見出し画像

衝撃の事実!!タンパク質を食べても「インスリン」はいっぱい出ます! インスリンは悪者ではありません!!


炭水化物を食べた時だけインスリンがいっぱい出ると思っていませんか?
実は、タンパク質を食べた時でもインスリンはいっぱい出ますよ!
インスリンは悪者ではありません!!

1.【結論】

ダイエットをするにあたって、血糖値を下げるインスリンには「脂肪細胞の合成と、脂肪細胞の分解の抑制」という働きを持つことから、炭水化物を避けてなるべくインスリンが分泌しないようにする考えがダイエット界には広まっています。

しかし、炭水化物だけでなく、タンパク質を食べた時でもインスリンはたくさん分泌されます。

インスリンが分泌されたら太るというのであれば、タンパク質も避けなければいけないことになります。

インスリンは脂肪を作るような悪者ではなく、血糖をコントロールしたり、筋肉を合成したり、筋肉の分解を抑制したりと、身体に重要な働きをしてくれる大切なホルモンであるということを理解しましょう。

2インスリンとは?

インスリンとは、血液中の糖分(ブドウ糖)を筋肉や内臓などの組織に取り込む働きがあり、血液中の糖質レベル=血糖値を調節してくれるホルモンです。

食事をして血糖値が上がると、すい臓が血糖値の上昇を感知してインスリンを分泌させます。

そして、血糖値が下がってくるにつれてインスリンの分泌も下がってきます。


インスリンは他に、「筋肉へのアミノ酸の取り込みを促進してくれる」・「筋肉の分解を抑えてくれる」・「脂肪細胞を合成する・脂肪の分解を抑制する」などの働きもあります。

そして、この『脂肪の合成を促進・脂肪の分解を抑える』働きに注目が集まり、

炭水化物を食べるとインスリンが沢山分泌される。

インスリンが分泌されたから脂肪が合成されていく

さらに、脂肪の分解も抑制されてしまう

そのまま体脂肪が増えて太ってしまう

このような考え方がダイエットをしている人たちの間で広まって、インスリンと炭水化物が悪者になってしまいました。

さらに、この逆を取って、インスリンの分泌を抑えることができれば脂肪は作られないから痩せることができるし、太っていくこともない!という考え方も広まりました。

本当に炭水化物だけがインスリンを分泌させる要因になるのでしょうか?

3.タンパク質を摂ったときでもインスリンが沢山分泌される

結論から言うと、タンパク質を摂ったときでもインスリンはたくさん分泌されます。

2010年の研究で、男性21名を対象に実験が行われ、AとBの2つのグループに分けました。[1]

Aのグループは、低タンパク質:高炭水化物食の食事が用意されました。
Bのグループは、高タンパク質:低炭水化物食の食事が用意されました。

その結果、タンパク質をたくさん食べたBグループのほうが、インスリンの反応が少し高い結果となりました。

食後の血糖値の反応に関しては、炭水化物をたくさん食べたAグループのほうが反応は高かったです。

よって、炭水化物食をよりたくさん食べたAグループのほうが血糖値の反応が高かったのに、インスリンの反応はタンパク質をたくさん食べたBグループのほうが高かったということになります。

このことから、タンパク質は炭水化物と同じくらいインスリンの分泌を引き起こす要因になっているということが分かります。

さらに、食後20分でのインスリン反応の速さは、タンパク質をたくさん食べたBグループの方が、インスリンが分泌される反応が速かったという結果も出ています。

よって、「タンパク質のほうがインスリンの分泌反応がゆっくりで、炭水化物を食べた時の方が、インスリンが急激に分泌される。」という考えも否定されたことになります。

さらにもう一つ、4種類の異なるタンパク質を摂取した場合の、インスリンの分泌反応の違いを調べた研究があります。[2]

健康な22人の男性被験者に、4つのプロテインシェイク(たまご/チキン/まぐろ/

ホエイプロテインを飲んでもらい、飲んだ後のインスリンの分泌反応を調べました。

その結果、すべてのプロテインシェイクでインスリンが分泌され、その中でもホエイプロテインが、一番インスリンが分泌されたという結果となりました。

また、すべてのプロテインシェイクで炭水化物が11 gと少ないにもかかわらず、インスリンが分泌されたということが分かります。

また、肥満体型の人と標準体型の人で、高タンパク質:低炭水化物の食事を行った研究で[3]、肥満体型の人は標準体型の人に比べてインスリンの分泌量が多かったですが、血糖値の変化は食事3時間後までも、ほぼ横ばいの結果となっています。

これより、インスリンの分泌反応と血糖値の間には関連性がないことが分かります。

これらの研究結果から、タンパク質は血糖値の変化とは関係なくインスリンを分泌させる強力な要因であることが分かります。

なぜタンパク質を食べた時でもインスリンが分泌されるのでしょうか?

タンパク質はアミノ酸が連なって構成されていますが、タンパク質が肝臓でブドウ糖に変換される糖新生という働きによって糖分が作られなくても、タンパク質はすい臓にインスリンを分泌させるように働きかけます。

特に分岐アミノ酸(BCAA)がすい臓にインスリンを分泌させる働きが強く、BCAAの中でも『ロイシン』というアミノ酸を摂れば摂るほどインスリンが多く分泌されることが分かっています。[4, 5]

4.まとめ

インスリンは血糖値を下げたり、筋肉を合成したり分解を抑制したりと、身体に重要な働きをもつ大切なホルモンの1つです。

実際に、タンパク質を食べた時でもインスリンが分泌されることが分かったので、炭水化物を控えてインスリンの分泌をコントロールすることがいかに無意味な行為であるのかということがお分かりになったかと思います。

仮に、「炭水化物を食べるとインスリンが分泌されて太ってしまうからダメだ!」というのであれば、タンパク質も食べてはいけないということになってしまいます。

今回はインスリンに着目したレビューなので、血糖値の変化に対してはまた別の話になってきます。糖尿病の方のように、糖質の過剰摂取は体にとって負担になるので注意してください。

「炭水化物を食べたらインスリンがたくさん出て太ってしまう」という考えは少し改めてもらえたらと思います。

参考文献
1. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20060863
“Measures of postprandial wellness after single intake of two protein-carbohydrate meals.”

2. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20456814
“The acute effects of four protein meals on insulin, glucose, appetite and energy intake in lean men.”

3. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18249201
“Diet-induced thermogenesis and substrate oxidation are not different between lean and obese women after two different isocaloric meals, one rich in protein and one rich in fat.”

4. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6800820
“The stimulus-secretion coupling of amino acid-induced insulin release: insulinotropic action of branched-chain amino acids at physiological concentrations of glucose and glutamine.”

5. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20500788
“Leucine metabolism in regulation of insulin secretion from pancreatic beta cells.”


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?