野球論(2021ver)

2021年に書いた16000字を放流します。
なので当時の考え方で書いていますし野球理論が古い場合があります。
なんですけど時代遅れになっていない気がして(NPBが進まない)。
読み返す際にデータ探すのめんどくさいからもうnoteに放流します。
原文ママでコピー&ペーストですね。


はじめに

LAA大谷翔平の、メジャー挑戦以降最高のシーズンが終了した。日本では毎日のように昼夜問わず報道され、メジャーリーグを目にした人は多い。さてそんなこんなで大谷翔平報道だらけだった一年も一段落したわけだが、そんな大谷を輩出した国の野球レベルはどれ程なのか考えたくはならないだろうか。今回は、私が風呂に入りながら三年間考え続けている事を整理する機会としながら自分の考えを書いていきたいと思っている。
(当時以上に2024年が大谷翔平一色になるとは思いもしなかった)

WBSC世界ランクとは

サッカーやテニス、ラグビーで世界ランクがあるように野球にも国別の世界ランクというものが存在する。図は2021年8月21日現在における男子野球の世界ランクである。オリンピックの金メダル獲得のポイントが大きく、日本は二位以下を大きく離して世界ランク一位という状況。2019年にはプレミア12で優勝しており、日本の強さに疑う予知はない。だがしかし、この世界ランクにはからくりがある。上図でまず考えたいのはWBCにて二大会連続で準優勝のプエルトリコの順位が12位である事だ。まず12位というのはあまりにも低すぎる。そして、第四回WBCにて一次ラウンドで敗退した台湾と韓国よりも下というのも理解しがたい。つまり、このWBSC世界ランクは今現在のレーティングを反映しているかというとそうとも言えないのだ。
これには大きな理由が二つある。一つ目が国際戦の歴史が浅い点。二つ目がA代表の結果以外も世界ランクに反映している点である。
先ず一つ目の、国際戦の歴史についてだが野球の国別対抗戦で最も権威があるWBCは2006年に始まった。FIFAワールドカップが1930年に始まった事を考えればその歴史は大きく異なる。WBCの価値についてのお話はここでは省略するとしてプエルトリコやコロンビアといった野球強豪国の世界ランクが伸び悩んでいるのは、十五年程の歴史ではそれぞれの国の力関係がランキングにはまだ反映出来ないということだろう。
加えて世界ランクの制定は2009年と野球の国際戦はまだ発展途上である。これから如何様にも変わるランキングと言える。

次に二番目の理由として挙げた世界ランクに反映される大会の種類についてだが、文字通りA代表以外の成績もランキングに反映される。これはU18の野球大会、U15やU12といった全ての世代の野球国際戦が反映されるという意味である。この理由を知れば、世界ランク上位をアジアの三地域が締めるのも合点がいくだろう。小学生の頃から細かな野球を指導される日本が、手堅い野球で実績を積み上げていくことは容易に想像出来る。組織的な野球を小さい頃から指導される事の善悪は置いておいて、これまでその野球がA代表(侍ジャパン)以外の年代において世界に通用していたのは世界ランクの通り明らかである。
何はともあれ、中南米の国々はU18などの年代において世界大会の実績が無い為ランキングが不利になるのは致し方無い。そしてパンアメリカン競技大会といった大会の結果がランキングに反映されない点も大いに影響している。
この世界ランクである程度の実力をはかる事は可能だが、正確なランクを作るには時間が必要なのと共に、様々な利権関係の解消も必要となってきてしまう。相当困難な道と言えるので、すぐには期待出来ないだろう。

WBCはFIFAワールドカップになれないのか?

サッカーワールドカップと言えば今日も行われているように、数年単位で行われる一斉予選を消化しながら世界一を決める最大級の大会である。その分全世界的に盛り上がりを見せる。野球がこの域まで行くのはかなり難しい。東西に140試合を超える試合数にプレーオフが追加される日程を組んだリーグを複数抱えているので、開催時期に制限がかかるのである。現在WBCは主に三月に行われているがこれも苦肉の策である。WBCと比べMLBのほうが圧倒的に歴史が長く「ワールドシリーズ優勝チームこそが世界一」という考えが深く根付いている事も大きな理由の一つ。サッカーの場合クラブは選手を本国のナショナルチームに派遣しなければならないが、野球では球団との契約優先度の方が高い。アメリカやドミニカ共和国など中南米の国々に限った話ではなく、MLBに所属する日本人選手がWBCに参加出来なかった例も毎大会存在する。WBCはMLBも関わって出来た大会なので、これから改善する可能性もあるが力関係は変化しないように思う。
しかしながら、第四回大会でアメリカが優勝したことでアメリカが拗ねる理由がなくなったこと、選手達がWBCへの意欲をまた思い出してくれた事も大会の改善に少し作用するだろうと希望的に考えたい。
(この点については非常に改善した。第五回大会は歴史的な大会だった)

オリンピックやプレミア12で実力は測れるのか

上項にてWBCとMLBは関わり合っていると表現した。ではプレミア12の場合はどうだろうか。プレミア12はU18ワールドカップと同様WBSCが主催の大会である。つまりMLBは直接の関係がなく、MLB側も選手に負担を強いてまで選手を派遣する理由がない。故に選手のレベルは下がる事になる。オリンピックはアマチュアの大会であった過去もある事から詳しく本項で記すことはないが、同じ理由でMLBが選手を派遣する事はない。

