英語民間試験についての私見②導入に対する反対意見(3)

想像以上に長編になってしまいました。。。

しかし、それだけ言いたいものがあるということも事実です。。

今回は、「英語民間試験についての私見②導入に対する反対意見(1)」で触れた

(2) CEFR(欧州言語共通参照枠)を入学試験に用いることの妥当性
(3) スピーキング能力を入学試験で計測することの妥当性

について補足していきます。

(2) CEFR(欧州言語共通参照枠)を入学試験に用いることの妥当性

この点はよく指摘されている点ですし、そもそもCEFRの設定自体、妥当かどうかという議論があります。

上のリンクは文部科学省によるものです。CEFRの一覧表が確認できます。

個人的に違和感があったのが、①英検準1級合格者上位レベルは、本当にIELTSやTOEFLであの水準の得点がとれるのか、②英検合格者の関係性について、です。

IELTSやTOEFLは、未受験の方からすれば結構な難易度の試験です。英検準1級に上位合格したからと言って、あのレンジの得点がとれるかは疑問です。

英検合格者の関係についてですが、例えば「英検1級に下位合格する力があれば、英検準1級に上位合格できる」という関係は容易に想像がつくのですが、

「英検準1級に上位合格する力があれば、英検1級に下位合格できる」

という関係が成り立つことは極めて稀だと思います。この表自体が誤解を招きやすい構成となっている可能性を否定しきれません。

ただ、CEFRの位置については英語の専門家や行政官によって議論が尽くされているようなので、彼らの仕事をリスペクトし、いち民間人の立場からこれ以上横やりを入れるのはやめておきます。

また、下の資料で「CEFRによる対照表に基づき加点する点数等の具体的な設定については、各大学・学部等が主体的に定めることとする」とされ、大学による判断となっているようです。

https://www.janu.jp/news/files/20180330-wnew-guideline.pdf

よって、得点換算については大学の判断によるものであり、それを受験生がどう判断するかという問題となりそうです。

(3) スピーキング能力を入学試験で計測することの妥当性

参考資料(「大学入学共通テストへの民間試験導入の見直し−−英語教育のあるべき姿に向けて−−」)には、次のように書かれていました。

 文部科学省は、「「4技能」を適切に評価するため」に民間試験を活用するとしている。(中略)言語活動の実態としては、別々の「4技能」を切り分けて用いることはありえない。様々な技能を総合的に用いるのが言語活動であり、だからこそ「やりとり」や「仲介」などが重要になってくるのである。これを、わざわざ旧来の「4つの技能」に切り分けて計測する必要はないし、切り分けたところで総合的な言語能力を遺漏なく計測することはできない。
 とりわけ、スピーキングを他の技能と切り分けて試験科目として課すことは、様々な意味で大学の入学試験にはそぐわない。

英語民間試験や2次試験を通じて、結局は総合的な英語力が測定されます。スピーキングのみを切り離して測定するわけではありません。しかし、この指摘があったからこそ、4技能を同日に計測するという流れになったのでしょうか。

むしろ、言語の4技能が切り離されるべきでないと考えるならば、今までスピーキングのみが殆どの大学の入試で課されることなく切り離されてきた事実について、どのように考えているのでしょうか。

その他の指摘についても精査します。

①障害のある受験生への対応が、筆記試験に比較しても、非常に困難である。

→障害があっても受験できるように、各試験が可能な限り対応しております。下記P.3に詳細が書いてあります。



②受験生の性格などによって不利になる可能性がある。

→筆記試験のみでも同様です。


③公平な採点には大きなコストがかかり、大学の入学試験の規模で必要な人数の有資格の採点者を確保することは困難である。

→金銭的コストについては受験料でペイできそうですが、人員の確保という点については、真剣に議論する余地がありそうです。特に、2020年度第1回英検S-CBTテストの採点が、どのように進められるかに注意する必要がありそうです。


今回はここまでです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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