見出し画像

「www」が冗談を台無しにする


2023年1月16日(月)朝の6:00になりました。

どうも、高倉健ですwww

冗談です。どうも、高倉大希です。




書くことには不安がつきものです。

書き手からは、読み手の姿が見えないからです。


これで本当に伝わっているのだろうか。

勘違いされてしまうのではないだろうか。

そんな不安が、書き手の自意識を肥大化させます。


進化心理学という学問では「不安によって動く」のが人間の行動原理であるとされています。私たちがテクノロジーや文化を発展させてきた原動力は「不安」の感情にあるというわけです。

二重作拓也(2022)「強さの磨き方」アチーブメント出版株式会社


「www」は、その典型です。

冗談を真に受けられてしまうのではないか。

ボケだと気づいてもらえないのではないか。

よし、間違いのないように語尾に「www」と付けておこう。


こうしてまた、この世に生まれた冗談が、その場で即死してしまいます。

自分のボケに自分で笑うという行為は、基本的にはNGです。


すなわち「緊張の緩和」がすべての根本なんですわ。はじめグーッと息を詰めててパーッとはき出す。グーッが「緊張」でパーッが「緩和」です。

桂枝雀(1993)「らくご DE 枝雀」筑摩書房


インターネット回線の高速化に伴い、ショートメッセージのやりとりが活発になりました。

言い換えるならば、タイムラグが短くなるに従って、書きことばと話しことばの差が小さくなっていったということです。


そこで我々は、文字だけでは伝わりきらない感情を表現するために、さまざまな工夫を凝らすようになりました。

文末に「( ・∇・)」のような顔文字をつけてみたり、「😊」のような絵文字をつけてみたり。


「www」や「笑」のようなスラングも、このような文脈で誕生しました。

たしかに、相手との関係性によっては必要不可欠なリスクヘッジになるのかもしれません。

しかし、裏を返せば前述のとおり「野暮な注意書き」になる可能性も孕んでいます。


・安全ピンで指等を刺さないようにご注意ください。
・取り付け後、衣服にクリップ跡やピン穴が残る可能性があります。あらかじめご了承ください。
・強い衝撃を与えると損傷の恐れがあります。

安全ピンの注意書き より


もうすこし、読み手を信用してもよいのではないでしょうか。

なんなら最悪、勘違いされたってよいではありませんか。

心配しなくても、あなたの言動なんて誰も気にしちゃいません。


冗談をカマす勇気を胸に「www」を捨てた文章を読みたいなと思います。

どうも、高倉健でした。

おもしろいかどうかは、またべつの話です。





サポートしたあなたには幸せが訪れます。