本稿の結論から言えば『プレミア12での優勝が「世界一奪還」かと言われると疑問だ』という事だ。世界最高峰のMLBから選手が派遣されない以上、世界二番目に位置するであろうNPBに所属する選手が活躍して優勝するのは当然と言える。当然勝負は下駄を履くまでわからないが選手のレベルとしては日本チームが勝るだろう。

さてここまで書いて、国同士の正しい力関係は測れないという結論が出た。ではこういった大会では何を見ていけばよいか。オリンピックの野球競技は今年の東京オリンピックを最後に暫く見られる機会はないだろうが、この東京オリンピックで明らかになった実力面を記していく。
(ロス五輪にわずかな希望があるらしい)
MLBがオリンピックに選手を派遣しないのは記したとおりだが、それでは各代表の戦力はどうであったか。まずは日本が初戦で戦ったドミニカ共和国。メジャーリーガーも多く輩出する国だが、勿論メジャー契約選手の出場機会は与えられていない。代えてマイナーリーガーが登録されたわけだが、メジャー経験豊富なホセ・バティスタやトッププロスペクトのフリオ・ロドリゲスが登録されている。シアトルマリナーズはロドリゲスを派遣しているわけで、オリンピックという舞台で経験を積んで来てもらうという意図もあったかもしれない。フル代表と比べればかなり見劣りするが、ドミニカ戦は数名の勢いのある選手を見られる機会となった。他国のプロスペクトと対戦できた事、プレーを見られたことは意味がある。
(フリオまじで神、シアトルの英雄となれ[もうなっとる])
上記の事はアメリカ代表にも同じことが言える。ノックアウトステージ二回戦の日本戦で登板したシェーン・バズは今やメジャーリーガーとしてタンパベイレイズに帯同しているし、左の大砲トリストン・カサスやショートストップ、ニック・アレンは今後の活躍が期待される選手だった。アメリカやドミニカといった中南米の国々がMLBから送り出せなくても有望株を代表入りさせる流れはプレミア12でも起きており、マイナーリーガー中心のチームとはいえ侮れないのはこのためである。他国であっても今後A代表になりそうな、WBCで戦う事になりそうな若手選手から得られる物は大きい。日本はMLBに所属する選手が少ないためNPB中心でチームを組んでもトップチームに値する。その戦力でどれだけ戦えるか。その距離感を図るには十分な大会だと考えられた。ゆえに今回金メダル獲得は絶対だったとも言える。

WBCについて

さていよいよWBCについて記していく。サッカーでいうワールドカップへ、その他色々な競技の世界選手権に匹敵するような格を持つ大会になっていけるのか。この辺りが重要なポイントになるだろう。WBCは2006年、2009年、2013年、2017年の四度開催されており、欧州から南米、オセアニアなどの国々が参加する予選を擁し、全十六ヵ国が本戦に出場する国際大会。これはかなり大きな規模になる。本格的に野球のナショナルチームを作れる国は多くはないが、参加資格は広く与えられており野球ファンが希望を持っている大会の一つだ

第一回、第二回と日本が優勝し、キューバや韓国などの国が上位に進出したために、MLBの選手はWBCに興味がないという誤解も広がったが、決してそうではない。アメリカが優勝するのに時間がかかってしまいアメリカ側が一時期拗ねてしまったが、第五回大会を迎えるに当たってようやくフラットに、世界大会としてのスタートを切れたのではないかと思う。第四回大会の一次ラウンド終了後にはMLBコミッショナー、ロブ・マンフレッドが大会の中止や縮小といった声に対して「信じられない。毎回、このイベントは成長している。試合の内容、参加国、入場者数が上昇している」と述べたことが報道されており、開催への積極的な姿勢が伺えた。これは野球というスポーツがまだ終わっていない事の証明でもあり、我々野球ファンは安堵した。

一方で優勝争いに食い込むことが出来る国と予選リーグで1勝する事も難しい国が出るなど戦力差の大きさも明らかになった。現在、八十四か国がWBSC世界ランキングに登録されている(当時)が、そこから選抜された国々同士でも一方的な試合展開になることも珍しくなく、野球人口全体で考えればいわゆる「格差」は大きい。アマチュア最強と言われた赤い稲妻キューバは2021年10月に野球の国家文化遺産認定を宣言したが、キューバのように熱心な国はそう多くはないのが現状だ。これから国際戦に求められるのはその上位チームと下位チームの差を縮めていくことにある。

そんな大会もまだ発展途上だ。色々な齟齬もあってメキシコが予選リーグを抜けられずエイドリアン・ゴンザレスが激怒した話は記憶に新しい。大会規定が毎回変わる事はまだまだ不思議ではなく、細かいルール変更などは今後も行われるだろう。

