「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論810」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第37号(2008.7.25発行)「女性にターゲットしたフィットネスクラブ、続々誕生ーアラサー層の獲得を目指す」5~※名称等は当時、一部文章省略
アラサー層を獲得できる業態の開発
「でも、そもそもハピパラは今が楽しければいいと考えるハッピー・パラサイトな人たち。ひと月の小遣いも決して少なくない。それなのになぜ、値段にシビアな一面があるのか。理由は複数ある。1つここでご紹介しよう。Aさん(24歳)。渋谷のベンチャー企業で働くOLだ。入社3年目。座り仕事が多く、ここ1年で3キロ太ったのが悩みだという。痩せたいっていうより、肌をキレイにしたい。太ると顔にブツブツができてるし、体が重くなるから歩き姿もキレイじゃなくなる。もっと軽やかになりたい、そんな感じでしょうか。当時、Aさんはキレイを手に入れる色んなコト(モノ)をイメージしたという。エステやコスメ、ネイル、プロメイク、スポーツジム、岩盤浴…さて、どれにしようか。悩んだ結果、通い始めたのが、20~30代女性をメインターゲットにした、サーキットトレーニングジム・ボディーズ。選んだ理由は、会社から近い(徒歩1分)ことと、デートの待ち合わせまでの間や昼休みなど隙間時間(30分程度)に通えること、そして何より、月5000円前後の値段だったという。月7000円も8000円もするジムは、通う気がしない。おカネもないけど、それ以上に7000円なら、高級コスメが2個買えるじゃんとか8000円あったら、ネイルサロンにいった方がいいやって思っちゃう。実は彼女が言う5000円前後はハピパラ世代にとって重要な指標だ。2006年8月、(財)地域流通経済研究所は、癒し・美・健康サービスの利用実態調査の数字を発表した。その結果、癒しや美に関するサービスを牽引しているのは、圧倒的に女性だが、関連サービスに使う金額(1ヶ月平均)は、トータルでも5000円未満がちょうど半数。つまり、単体で毎月5000円をはるかに超えるようなサービスは、その値段だけで半数の20代女性に敬遠されてしまうということだ。ハピパラ世代は色んな角度からキレイを求める。一般に、いくつかのモノ(コト)から1つを選ぶとき、比較するAとBがどちらもコスメなど、似ていれば品質をはじめ細かな部分を比較して選ぶことも多いだろう。でも、全く異なる内容やカテゴリーのモノ(コト)を、一律に比較するのは難しい。コスメと岩盤浴とサーキットトレーニング、さてどれに出費すれば、キレイ(美や健康)に近づけるか…。そのとき、彼女たちが注目するのは、やはり見た目(即効性)と値段。そう、コト(モノ)選びの際にも、ハピパラ世代はパッと見(価格表示)に、多分に左右される世代なのだ。ただしそれは、必ずしも節約とイコールではない。昼休みのたった1時間でも、彼女たちはサーキットトレーニングに通う。そこでランチの代わりにモバ食(モバイル食)を食べる。今回、ソイジョイやカロリーメイト(大塚製薬)などのモバ食も人気が高い。」
こうしたアラサー層のライフスタイルや購買行動を十分理解したうえで、それにふさわしいレディース業態のマーケティングを構築することが大切となろう。
アラサー層の女性スタッフにプロジェクトに加わってもらうのも良いかもしれない。
~ここまで~
前回も触れましたが、記事にある「即効性と値段」はまさに「タイパ」「コスパ」そのものです。
つまりいつの時代も、若年層はその部分に消費行動の意思決定が大きく委ねられているということです。
また、癒しや美に関するサービス支出の予算が、月5000円程度が基準というのも、現在の肌感覚と大きくズレていない印象ですし、むしろ下方圧力が掛かっているとも言えます。
そのように考えますと、実需サービスであるフィットネス産業で、20歳代・30歳代に特化したクラブを作ることは相当にリスクがあると、いつの時代でも評価できるのではないかとアバター近藤は考えます。
お読みいただきありがとうございました。
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