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vol.8 高ROEのワナ!デュポンモデルとは

みなさんはROEをご存じでしょうか。

企業分析では様々な指標がありますが、
その中でもトップクラスに重要とされる指標です。

自己資本利益率とも言い、当期純利益 ÷ 自己資本 で計算されます。

計算式の通り、その会社が株主から集めたお金で、
どのくらいの利益を生み出したかを示すものです。

この数値が高いほど、少ない自己資本で、より多くの利益を効率的に生み出していると言えるので、一般的にはROEが高い企業ほど優良企業とされます。

実際にここ10年で株価が7倍ほどになった、
Apple $AAPL ROE(下図)を見てみると、FY2018以降、
急激にROEが上昇し、その数値はFY2021で150%を超えています。

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しかし、この図やAppleの株価上昇を見て、

「ROEの高い企業の株を買えばいいんだ!」

と考えるのは危険です。

ROEが高い企業を見つけたとき、なぜROEが高いのか、
まで分析する必要があります。

この分析で非常に有益なのが「デュポンモデル」というものです。

デュポンモデルを用いることで、ROEは3つの業績指標に分解することができ、なぜROEが高いのかを簡単に分析することができます。

そのデュポンモデルとは、以下の画像の立式となります。

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それぞれの分母と分子を通分すると、しっかりとROEの公式に戻るのがわかるかと思います。

このように、ROEを
❶純利益率
❷総資産回転率
❸財務レバレッジ
の3つに分解するのが、デュポンモデルです。

こうすることで、ROEの上昇が3つのどの要素に依るものなのか、一目でわかります。

実際にAppleのROEをデュポンモデルで分析してみましょう。

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上の図を見ると、ROEと財務レバレッジの曲線が非常に似通っているのがよくわかります。

このことから、AppleのROE上昇は財務レバレッジの上昇によるものであって、利益率の上昇や資産の回転率改善によるものではないとわかりました。

この財務レバレッジとは、総資産 ÷ 自己資本で計算されるもので、
自己資本が小さいほど、負債や借金が多いほど大きくなります。

実際にAppleは、FY2018頃から借入を増やして、貸借対照表上の純資産の部が相対的に小さくなっています。(下図参照)

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さらにAppleが積極的な自己株買い、償却を行っていることも、純資産の部を縮小させることの要因となっています。

以上からAppleは、より効率的に事業を展開してROEを伸ばしているのではなく、財務活動によりROEを伸ばしていると言えます。

もちろん、ROE向上のためだけに、Apple経営層が借入を増やしているなどということはないでしょうが、実質的に事業の効率性は上がっていないので、このROEの推移だけをみて、Appleへの投資を決めるのは早計です。

このように、ROEがなぜ上昇しているのか、その背景まで踏み込んで分析することが株式投資には必要となります。

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