簿記から学ぶ企業会計の基礎(Ⅰ)

■簿記と企業会計

「簿記」(Bookkeeping)とは、企業の取引を記録する手段であり、「企業会計」(財務会計・管理会計)を行う上で必要となる最低限の基礎となる。

基本中の基本となるのが「仕訳帳」であり、取引が行われる毎に、会計基準(一定のルール)に従って記録していく。

期末決算において、
「損益計算書」を作成し、年間トータルの費用・収益を算出する事で、企業の業績がわかる。
「貸借対照表」を作成し、年間トータルの資産・負債・純資産を算出する事で、企業の財政状況がわかる。

3級レベルの基礎基本さえ備わっていれば、企業会計の理解を深められ、本質も理解する事ができるだろう。簿記の基礎を少しでも知っているのと全く知らないのとでは、理解度がかなり違ってくる。

簿記の流れについて知る事は、事ある毎に話題になる内部留保(利益剰余金)の仕組みや、国の借金(政府の負債)の正体を知る鍵になるという意味では重要なのではないか。

だからといって、2級・1級の高等レベルの内容まで知る必要はなく、ましてや「連結第4年度の連結精算表の作り方」なんて知らなくてもいい。


■簿記の学習で理解できる事

企業経営が続く限り「企業会計」は繰り返し行われていく。基本的な事のほとんどが簿記3級で習得する内容で、慣れてしまえば決して難しくはない。

これは私自身の事になるが、簿記の学習によってある程度でも理解できた事をいくつか挙げてみた。

(1)企業の業績(フロー)や財政(ストック)の状況
(2)企業活動における取引の流れ
(3)マスコミが垂れ流す"国の借金"は『政府の負債』
(4)マスコミが垂れ流す"内部留保"は『利益剰余金』
(5)金融業界(銀行や証券会社)の金儲けの方法
など。

学習した当時、私は何もかもが無知の塊であったが、そんな私でさえ、ある程度は理解できるようになった。


■簿記は高等学校までには学習させたいくらい!

本音を言ってしまえば、簿記の基礎基本は義務教育で学習させたいくらいだが、せめて高等学校までには学習させたいくらい。商業高校ならやっていると思うが、普通科でも学習させたい内容である。

小学校でプログラミング教育が必修化された事を考えれば、簿記の必修化もできない事はないんじゃないかと勝手に思っているのだが、他に学習するべき事が山積されている事も考えれば、時間的に厳しいのかもしれないが…。


「国の借金ガー」が多いのは、簿記の基礎基本を知らないから。
何で『政府の負債』が"国の借金"に変換されて、「一人あたり◎◎万円の借金」みたいな話になるのか?

「内部留保ガー」が多いのは、企業会計の基礎基本を知らないから。
何で『利益剰余金』が"内部留保"に変換されて、「課税して国民に還元しろ」とか「吐き出して従業員の給料を上げろ」みたいな話になるのか?

「負債」があれば、当然、「資産」や「純資産」だってある。貸借対照表を少しでも理解していればわかる事だ。

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