さて、そんな大会規定には球数制限や連投制限などの選手の消耗を防ぐ措置や、同星になった際の勝ち抜けを決定する項目などが詳細に決められているわけだが、その点の善悪はここでは置いておいて、今回はより大きな部分での「傾向」を見ていきたい。それは紛れもなくグループ分けである。色々書いてきたが私がWBCについて考えたい問題はこのグループ分けの問題一点といっても過言ではない

第四回大会は本選出場権四枠を争って十六チームがWBC予選に出場しているが今回はその予選を経て組まれたWBC本戦の一次ラウンドのリーグ分けに限定して述べていく。

A組・ソウル
韓国(3)台湾(4)オランダ(9)イスラエル(41)
B組・東京
日本(1)キューバ(5)オーストラリア(10)中国(18)
C組・マイアミ
アメリカ合衆国(2)カナダ(8)ドミニカ共和国(13)コロンビア(19)
D組・ハリスコ
メキシコ(6)ベネズエラ(7)イタリア(11)プエルトリコ(12)
(国名右の括弧は当時の世界ランク)

上記が第四回大会の2017年WBC本戦一次ラウンドの組み分けである。ヨーロッパからはオランダやイスラエル、そしてイタリア。アジア圏からはオーストラリアを含め野球でよく聞く名前が並び、アメリカ大陸からは豪華な面々が集まった。見ているだけでワクワク出来る組み分けではあるのだが、何か気付く事がないだろうか。アジア圏の国がA組かB組、北米中南米の国々はC組かD組とはっきりと太平洋を挟んで配置されている。仕方が無いように見えるかもしれない。キューバやオランダがソウルラウンドや東京ラウンドで試合をしているからいいじゃないか、と思うかもしれない。しかしこれでは日本が中南米の国々と戦うにはベスト4まで進む必要が出てくる。

加えて世界ランクは眉唾物だと散々書きなぐってきているが、このリーグ分けにもその理論が使えてしまう事が問題なのだ。A組ソウルラウンドなどは世界ランクで見ればイスラエルが抜けることなど考えられないのだが、結果はオランダとイスラエルの勝ち上がり。自国開催の韓国は台湾との馬鹿試合を勝ったのみでレベルの低下が韓国国内でも大きく問題視された。日本が振り分けられたB組は世界ランクだけ見れば接戦が予想されるが、実は日本だけ一段階も二段階も上のレベルで野球をやっている。亡命続きのキューバに強かった頃の面影は無いし、オーストラリア国内リーグは開催期間がアメリカや日本と比べて短く選手の育成を国内で満足に行える環境ではない。
(韓国と台湾が今はもっと弱くなっている感じになっとるよな)

太平洋を隔ててMLBとNPBの二大リーグが展開されているため、東京とマイアミを拠点にする仕様はある意味当然なのだが、アジアとアメリカの交流が少ない点は世界の野球レベル向上の大きな弊害になっている。世界戦は各国の戦い方や選手の特徴などをお互い知り合い、刺激を受けてレベルアップしていける機会のはずだが、これではアジア大会と似た状況になる。

大きくアジア圏とアメリカ大陸でリーグを分けている弊害はWBC二次リーグでより顕著になる。東京ラウンド(E組)には日本、オランダ、イスラエル、キューバが進出。ユダヤ系アメリカ人集団のイスラエルと骨抜きのキューバを抑えてメジャーリーガー擁するオランダと日本が勝ち進んだが、このラウンドはコールドになった試合が二試合。サンディエゴラウンド(F組)ではコールドゲームが無かった事を考えると、二次リーグでさえリーグ内格差が起きる東京ラウンドは実力差が大きすぎると言える。

日本は二大会連続で二次リーグを抜けたが、準決勝で敗退している。ホームグラウンドでは打撃も好調だがアメリカラウンドではぱたりと打てなくなった。つまり内弁慶というわけだ。「動くボール」というのはテーマの一つとして散々言われてきたが、その「動くボール」と対峙出来るのが準決勝なのだから、打てなくなって当然というわけだ。当時はMLBで活躍していた青木宣親、ドミニカウインターリーグに参加した経験を持つ筒香嘉智を召集していたがそれでうまくいくほど甘くはない。アメリカ戦では日本投手陣の綺麗なフォーシームとMLBではあまりお目にかからないフォークの評価が良好だったが、投手陣が通用するのは既に分かっていた事で貧打には常に泣かされている。この状態では、C組で敗退したコロンビアやカナダ、D組で敗退したイタリアやメキシコに勝利できるのかどうか。判断が付きかねる

中南米からわざわざアジアに遠征するのはリスクも大きいため、MLBや大会組織委員会が渋るのも無理もない。日本の野球ファンの盛り上がりから見て東京でリーグを組まないのはおかしな話でもある。しかし、どうにか交流を模索していってもらいたいものだ。MLBに多く選手を輩出する国と一次ラウンドから戦う。そうやってNPBの現在地を見極めていくのがレベルアップに繋がるのではないだろうか。WBCに関してプエルトリコの正捕手ヤディエル・モリーナは2017年大会後のインタビューにて「母国ではWBC期間中に犯罪が減った、それが全て」と公式にコメントを出している。WBCはこれから増々、熱くなれる良い大会に成長していけるだろう。世界が熱狂の渦に巻かれるような大会になり、そこで日本野球が結果を出す。日本の野球ファンとしてそれを願っている。
(なんか知らんけど第五回は結果を出した日本。ただNPB野手が世界レベルだったかは微妙なところ)

