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First Step #1 専業主婦後、あなたはどう生きる、シンシアのグッドモーニング with 森田紘子(ホテル勤務)   Report by Yoko Ukai

2020年6月21日の日曜日、朝8時にスタートした 「シンシアのグッドモーニング!人生100年、いつも現在進行形」トークショー企画。
薄井シンシアさんが講演会やメディア記事、セミナーを通して知り合った(いま気になっている)働く女性、働きたい女性たちを招き、今を紐解く対談セッションです。

記念すべき第1回のゲストは、現在東京の有名ホテルにパート社員として勤務する森田紘子さん(43歳)。

●今日できることを一つひとつ積み上げていく

森田さんは、現在勤めるホテルに1年前に入社・研修プログラムを経て、念願だった接客業務についている。彼女はどのようにファーストステップを踏み出したのか。シンシアさんとのトークを通して見えてきたのは……。

森田さんには、10数年のキャリアブランクがあった。結婚後に仕事を辞め、夫の海外赴任に伴い子どもを連れて中国へ。11年に及ぶ中国生活を終えて帰国したその1年後に、復職へのファーストステップを踏む。そのきっかけとなったのが、シンシアさんとの出会いだった。

彼女が、シンシアさんの存在を初めて知ったのは、友人に教えてもらったWEBサイトの記事だった。専業主婦からホテルの営業副総支配人へと転身したシンシアさん。夫の海外赴任で仕事をやめ、17年間専業主婦をやっていた境遇に「私と同じだ」と強く共感した。でも一方で、「私は、とてもシンシアさんのようにはなれない」とも……。高揚感は次第に薄れ、悶々とした気持ちを抱えながら夜な夜な求人サイトを閲覧し、検索キーワードに「主婦、再就職、キャリアアップ」を打ち込む日々が続いた。

そんなある日、同じようなキーワードでヒットしたのが、シンシアさんの講演会だった。テーマが希望していたホテル業界だったこともあり、思い切って参加。ここで、次なるチャンスに巡り合う。それが、シンシアさんが関わっていた観光業復職支援プログラム。ホテル業界の求人募集を目的とし、ホテル業務のガイダンス〜就職面接までがセットされていた。
森田さんは、迷わず受講を決意した。講演の最後、シンシアさんからの「主婦は、キャリア0からスタートすればいい。何も失うものはないんだから」というメッセージに背中を押されたことも大きかった。まずは受講してみて、本当にホテルで働きたいのか自分の気持ちを確かめてみよう。(ちなみに、このときの講演会の参加者は70名。うちプログラムに挑戦したのは10名だった。森田さんは、その希少なチャンスをものにした一人である)

●家庭生活との両立を考え、今の覚悟に至るまで

2日間の支援プログラム講座では、ホテル業界現状や働き方について学び、自分自身と向き合い、なぜ働きたいのか、自分の強みは何なのかなどの自己分析を徹底的に迫られた。実際にホテルを回ってレポートするという宿題も与えられた。森田さんは、積極的に舞浜の外資系のホテルや東京のシティホテルをウォッチング。ホテル利用者の目線ではなく、ホテルの側に立った目線で彼らの動きや施設について学んだ。これが、彼女の意識を大きく変えたという。自分自身が、ホテル現場に立って働く実感が湧いてきたのだ。

受講後、設けられたジョブマッチングイベントで、ホテル数社との面談の結果、2社から内定をもらった。
「自分が、彼らからどう評価されるか自信はなかった。ただ、担当者の方はみな、主婦の力を活用したいと言われていました。そうか、自分を役立てる場所はあるんだなと。初めて、前向きになれました」
最終的に、家庭生活との両立を考慮し、今のホテルのパート勤務を選んだ。いまは、正社員になってフルに働く環境にはない。いずれ、そのタイミングはやってくるだろう。いまは、いまできることをやるだけだ。覚悟が決まった。

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●働きながらの葛藤やジレンマ、呪縛とは?

森田さんが勤務するホテルでは、スタッフ全員が特定のポジションを与えられていない。誰もがお客様の滞在全体をサポートするという考え方が基本方針としてあるからだ。そのため、彼女もまずは部屋の清掃からスタートし、フロント業務、接客と、ゲストに関わる全ての業務を一から順に習得してきた。
その点をシンシアさんが尋ねた。「葛藤はなかったの? トイレ掃除をしながら、なぜ私が? というジレンマはなかったの?」
というのは、森田さんには中国時代に身につけた中国語という強みがあり、それを生かしたいという願望があることをシンシアさんも知っていたからである。また、掃除のような仕事を自分の力量には見合わないと考え、離職していく女性たちを、シンシアさんはそれまでに何人も見てきていた。
ずっとこのままだったら…と思いましたが、まずは清掃業務をしっかり身に付けることが先決で、その過程を経れば、次はフロント業務だと分かっていたので。それに、お部屋の掃除をすると、何よりお客様のことがよくわかるんです。中国語も、清掃時にたまたまお客様から質問を受けたとき、役立つこともありました」

そんな森田さんをシンシアさんは、ある意味、元専業主婦の同志として1年間見守ってきた。その姿を評して、こう語る。
最初の頃の焦りがなくなってきたわね。どうしてなの?」。森田さんはこう答えた。
「ネットで仕事を探していた頃は、非正規で働く意味はあるの?とか、正社員になれるチャンスはあるの?とか、家庭生活のこともいろいろ考えて迷路の中にいました。でも、あの支援プログラムを受講して、自分が何を求めているのかをしっかり見つめなおすことができたんです。いまはパートでも、いま私にできることをやる。いつか強みを生かして仕事ができれば、それでいいと。ストンと、そう腑に落ちた瞬間があったんです。正社員でなければいけないという呪縛から解放され、とても楽になりました」

ステップバイステップで、着実にホテル業務に精通すること。その思いが、森田さんの日々を支えている。

●コロナ禍の今、1年後・5年後の自分は?

「コロナでいま、ホテル業界も大変だけれど、1年後の自分を考えたことはある?」とシンシアさん。
「ホテル業界は、私が新卒で派遣社員で働いていた時代も、大不況で停滞していました。でも、それはずっと続くわけではない。実際、その後にインバウンドを受け入れて成長し、産業として日本のなかでの存在感が大きくなりました。この流れは、今後も変わらないと思っています」

では、5年後は? 「その頃は、高1の息子も手が離れています。ホテルでキャリアアップしていたいという思いはあるけど、それを絶対とも思いません。何度もの引越しを含め、流動的な状況になることについては、鍛えられてきました。目の前の仕事をしっかりとやりながら、進んでいきたいですね」。
とはいえ、心には、いつか日本のホテルが中国進出するときには、その一助になりたいという夢がある。若手育成の仕事にも興味がある。
シンシアさんが言った。「総支配人はどう?」「いえ、それはおこがましくて……(笑)」
そういう可能性も、思慮深くポジティブな彼女なら…と率直に抱ける彼女ならぜひ期待したい。

次回の「シンシアのグッドモーニング」は6月28日

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