見出し画像

偶然と必然 第6話 〜脳裏をよぎるイヤな予感〜

21時56分

環状線車内。再びマスターより入電。

イヤな予感。

脳裏を悪魔がよぎる。

「もしもし、今どこ?」
「もう、すぐ近くまで来てます!」
「女の人やけど、電車の時間が気になるからそろそろ帰るって」
「マジで!もう後5分位やから、引き止めといて!!」
「うん、そう言っとくわ」

その時、電話を切った僕の頭の中で何かがつながった。

この時間で電車が気になる?
ということは、その子は少し遠くから来ている可能性がある。

どこだ・・・・・・・・・・・・・・・・?
どこからだ・・・・・・・・・・・・?

そうか!
そうだ、多分そうだ!
いや、間違いない!!

彼女だ!!!

ならば、急がねば。

オレンジ色の電車はゆっくりとスピードを落とす。

早く、早く着いてくれ〜!!

そして、列車のドアが開く。

僕は一気に階段を駆け下り、改札口を突破する。

通りを全力疾走し、店の前に着くと息を整え、深呼吸する。

落ち着け。

焦るな。

はやる気持ちを抑えて、バーの狭い階段を駆け上がる。

しかし団体客が降りてきて、僕の邪魔をする。

ええい、どけ!

バーのドアを開け、中を見渡す。

どこだ、どこにいるんだ?

しかし、彼女の姿は見えない。

どこだ・・・?

まさか・・・。

遅かったのか・・・。


<続く>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?