アジアでの日本の現在地~アジア三大プロリーグから考える~

日韓戦、日台戦。隣国なだけあって気合の入る一番に違いない。韓国といえば2006年WBCで二回負けた相手。台湾とは2013年WBC二次ラウンドで激戦を演じた相手である。実力差は無く、毎試合拮抗したゲームになる。そんな韓国と台湾が2017年大会では一次ラウンドで姿を消し日本は第四回大会では対戦が無かった。大きなショックを持って隣国にて報道されたこの二チームの敗退。韓国では戦犯探しが盛んになる程悲劇的だったようだ。世界との距離を見せつけられてしまった二チームだが、日本は果たしてどうなのか。日本は今、どのレベルで野球をやれているのか。ナショナルチームはどこまで戦えるのだろうか。まずはアジアでの立ち位置から見ていく。

はじめにそれぞれのリーグの特徴から。韓国の国内リーグはKBOと呼ばれる。KBOは歴史も長くNPBとの繋がりも深い。NPBファンならKBOから外国人補強をする球団が、例えば阪神や巨人といったチームがある事もご存じの事だろう。セドンがさっぱりだったとかサンチェスは二年続かなかったとかロサリオは大外れだったとか色々言いたい事が出てきてしまうKBO産助っ人外国人だが、環境の違いや適応力の部分もあるのでとやかくは言わない。
KBOは基本的に打高と言われている。それもストライクゾーンが他のリーグよりも狭い事によって打者が思いきりゾーン内のボールにコンタクト出来ることが要因とされている。韓国でも話題になるストライクゾーンはここ数年反省して広くなったとかなっていないとか様々な意見があるようだ。一方で打者のレベル以前の話として、投手のタレント不足は指摘されている。数年前開幕投手を全チーム外国人が務めた年があるくらいに各チーム韓国人エースを探している状況である。WBCでも活躍し今はMLBセントルイスカージナルスでプレーする金廣鉉に代表されるように韓国人左腕ブランドは確固たるものがあるが、頭数が少ない。2017WBCでは違法カジノ疑惑でKBOでのプレーに制限がかかっていた呉昇桓や晩年に差し掛かっていた林昌烈を召集しなければいけなかった。韓国ナショナルチーム首脳陣の言葉を借りれば「韓国も世界レベルのチームを作れるが、そのレベルのチームを日本は3チーム作る事が出来る」くらいの選手層というわけである。
兎にも角にも、KBOは打者が成長する土壌である事は言える。パワーを最大限に出力してボールを遠くまで飛ばすという思考が生まれやすい環境だ。かなりMLB寄りのリーグ構成になっているとも言える。事実アジア三大リーグの中で一番MLBに野手を送り込んでいるのはKBOである。朴炳鎬や姜正浩といった長距離砲や日本でも活躍した李大浩。金賢洙や黄載均といった所もプレーは一年間だけだったがメジャー契約にまでこぎつけている。契約出来るというのは韓国人野手の評価が高いという意味でもあり、今年からサンディエゴパドレスでプレーする金河成が高待遇だったことも頷ける
(金河成は神、アジア人内野手の希望よ頑張れ)
KBOのレベルを総合的に判断するとNPBより劣ってしまうが、東京オリンピックで見た姜白虎や李政厚など世界で戦える野手を輩出できるリーグなのである。一方で粘りを欠いたり淡泊だったりと脆い野手も多くいるのでKBOで抑えていた投手だからと言って世界で通用するわけではない。
(KBOの打高は力ずくで抑え込んだとかって聞いたけどわからん)

次に台湾リーグCPBLについて。CPBLは今年から1チーム増えて5チーム(今はもう一個増えたけど)になったが規模としてはNPB、KBOに次ぐ大きさに変わりない。ただ、野球人気という点では勝るとも劣らない。
台湾出身としてNPBで初めてドラ1指名を受けた陽岱鋼の名は多くの市民が知っており、野球は台湾で広く浸透している。台湾の蔡英文総統も度々球場を訪れており、政府としても野球を盛り上げようという意志を感じる。台湾はアマチュアとプロの仲が悪かった時期があり、プロを経由せずにMLBを目指す選手も少なくなかった。かつて西武ライオンズに所属していたCC・リーも大学卒業後クリーブランド・インディアンスとマイナー契約を結んでいる。

羅嘉仁や王維中などアメリカ帰りの選手がCPBLのドラフト指名を最近では受けており、関係の悪化は落ち着きつつあるのかもしれないが、この先どうなるかわからないとも言える。CPBLと中華民国野球協会(アマチュアの統括機関)の不和という問題は台湾の国際戦にも影響している。実際2017WBCはラミゴモンキースが中華民国野球協会(CTBA)の要請に従わなかったためフルメンバーで戦う事が出来なかった。2017WBC予選敗退の原因の一つでもあるのでこれから国際試合で戦っていくためにはどこが主導権を握ってナショナルチームを運営するのか、解決していく必要があるだろう。

