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ワインのストーリーに触れるワイナリーツアー

ゴールデンウィーク、キャンティ・クラシコのワイナリーに行ってきました。
ワイナリーツアーに行ってきた様子をご紹介します。

普段、ワインを飲んでいる際、ワイン生産者のことを考えることは少ないのではないでしょうか。

でも、1本のワインが生まれるまでには、壮大なるストーリーがあります。そんなストーリーに触れることができるワイナリーツアー。いざ出発です。

フィレンツェからキャンティ・クラシコへ

心地よい日差しとおだやかな風が吹くなか、フィレンツェ市内から、キャンティ・クラシコ地方に向かって出発。

今回のワイナリーは、カステッラーレです。

キャンティ・クラシコ地方は、フィレンツェとシエナの間にあり、7万1千ヘクタールの広大な地域です。

よく「キャンティ」と混同されがちですが、「キャンティ・クラシコ」はもともとキャンティだったゾーンで、いわゆる元祖。もともとのキャンティが現在はキャンティ・クラシコとなり、キャンティ・クラシコの周りに後から広がっていったゾーンが現在のキャンティです。


キャンティ・クラシコ地方で造られるワインがキャンティ・クラシコ・ワイン。

キャンティ・クラシコは、イタリアを代表するワイン産地ですが、ブドウ畑になっているのは1割程度。じつは森の多い地域なのです。

森の多いキャンティ・クラシコ地方

なだらかな丘が続いていて、ドライブしていてもすごく気持ちがいいです。

サイクリングをしている人たちとも何度もすれ違いました。「こんな丘を自転車で走れば爽快だろうな」と思いつつ、そのすぐ後に「こんな坂ばかりなところは自転車では無理」と思いなおしました。


ワイナリーのカステッラーレは、カステッリーナ・イン・キャンティ村にあります。

カステッリーナ・イン・キャンティ村は、キャンティ・クラシコ地方のちょうど真ん中あたりのところに位置しています。


フィレンツェから車で約1時間ですが、キャンティ・クラシコの美しい風景を眺めているとあっという間。

緑豊かな景色と雄大なブドウ畑を見ているうちに到着します。

ワイナリー見学

ワイナリーに着くと、まず景色の美しさに目を奪われます。

丘の上にあるので、遠くまで見渡すことができます。
そして、眼下に広がるブドウ畑。

ワイナリーの景色

早速見学スタート。
まずは畑を見に行きました。

新芽が出て、少し葉っぱが育っている状態でした。

ブドウ畑の様子

今年は、なかなか暖かくならず、ゴールデンウィークになって、ようやく春らしくなってきたので、ブドウの生育が遅れています。

気候に大きく左右されるので大変ですね。


ブドウ畑は、そのときそのときで顔が変わり、ブドウの様子がわかりおもしろいです。

ブドウのことなんて全くわからなくても、「意外と背が低いのか」とか「こんな形をしているのか」とか、初めてイタリアのブドウの木を見るかたにとっても、何かしらの発見があります。

次は、蔵の見学。ブドウが収穫されてからの醸造の仕方、ブドウがワインになる工程、そして熟成の方法を詳しく説明してくれます。

蔵に並ぶ木樽

ブドウ畑の世話から、収穫、醸造、熟成の話を生産者から聞いていると、ブドウがワインになるまで気が遠くなるほどの多くの作業があることに気づかされます。


蔵には平然と木樽が並んでいますが、6か月熟成されるワイン、1年熟成されるワイン、2年熟成されるワインと熟成期間が異なるため、数年分のワインが寝ていることになります。

静かに時を刻んでいくワイン。なんだかロマンを感じます。


ワイナリーのカステッラーレは、昔のワイン農家4軒を現在のオーナーが買い取り、ひとつのワイナリーにしたという歴史があります。

ワイン農家だった建物と蔵をそのまま使っているので、タイムスリップしたかのような雰囲気です。

ワイン農家だった建物をそのまま利用

じつは、畑の場所も昔から変わらずで、ブドウ畑の周りにオリーブ畑が点在しています。以前の農家は、ワインとオリーブオイルを作っていて、そのままにしてあります。

ブドウ畑の手前にあるオリーブ

広大な土地に一面のブドウ畑がある工業的な景色ではなく、田舎ののどかな景色なのです。ゆったりとした気持ちにさせてくれるのは、昔ならではの風景があるからなのでしょう。


