11月3日(金):「消齢化社会」の到来と前提になる「心身の健康」
本日は先般に手に取った書籍「消齢化社会(博報堂生活総合研究所著)」からの話を少しばかり。
タイトルの「消齢化」とは前述の研究所が各種のデータを読み解くなかで見えてきた「生活者の年代に基づく価値観や意識の違いが小さくなっている現象」を指して命名されたワードです。
具体的には80代からプログラミングの勉強を始めた人、昭和のヒットソングをカラオケで歌う若者など、年齢にとらわれず新しいことに挑戦したり、自分らしさを追求する人が増えており、生活者の年齢と意識・価値観の関係性が薄れてきた点を指摘しています。
同書によれば、これは無視できない大きな潮流であり、消齢化がさらに進んだ先ではどのような世の中になっていくのか、その未来の可能性が4つ提示されています。
そのうちの1つは「個人の生き方」の変化です。
「年相応」や「適齢期」といった、年齢に紐づく「らしさ」のイメージが弱まり、性別や年代などの「デモグラフィック特性」に囚われない生き方が加速する、と目されています。
「実年齢」の意義が薄れ、肉体年齢や精神年齢など、心身の実際の状態を示す「実質年齢」が重視されるようになっていく可能性に言及しています。
これは本書でいうところの「消齢化」の現象そのものであるし、既に顕在化している流れでしょう。
私たちはフィットネスクラブ運営を主たる事業にしている企業ですが、フィットネスの現場ではお客様の年齢と実相とのギャップを感じる機会はたくさんあります。
見た目も、気持ちも、そして身体も元気なお客様は非常に多くて、体組成を測定したり、バースデーカードを送る時に実年齢を確認して、お客様の年齢を感じさせない若さに驚かされることはしばしばです。
また運動指導をするトレーナー以上に、最近のトレンドのことを熟知されている年齢を重ねた高感度のお客様も多く、どちらが若者なのかというケースも見かけます(笑)
日頃からそうした光景を目にしてきて、これまでも年齢で一括りにすることに難しさを感じてきたから、本書で言語化された「消齢化」を目にして納得感のほうが強いですね。
デモグラフィックによる特性で自身を狭義に規定してしまわない柔軟な生き方をする人が今後も増えていくのは間違いないと思います。
その一方で、年齢を重ねた先でこそ同世代内のギャップが大きくなっていく現実もあります。
若いうちは単に好き・嫌い、得意・不得意などの価値観や志向による選択に過ぎませんが、年齢を重ねた先では加齢による衰えが出てきて、そこに身体的な制約が伴ってきます。
日頃から運動習慣を持っている方、趣味を持っている方は年齢を重ねても元気で行動的ですが、年齢を重ねた先でそういったものと無縁になっている方は実年齢以上に老け込んでしまいがちです。
いわば一昔前のステレオタイプ的な高齢者像になりがちで、身体的な制約やそれに付随した精神的な健康状態によって、できることが限られてしまうことで世代内のギャップが非常に大きくなっています。
それだけに本書が示す「消齢化」のように、個々が年齢や世代に囚われない生き方をしていくための前提は心身の健康でしょう。
これについては私たちフィットネスクラブが果たす役割も大きいので、日常の健康習慣を支えていける存在で居続けたいと思います。
宜しければサポートお願い致します!