KBO、CPBL共に盛んなリーグなのだが、市場規模という点ではやはりMLBやNPBに劣ってしまう。元々の人口や経済面で致し方ないが、KBOの一億円プレイヤー誕生はつい最近の事であるし、日本ハムファイターズにラミゴから移籍した王柏融の台湾時代の推定年俸は2000万円だったことからも金銭面で世界と戦うのは厳しい。ただ、国民の野球熱は確かなもので100試合を超える試合数をこなしリーグの底上げと普及を行っている。どうしても経済面で劣ると外国人補強で他国に負けたり選手の流出が起きやすくなったりと大変だが、今のところ大きくリーグが崩れているようには見受けられない。KBOもCPBLも外国人登録は一軍3人までとNPB以上に厳しく定められており、上手いバランスがとられているように思う。
こうして各リーグの特徴を挙げていくと、NPBが一歩リードしているように感じられる。ただしそれは「本国のプロリーグに限定する話なのかもしれない」というのが今回のテーマなのである。要はMLBとの行き来がどういう理由であれNPBよりも盛んな韓国と台湾は知らないうちに地力をつけている可能性がある。アジアシリーズが中断し、サッカーのようにクラブワールドカップが無い以上、大枠としてのリーグ間の差よりもWBCで全世界から集めたナショナルチームに勝てるかどうかを考える方が野球の場合賢明な議論になりやすい。
MLBやマイナーリーガーとして数年間を過ごした選手が自国のリーグに戻る流れは韓国と台湾で加速している。NPBも青木宣親が復帰したりしているが、行き来の盛んな韓国や台湾とは比べ物にならない。プレミア12で活躍したマイナーリーガー江少慶がCPBLに復帰した事もニュースであるし自国のリーグに刺激を与えている。
他リーグとの交流がレベルアップに繋がると考えれば、リーグに発展の余地がある事も含め、彼らの持つ伸びしろはNPBよりも大きい
MLBでプレーする事が全てでは無いとはいえ海外志向の選手が多い事は悪い事ではない。NPBはそれなりのレベルである事と年俸などの条件が十分満たされているため、わざわざリーグを変える必要が無いのも確か。だからこそ、多少の悪条件でも海外へ挑戦しようとする選手達がいるのであれば温かく送り出して欲しいと思う。

アジアプロ野球チャンピオンシップの価値

オリンピックやプレミア12では各国の有望株を見られる良い機会だ、という論を展開した。勿論有望株は数年後、国やチームを引っ張っていく存在になり得るので注目したい。さて韓国と台湾は国際戦には毎回本気で向かってくるので有望株を見る機会が少なかった。それが理由かどうかはわからないが、2017年にNPB、KBO、CPBLが主催となって24歳以下、または入団三年目以内という参加条件の大会が新設された。これがアジアプロ野球チャンピオンシップである。日本、韓国、台湾の三チームが若手中心のチームを組んで試合をする機会である。将来的にはアジア諸国によるアジアチャンピオンシップへの発展を目指しており、アジア三大リーグがこれからの野球について考えている証左なのだ。当時、私は日本戦を全試合テレビで観戦したが、大いに刺激を貰える大会だったと感じている。第二回は2021年を予定していたが、コロナによって飛んでしまい大変残念である。
(第二回を見てやっぱりやってよかったと思っているよ、オーストラリアも一緒にがんばろな)

この大会には日本からはプロ一年目の堀瑞輝やブレイク直前の中村奨吾、日本ハムでレギュラーを掴んだ年の松本剛、プロ二年目の西川龍馬などが選出され、外野陣は上林誠知、オコエ瑠偉、桑原将志というフレッシュな面々だった。
韓国からは今やスターとなった金河成と李政厚も参加しており、彼らのプレーを東京で見られた事には意味がある。台湾からは陽岱鋼や王柏融といった実力が証明済みの選手も活躍していたが、林立や郭阜林のような若手が経験を積めたことは大きい。この内野手二人は共に右の長距離砲に成長し所属チームを支えている。今年A代表を組めば入るであろう選手が四年前に国際戦で見られたというのは貴重だったのではないだろうか。大会全体としては日本の打力が証明された結果となったが、若手同士の溌剌としたプレーが見られる機会はこれからも増えていって欲しい。
ちなみに大会MVPを外崎修汰が獲得しているがこの外崎も実は2017年当時は出てきたばかりの頃でフレッシュだったのである。今や西武ライオンズに欠かせない選手だ。

世界の中のNPB

世界にはMLBを中心にメキシカンリーグやドミニカウインターリーグなどがある。プロリーグに限っても杉谷が挑戦したオーストラリアン・ベースボールリーグはオセアニア圏では一番活発だし、GG佐藤が契約したイタリアン・ベースボールリーグやオランダのフーフトクラッセなど欧州にもリーグがある。中国やキューバも自国にリーグを持ちレベルはまちまちでもクラブ数でいえば結構な数が世界に存在しているのである。