景色も建物もそのままにしているワイナリー・カステッラーレは、ワインも伝統の味わいにこだわっています。

キャンティ・クラシコのワインは、サンジョヴェーゼ種を80%使用しないといけないと決まっています。20%はキャンティ・クラシコのゾーンで栽培された黒ブドウであれば、トスカーナの固有品種でもフランス原産の国際品種でもブレンドすることができます。

土地、気候、そして醸造、熟成方法によって、ワインの味は異なってきますが、ブドウ品種による違いは大きいです。

ワイナリー・カステッラーレでは、トスカーナの味わいを守りたいという想いから、創業当時からトスカーナの固有品種しかブレンドしないというスタンスを貫いています。

伝統を尊重する生産者のワインのお味は?
見学が終わると、待ちに待った試飲です。

ワイナリーでワインの試飲

今回試飲したのは、4種類。

白ワイン1種類、赤ワイン3種類の合計4種類でした。

ワイナリーでの試飲

キャンティ・クラシコ地方は、赤ワインの産地ですが、白ワインも生産しているので、まずは白ワインから。(写真左から)

さわやかな口当たりのフレッシュな白ワインです。


2つめのワインは、「ゴヴェルノ」というワインで、「ゴヴェルノ」とはブドウかブらワインを造るという意味の昔の手法です。

トスカーナでは、長く地主制が続いたため、ワイン農家はワインを早く売るためにゴヴェルノという手法を使いました。熟成する期間が長ければ長いほど、現金化するのが遅くなりますから。

ブドウの一部を干しておき、醸造途中でワインの中に干したブドウを加えます。糖度の高い干しブドウを入れることによって、早くワインができあがるのです。この手法をゴヴェルノと呼びます。

以前はポピュラーだったゴヴェルノという手法も、現在はごく少数のワイナリーのみがおこなっています。

伝統的な手法だからと、あえてゴヴェルノ手法で作る「ゴヴェルノ」というワイン。フレッシュでフルーティな味わいです。

エチケットにはあやめが描かれています。あやめのような香りがするワインだからということと、春に完成するワインということで春に咲くあやめを描いています。


3つめのワインは、キャンティ・クラシコ。メインの生産となるワインで、キャンティ・クラシコ地方のワイナリーに来たら必飲のワイン。

ベリー系の果実が香り、きれいな酸味が特徴の味わい。トスカーナの品種だけで造られていますので、トスカーナのワインをピュアに感じることができます。

トスカーナ名物の肉料理を食べたくなるワインです。


4つめのワインは、キャンティ・クラシコ・リゼルヴァ。通常のキャンティ・クラシコより熟成期間が長い「リゼルヴァ」。キャンティ・クラシコは、収穫から1年後にリリースできるワインですが、キャンティ・クラシコ・リゼルヴァのリリースは、収穫から2年後になります。

熟成期間が倍になるキャンティ・クラシコ・リゼルヴァは、よりまろやかでふくよかな味わいです。

キャンティ・クラシコとキャンティ・クラシコ・リゼルヴァのエチケットには、きれいな鳥が描かれています。
これらの鳥は、この地方の野鳥で、ヴィンテージごとに異なる鳥が描かれます。
農薬などの化学物質のせいで絶滅してしまった鳥もいるのだそう。
カステッラーレは、無農薬のワイナリーです。野鳥たちを毎年描くことで、環境保全を訴えたいという想いがあるのです。
エチケットひとつとっても生産者の想いが込められているのですね。


畑や蔵を見学した後に飲むワインは、2倍も3倍もおいしいもの。それはワインのストーリーに触れたから。目の前にある液体は、単に瓶に入ったワインではなく、この土地でしかできない、この生産者が情熱をこめて作り上げた芸術作品だということを体感できるからです。


「ワインが好きだけど詳しくない」というかたでも、複数試飲するとおのずと「これが好き」という好みがわかってくるのがテイスティングのよいところ。

気に入ったワインは購入することもできます。

ワインの購入は、してもしなくてもOK。

1本でもお持ち帰りすると、イタリアでのワイナリーツアーの景色や生産者の話を思い出しながら語り合うことができます。

ワインのストーリーに触れた思い出は、色あせることなく心に生き続けます。

フィレンツェ発ワイナリーツアー

今回ご紹介したワイナリー・カステッラーレに行くツアーは、フィレンツェ・イン・タスカのサイトから予約することができます。

ワイン初心者のかたも、ワイン通のかたも、ワインのストーリーに触れれば、忘れられない思い出となります。

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