を要求する
⇒ ③「要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるケース」
欠陥があった商品・サービスに対する補償を求めること自体は問題ないですが、元の価格を大きく上回る高額な賠償を要求すれば、「要求内容の妥当性」を欠いてしまい、不相当と目される形です。

2、自分の過失を隠したり、自らを細工をしたりして、不正な返品・返金を求める
⇒ ①「要求の内容が妥当性を欠く場合」
顧客側が自らの過失を隠したり、細工をして返品・返金要求をしているので、要求の妥当性そのものを欠いている状態です。

3、精神的なダメージを受けたとして、慰謝料・迷惑料を要求する
⇒ ①「要求の内容が妥当性を欠く場合」、②「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な場合」、③「要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるケース」
これは全ての要素に絡む可能性があると思います。精神的なダメージという目に見えないものを理由にした金銭の要求ですが、そもそも提供者側の過失と実際の精神的なダメージの因果が証明できなければ①の妥当性を欠きます。仮に一定の妥当性が認められても、その要求の仕方が威圧的であったり、執拗であったりすれば、今度は②に該当してきます。そして一定の妥当性があっても要求している金額が見合わないものであれば③に当たることになります。

4、従業員の接客・接遇態度に文句をつけて、その従業員の解雇を求める
⇒ ②「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な場合」
解雇の要求は従業員個人への過剰な攻撃・要求であって、それが認められることはないといえます。

5、自分だけの特別待遇を求める
⇒ ①「要求の内容が妥当性を欠く場合」、③「要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるケース」
提供者側の過失の有無に限らず、そもそも自分だけの特別待遇を求める要求自体が妥当性を欠いているために①に当たると考えます。仮に提供者側に一定の過失があって提供者側から一定の補償などの申し出があったとしても、そこからさらに自分だけの特別要求にエスカレートしていけば③に当てはまると捉えることもできます。

6、実現不可能な業務改善や是正措置を求める
⇒ ①「要求の内容が妥当性を欠く場合」、③「要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるケース」
先ほどの「5」のケースと同様で、実現不可能な業務改善や是正措置を求める要求自体が妥当性を欠いているために①に当たると考えます。仮に提供者側に一定の過失があって提供者側から再発防止に向けた取り組みの説明が明示されたとしても、そこからさらにエスカレートした無理難題の要求となれば③に当てはまると考えられます。

7、過失についての謝罪文・詫び状、社告を強要する
⇒ ②「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な場合」
提供者側に一定の過失があって、提供者側から謝罪文などを出すことはあったとしても、詫び状や社告などを顧客側が「強要すれば」、これは②にあたります。

8、謝罪として土下座を要求する
⇒ ②「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な場合」
これも前項目の「8」と同様で、提供者側に一定の過失があったとしても、それに対して「土下座を要求」してしまえば、②に該当することになります。

以上、カスタマーハラスメントでの特徴的な要求とそれに対する解釈についての事例説明でした。

明日も関連の話を続ける予定です。

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