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(短編)新兵器のアイディア

「大統領!素晴らしい兵器のアイディアを思いつきました!安上がりかつ威力は絶大です!」
「あっそ」
 赤いスーツの大統領はやる気なく議員を見た。
「忙しいから手短に説明してくれるかな?」
「砂糖です!」
 議員はうわずった声で答えた。
「ミサイルの中身を全て砂糖にして、敵の本拠地にぶち込むのです!」
「一つ忠告してもいいかな?」
「何でしょうか」
「議員が『ぶち込む』なんて単語を大統領に向かって使うのは問題ではないかな?話し方の講習は受けたのかな?文法の試験は?」
「話をそらすのはやめてください。今年は砂糖の生産高が史上最高です。しかし最近、砂糖のとりすぎが我が国の肥満を増やしていることが判明し、控える動きがあるのです」
「大統領がそんなことくらい知らないと思っているのかな?今年は原料も大豊作だ」
「ですから、ミサイルにその大量の砂糖を積んで、敵の住居に落とせばよいのです」
「何で敵に砂糖を落とさにゃいかんのかな?」
「砂糖は虫を呼びます。大地も汚染します。ある意味最強の生物兵器です。南国の虫の大群ほど恐ろしいものはないのですよ。作物を食い荒らし、人間を餓死させるのです」
「一つ忠告してもいいかな?」
「またですか?」
「それは、国際法にも倫理にも反する兵器ではないかな。いくら残虐で名を馳せる麗しき我が国でも、そんな兵器は使用許可は出せないのだが。君、次の選挙で落選すると思わないかな?」
「一度南の国で実験されたらわかりますよ。私はこのアイディアは画期的だと確信しています。兵器開発費を大幅に削減し、売れ残った砂糖も消費できる。農家も需要が……」

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