NPBがこれからどうレベルを維持しそして進化し、世界で存在感を放てるか。世界の野球レベル向上にかなり影響する問題だと私は思っている。アメリカ大陸ではMLBで契約解除された選手がメキシコに向かったり、オフシーズンにドミニカで挑戦したりと一定のレベルが維持されている。メキシコ代表はメキシカンリーグで成績を残している選手を選出する場合も多い。このように地域が一つの野球コミュニティのようになれば、一年中実力を計る機会を得る事が可能となる。NPBがMLBと双璧の存在になれればKBOやCPBLと共にアジア全体のレベルが向上するかもしれないわけである。

夢物語のようだが、福岡ソフトバンクホークスはNPBのレベル向上を真剣に考えていると思われる動きを見せている。三軍新設やファームのトレーニング施設の充実化はもとより、ソフトバンクホークスのポスティングに対する姿勢は選手の流出を防ぐのが第一条件とはいえ「選手を売らない」という考えから来るものであった。例えば柳田悠岐が海外挑戦をすればNPBのレベルは一時的に下がるかもしれない。都合の良い解釈かもしれないがソフトバンクホークスが世界を目指しているなら考えられる。ソフトバンクはキューバとのパイプも大切にし、スカウティングも欠かさない。MLBから一巡目指名を受けたこともあるカーター・スチュワートJrの獲得も、幅広い人脈とどこの選手であれ戦力と判断すれば獲得に動く球団の姿勢が垣間見られた出来事だった。柳田選手のMLB挑戦が見たかった思いも捨てきれないがソフトバンクの判断はわからなくもない。今年のソフトバンクは不甲斐なかったが、また世界と戦える戦力を整えてくるのだろう。
(ソフトバンクの現在の体たらくは怒りを覚えるものがありますけども)

今オフMLB球団からNPBで抑えを担っている各チームの守護神に声が掛かっている。阪神のスアレス、巨人のビエイラなどが報道されている。メジャー経験の無いスアレスやメジャーでとんでもない暴投を繰り返していたビエイラに誘いがあるのはNPBで一定のレベルアップが確認されたからであろうし、NPBで上手く適応しMLBへ帰っていく選手がいるのは悪い事ばかりではない。踏み台にされたとも言えるが、キッカケを掴む舞台を提供できたとも言える。元ヤクルトのバーネットのように日本で好成績を残せた事でMLB復帰のチャンスが生まれたと感謝の意を公式に表明する選手も存在する。(ポスティングシステムを利用した移籍を模索しヤクルト球団に金銭面の補填が入る事を期待した)
現状ではアジア三大リーグはMLBに対してはお伺いを立てるような戦力補強しか出来ないが、差を縮めながらアジアはアジアの野球を極めていく事で、対等なやり取りが可能になるかもしれない。

NPBのこれから、そして日本野球

最後にNPBのこれからについて考えていきたい。現代野球は技術の進歩もすさまじい。投球フォームなどのメカニズム的な部分やウエイトトレーニングなどの練習方法の確立など。指導者や研究者はより怪我のしにくいフォームを目指して日々勉強しているようだ。そんな中で現代野球において外せない話題は、セイバーメトリクスをはじめとするデータ野球の存在である。アナリスト達が選手一人一人の能力を普遍的な価値で評価するべく、毎日数字遊びをしている。納得できるものから意味が無さそうな物まで色々と計算式が編み出されているが、こういった数字を本場MLBではフルに活用しチーム運営をしているようだ。

NPBにもこのセイバーメトリクスやデータ野球の波は入って来ている。野村ID野球のより細かいバージョンと考えるとわかりやすいかもしれないが、NPBの各球団は活用しているのかどうか。

セイバーメトリクスを利用するにはトラックマンやスタットキャストと呼ばれる機械を球場や練習施設に導入し、データを毎試合記録していく必要がある。日本で一番本格的に導入しているのは福岡ソフトバンクホークスの練習施設と言われているが、世界的に見れば主要球場に導入が完了したのはKBOよりも遅かった。NPBはこういった機器の導入で世界に遅れを取っている。例えば近年導入されたリクエスト制度でもNPBのハード面での脆弱さが表れている。この制度は日本ではテレビカメラの映像を低速で再生し目視でセーフかアウトか判断しているのだが、MLBやKBOではより高性能なカメラでプレーを記録しており、おまけにMLBではニューヨークに専用の施設があり、全試合一括で判定を下している。つまり審判がその場で見るのではなく、サッカーでいうVARのように多くのカメラがとらえた映像を元に第三者が判断しているのだ。

このように他国のリーグに設備的に劣る環境でどれだけデータ野球を展開できるのか疑問は残る。日本の企業では株式会社DELTAがNPBのデータを算出しており、一定の評価が与えられている。しかし、恐らく地方球場などにはトラックマンは未整備のはずで正確な数値が出ていると私は思っていない。統計としてある程度の信頼はおけるはずだがどうしても信用しきれない部分がある。外野手の送球を評価するARM(arm ratings)や野手の守備範囲を示すUZR(ultimate zone rating)などが本当に甲子園や神宮球場で算出可能なのか。(ARMなんてDELTA社社員の主観やろそんなもん)フィールド上を細かく分割し守備範囲を出しているなどと言われても信じきれないNPBの技術力である。

