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いつかは消えてなくなるのかな

仕事が修羅場を迎えていた時、ふと脳内に流れてくるのは「およげ!たいやきくん」だった。
若い世代は知らない曲かもしれないが、今聞くと社畜を認めた者の覚悟の歌にしか聞こえない。

「まいにち まいにち ぼくらは てっぱんの うえでやかれていやになっちゃうよ」

日々の勤労に嫌気がさしてくる瞬間。

「あるあさ ぼくは みせのおじさんと けんかして うみに にげこんだのさ」

鬱の始まりともとれるし、多少の抵抗を試みた姿にも思える。

この後たいやきは海で遊びほうけるのだが、食べるものもなく動くのもつらくなり、藁にも縋る気持ちで(?)釣り針に食いついて釣られ、食べられる覚悟を決めるという、絶望みしか感じない歌詞なのだ。
こうはなってしまわないように、どうにか自分を保とう…とする戒めのような曲になってしまった(個人の主観です)

私は何度か転職をしているが、今は思ったことをなるべく溜めずに言葉にするようにしている。リスクはあってもそれが一番心が健全でいられると思ったからだ。ここをクビになったって生きていける、仕事はなんとかなると腹をくくった。そのためには、なんでもできるようしておかなくてはいけないと覚悟も決めた。
過去、とにかく心を無にして働こうとしたことがある。
しかし体も心もそのうち思うように動かなくなって、十分な睡眠がとれていても仕事中に眠くなり、怒られ、事実を伝えることも言い訳するのも嫌で、真剣に睡眠外来に行くことを考えた。イライラして直属の上司(1歳年上)にブチ切れたりした。
前職はそのタイミングで指を骨折し(業務中のアクシデントだったので労災がおりた)それをきっかけに辞めた。職場のシステムが大きく変わる機会だったのでタイミングもよかった。
2ヶ月くらい無職だったけれど、当時仕事の副業で働いていた中華料理屋のアルバイトを増やしてなんとか生きていた。その時期に、覚悟を決めた。一番避けてきた、そしてよく知っている仕事を選んだ。

転職して残業が減ったりもして給料は下がったが、安定した会社だったので(おそらくつぶれることはほぼない)今もそこでお世話になっている。精神的に楽というのはとても大きい。
好きな仕事ではないけれど先入観を持っていたほど嫌いでもないのでやれているし、たいやきくんのように海に逃げようと思うことも、今のところはない。
皮肉なことに、辞めてもいいやの覚悟で腹をくくって思うことをはっきりズバズバ言うようになって、信頼を置かれるようになり、別チームのヘルプ要員として呼ばれたり、僅かながら権限を持ったりと、動きが身軽になった。
別チームに移動していた間も皆「いつ帰ってくるんですか」と会うたび聞かれるほどだった。ありがたいね。

今は割と幸せだけど、いつだって不安はある。一生の仕事にする気持ちは今でもない。
前記事で書いた通り、なにしろお金がない。
でも生きてるし、仕事はあるし、そこまで嫌じゃないし。
オタクだし推しはかわいいしかっこいいし、推しが笑ってるだけで幸せだし、推しが仕事で成功しているのを見ると嬉しいし、永遠に貧乏でもいい気もする。ダメだけど。

この不安はお金さえあれば、いつかは消えてなくなるのか。
不安なんて安心の隣り合わせだから、きっと一生の付き合いだ。
そいつとうまくやっていくために、時にはたいやきくんのような逃げるという選択も必要だと思うし、たいやきくんにとっては食べられることがベストだったのかもしれないし。たいやきの気持ちなんてわからんから知らんけど。

いつもこの薄暗い感情になるとき、払拭してくれるのがクレイジーケンバンドの「あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。」
やーれーばーできーるよー できるよやーればー
(ここで埼玉西武ライオンズの栗山選手がネクストバッターズサークルから出て左打席に向かう)(最近は流れないけど)
この根拠なき応援がものすごい勇気とありがたい気持ちになるから、音楽ってすごいねって話です。毒にも薬にも。

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