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偶然と必然 第2話 〜物語は突然、幕をあける〜

21時30分

京都での会議と懇親会を終えて、帰りの電車の中でのことだ。

ややこしい仕事がひと段落したので、心地良い疲労感が身体を包む。明日は休みだが、朝早くから出かけなくてはならない。今日は、いつものバーには飲みに行かず、真っ直ぐ家に帰るか・・・。

電車の程よい揺れが心地よい。この時間、特急の2人がけシートは、みんな一人で座れる余裕がある。これは僕の私見だが、京阪電車の特急が一番よく眠れる。阪急電車も悪くは無いのだが、シートにやや難がある。JRの新快速は、逆にシートが硬すぎる。

そんな事を考えつつ、しばしまどろむ・・・が。

突然、僕の携帯電話に着信があった。

誰だ?

表示を見ると、いつも行くバーのマスターからだった。こんな時間に電話してくるなんて珍しいな・・・?

「もしもし、今何処におんの?」とマスター。相変わらず、ぶっきらぼうな声だ。

「今、電車の中ですけど。枚方公園のあたりかな?」一応、小声で僕は話した。

「そう。今、女の人が一人で、あんたのこと待ってるんよ。さいとうくん、今夜は来ますかって?」

オーマイガッ!!

「どないする?」
「あと30分位でそっちに行けるから、待っといてもらって」
「うん、わかった。はよおいでや。」

<続く>

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