新しい野球の見方としてのセイバーメトリクスは面白く、ファンは参考にしながら観戦出来て素晴らしいとは思うものの、日本人は扱い方に慣れていない。例としてオールスターゲームで投球の回転数を表示するトラックマンを導入してみたところ、放送席が数字ばかりを気にしてしまってゲスト解説に来ていた選手に窘められる有様で、中継がままならぬモノになっていた。ただでさえテレビ画面が賑やかになっている昨今、データ面をどのくらい表示するかなどはテレビ局の手腕にかかっているし、その姿勢が今後の野球ファンのデータに対する向き合い方を左右するだろう。

データを元にした戦術で近年よく言われるのはバントの是非と守備シフトの問題である。まずはバントの是非から見ていこう。日本野球の従来の形は、一番打者が出塁し二番打者が走者を進め、三番から続くクリーンアップで返すというものである。巨人の川相やヤクルトの宮本慎也など「犠打」の記録を持つ選手の名前はすぐ頭に浮かぶ。犠打が日本野球の基本であったし、先頭打者が出塁した際に真っ先に考えられる作戦だったわけだ。そんな犠打が統計学で否定されつつある、というのが最近言われているバント不要論でありこれがまた、二番強打者理論という別の考え方に繋がっていく。

ではなぜバントをしてはいけないのか。理由としてバントは「アウトを増やしてしまう」という点が挙げられている。2020年1月14日に日本経済新聞に掲載されたコラムによれば、ノーアウト一塁とワンアウト二塁の得点期待値は0.13点違いノーアウト一塁の方が得点期待値が高いとされている。データ上の話だが、野球中継の解説が「投手はバントをしてもらって一つアウトを得られるので心理的に大きい」と言っているのを良く聞くためあながち間違いでもなさそうなのだ。それでもバントをしてしまう理由は恐らく二つあり、得点圏にランナーを置く事が大事とされていることが一つ目で、併殺を防げることが二つ目だろう。中でも二つ目に挙げた「併殺を防ぐ」という「最悪のケースを免れるため」にバントをしている節がある。ノーアウト一塁から打たせる事を「強攻」と評するのもこの「併殺」がちらつくがゆえに出てくる言葉だと思う。消極的な作戦として選択されていると感じてしまうのだ。

無論バントという戦術が全てにおいて悪いわけではない。得点期待値の話だけでいえば、ノーアウト二塁からバントをしてワンアウト三塁を作れば期待値は上がる。そしてそんな机上の話以前に、終盤の一点勝負でバントをして一点をもぎ取りに行く采配は十分にあり得る采配であるし、国際大会のタイブレークではノーアウト一二塁からバントをするのが定跡化されている。相手にワンアウトを献上する価値がその局面にあるかどうか、場面場面で使い分けていく事が重要になる。

バントの価値が少しずつ変わってきたという話なのだが、NPBでも間違いなく価値判断は変わってきている。今年のパ・リーグ優勝チームオリックスバファローズの野手の中でバントが一番多い選手は安達了一と宗佑磨で14個だった。2017年優勝チーム福岡ソフトバンクホークスの今宮健太は52個なのでその違いは明らかである(工藤公康はバントが好きだが)。宗佑磨は二番打者として出場する事が多かったため、従来の日本野球的感覚では少ないように感じる。しかしこの傾向はオリックスだけではなくあれだけ弱かった日本ハムファイターズもバントは石井一成の14個が最多。最下位に沈んだ埼玉西武ライオンズも源田の17個が最多と打力が乏しかったチームもバントを多用する作戦は取っていないようだ(そもそも一番打者が出塁しなかったかもしれないが)。「二番はバント」という固定概念は間違いなく日本野球からも消えているのだ。現にヤクルトスワローズが優勝した2015年と今年はそれぞれ二番を川端慎吾、青木宣親としっかり振り込むタイプのバッターが担っている。
(時代が逆戻りしたかのようにバントを連発する監督に開いた口がふさがらない。ナゴヤドームを本拠地にしているチームはまだしも、東京ドームであの打線でバントするのだから救いようがない)

「二番最強打者理論」はMLBからバレルとかセイバーメトリクスとかいう横文字と共に輸入された。この理論は単純明快、二番に長打を打てる打者を置く事で得点効率が上がるという意味だ。考えて見て欲しい。一年間143試合の中で一番打順が回って来るのが一番打者で次に回って来るのは二番打者だ。二番打者が打てない選手では一年通して見れば当然チームにとっては損になる。非常に簡単な理論なのだ。一番から五番まで打てる選手が並べば当然点が入る。強かった時の西武ライオンズのような打線が組めれば優勝するわけだ。

「二番=バント、小技」という考えが無くなるのと時を同じくして、二番に非力な選手を置く事は無くなるので、二番最強打者理論は深く議論するほどの論ではない。「上位打線は沢山打席が回るのだから打てる選手を置いた方がいいよね」という当たり前の理論なのだ。

打順の巡りは試合が始まってしまえばわからないもの。九番から始まる回もあれば二番から始まる回もある。初回の得点効率は勿論大事だが、九イニングで如何に点を取るかはその場で考えていくしかない。日本人は体格的にもMLBのようにホームランに振り切った打撃は出来ないが、だからこそ多様な作戦を施行出来る野球脳が必要であるし、その細かさが日本の特色なのだろう。スモールベースボールは昔の物となったかもしれないが、だからといって守備走塁を疎かにしてよいわけではない。今年セ・リーグでは岡本和真、村上宗隆、鈴木誠也とホームラン争いを日本人で繰り広げた。長打力という魅力を得たわけだが、だからこそ日本チームはより一層細かい野球に磨きをかけ世界と戦うのではないだろうか。

