少子化対策は20年以上も遅かった

2023年1月19日に、自民党の「『こども・若者』輝く未来創造本部」が、いわゆる「異次元の少子化対策」について議論を開始したようだ。

そこで、茂木幹事長が、
「この10年が少子化を反転できる最後のチャンス、最後の期間」
…と、危機感を表したようで、その場にいた党議員もおそらく同じ思いだったと思う。


だが、私から言わせれば、
「この10年」どころか、20~25年も遅かったとしか言いようがない。



■少子化対策をしてこなかった事こそが未来へのツケ

2021年10月1日時点での人口ピラミッドを見てみる。


戦後の1947~1949年頃の「第一次ベビーブーム」に誕生した現在73~75歳くらいの人たちが、いわゆる団塊世代。

その団塊世代が25歳前後になった1971~1974年の「第二次ベビーブーム」に誕生した現在48~51歳の女性が22~30歳位だった1993~2004年頃に手を打たなかった時点で、人口減少問題は詰んでいる。

しかも、彼女らは「平成の超氷河期世代」の年長者とも言える世代。その時に就職難に遭ってしまった「平成の超氷河期世代」を、当時の政府は切り捨てた。その時点で、その後の日本経済が成長せずに停滞する事は目に見えてわかっていた。


■少子化の原因

2023年1月15日、麻生総理が福岡県の講演で、少子化について以下のように答えた。
「少子化の一番大きな理由は、出産する時の女性の年齢が高齢化しているからです。」


つまり、「晩婚化→少子化」という事。確かにその通り。
では、なぜ晩婚化が進展してしまったのか?と。

少子化の原因について、「少子化社会対策白書」(平成16年版)で既に様々述べられている。


「少子化の原因とその背景にある要因」として、フローチャート形式で整理されている。


◇結婚の先送り現象
・結婚に関する価値観の変化
 ⇒独身生活に利点がある
・良い相手に巡り会わない
 ⇒白馬の王子様症候群
・異性と上手く付き合えない
・自由や気楽さを失いたくない
 ⇒趣味や娯楽を楽しみたい
・女性の就業率の高まり(女性の社会進出)
 ⇒仕事に打ち込みたい
・経済的不安の増大
 ⇒結婚資金がない
・結婚後の人生(夫婦生活・仕事と育児の両立等)に対する不安感

  ↓

◎未婚化の進展
 ⇒生涯未婚率の増加(独身歴=年齢)
◎晩婚化の進展
 ⇒夫婦の出生力が低下する(晩産化、不妊)

◎夫婦の出生力の低下
・子供の存在に関する価値観の変化
・経済的不安の増大
 ⇒出産・育児・教育の費用がかかる
・仕事と育児を両立できる環境が整っていない
 ⇒事実上、「出産・育児」か「仕事」かの二択を迫られる
 ⇒時短勤務や育児休暇取得がなかなかできない職場環境
・精神的かつ身体的な負担の増大


各個人や各家庭で様々な事情が絡み合っているゆえに、少子化の原因を何か一つに特定する事は困難であろう。


■経済的不安感は大きい

個人的に思うのは、出産した後の環境整備が不十分というのはもちろん大いにあり得ると思うが、複数挙がった理由の根幹にあるのは、やはりというか「経済的不安感」なのではないかと思っている。
そのために社会進出して何とか自立しようとするし、とにかく何をするにもお金がかかるわけで、子どもが生まれてから大学卒業までにかかる費用の相場は平均2000万円だそうだ。
そうした不安感が心理的に重く圧し掛かっているのは疑いようがないのではないか。

第二次ベビーブーム以降から徐々に進行していた少子化であるが、特に、バブル崩壊後の「平成の超氷河期世代」以降は、晩婚化や未婚化が加速し、少子化にも更に拍車が掛かってしまったのではないか。


経済的不安がなければ、「男は仕事をし、女は家庭を守る」という昔ながらのやり方が少しは継続できていたかもしれない。


…という事で、自分の中では、人口の多い「平成の超氷河期世代」を切り捨てた時点で、「少子高齢化人口減少問題」はもう詰んでいる……という結論で、あります。

定期的に給付金を撒いたとしても「焼け石に水」であり、ベビーブームの再来はもう来ないからだ。


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