次に守備シフトについて。シフトはMLBから近年輸入された考え方というわけでもなく、王貞治シフトがあったようにNPBにも元々あった。そもそも内野手全員を動かさなくても、選手個人で打者に合わせて守備位置を変えるのは基本である。今MLBで言われているのはどのような打者であっても大胆に守備位置を変えるシフトであろう。例えば三塁手が二塁手の後ろに回り、左打者の引っ張りの打球に対してヒットゾーンを狭めたりする。三塁線に転がされれば出塁を防ぐことは不可能なのだが、その場合は長打を防ぐことが出来る上に、打者が自分の打撃を出来ず調子を崩すだろうというのがシフトの目的である。

NPBでも吉田正尚や柳田悠岐といった打者の時に日本ハムなどがシフトを敷いている場面を目にする事は増えた。ただ、かなり限定的に敷いている。理由として日本人打者はフルスイングする事が少なく、バットに当てる事がうまいのが挙げられるだろう。シフトによって選手が調子を崩すかどうかなど難しい所はわからないが、NPBではあまり馴染まないか。

日本野球のこれからと言いながら、MLBの話ばかりしてしまった。MLBに憧れを持つが故にNPBを見下している中年男性が嫌いな私である。MLBは確かにレベルは高いが昭和時代に憧れたような輝きが海の向こうにあるわけではない。そんなことはさておき、最後に思っている事をつらつらと。

自国のリーグが盛んであることは国際大会でもアドバンテージになる。その中でも日本はNPBの他に、四国アイランドリーグやBCリーグを有しているというある意味では野球大国である。ある勘違いしている経営者が「BCリーグを統合して一つの球団を作ってしまえばNPBのチーム数を増やすことが出来る」と宣っているが、BCリーグはそもそもそれが目的で出来た組織ではなかろう。BCリーグとはBaseball challengeリーグの略称であって「纏めればいいじゃん」的な安易な考えとは対極にある。近年栃木ゴールデンブレーブスのようにMLBを経験したような日本人やNPBのタイトル経験者を獲得し、集客に努めているが、これは客寄せパンダなだけであって理念にはそぐわない。そもそも2018年にBCリーグは27歳以上の選手の人数に制限を掛けるなど若手起用の流れを作っていた背景もある。これはコロナ禍で改訂されたが、西岡と川崎が二遊間を組んでいる状況は複雑である。新球団構想は馬鹿げていると思うが、BCリーグは経営難な球団ばかりなので、そこへの資金援助は是非お願いしたい。独立リーグからNPBに入れる選手はごくわずかだが今年のドラフトでは例年よりも指名が多い印象を受けたし、活性化していって欲しい。
(二軍参入という手があったとはという気持ち。どうなるかね)

打順の新しい考え方は先述したが、日本野球は「打順」にメッセージを持たせている。例えば「四番打者」はチームの中心というイメージが強く、据えられる選手には上位打線に組み込まれる以上の責任を負うことになる。そういうこともあって、効率上は四番の重要度は一番や二番に劣るとデータは出ているが日本には深く四番信仰が根づいている

一番から三番でチャンスを作り、四番のスター選手が返すという野球は日本野球の定番であり、一つの形。野球がチームスポーツである以上、「二番は繋ぎ」「四番は中心選手」「六番で楽に打たせる」などの気持ちの部分が試合結果に直結する可能性もある。日本野球はこれからもイメージを元にした打順の組み方を続けていくかもしれないが、それはそれで悪くないだろう。
(非効率すぎる場合はこの限りではないよ!!)

そんなNPBもクライマックスシリーズが終了し、日本シリーズ出場チームが揃った。東京ヤクルトスワローズとオリックスバファローズにはリーグの優勝チーム、そしてクライマックスシリーズファイナルを危なげなく勝ったチームとして熱い戦いを期待したい。アドバンテージも引き分けによる進出も無い、純粋な力勝負をファンとしては盛り上がりたい。NPBはチーム数が少ないながらも大規模なポストシーズンを作ってしまった為に、優勝チームにアドバンテージがあったり三番勝負だったり盛り上がりに欠ける部分はあるが、短期決戦の面白さを最後の七番勝負では存分に楽しませてくれるだろう。前年度最下位からの優勝を果たした勢いのあるチームによる、真のポストシーズンを楽しみたい。


・岡田友輔『実は手堅くない送りバント「損益分岐点」は打率1割』(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54338470T10C20A1000000/
 ・来季の選手契約及び年齢について(https://www.bc-l.jp/news.php?keyno=463
・「史上最高」のWBC 1次Rの観衆は過去最多 MLB首脳は継続開催に前向き(https://full-count.jp/2017/03/16/post61583/
・Baseball declared national cultural heritage in Cuba( https://www.wbsc.org/en/news/baseball-declarednational-cultural-heritage-in-cuba

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