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タロットやオラクルは、占いではなく今の心を理解するためのもの

もし牢獄に閉じ込められ、たった一つのものしかもつことを許されないのなら、タロットを選ぶだろう。なぜなら、その中には宇宙の知恵が存在しているのだから。
(カール・ユング 心理学者)

『タロットを占いに使うという考え方が気に入らない』という人もいる。そう帯に書かれた本があって気になっているのだが、絶版のせいか高価になっていて手に入らないので読めない。

 テレビに出てくる、何でもズバッと当ててしまうような占い師には憧れる。しかし残念ながら、私にそういう力はない。ただ、タロットは時々、私が考えていることを見透かしたようなカードを出してくることがある。

 ある日の朝、私はこんなことを考えていた。
『よくカルマとか転生って言うよね。前世で良いことをしたから今世は良いとか、逆に、前世で悪いことをしたから今世は不幸だとか。でも、障害とか病気があったらそもそも偉大なことも良いこともできないんだから、この考え方は理不尽ではないか』
 と。ある意味、前の記事で話題にした『生産性』にとらわれた考え方をしてしまったわけだ。でも、私は以前から、いわゆる古い文章の、
「目が悪い人は前世で悪いことをしたのだ」
 みたいな、カルマを差別の理由にするような言い方が嫌いで、前世やカルマの話にはあまりいいイメージを持っていなかった。

 この日引いたタロットカードが、
『ペンタクルの3(逆位置)』
『ソードの9』
『運命の輪』
 だった。私は毎日、3枚引きをしている。

『運命の輪』はまさにわかりやすいカルマだ。私は未熟者なのでいちいち解説書を見るのだが「人生に関するより大きな理解」という解釈もあるそうだ。
 ペンタクルの3は逆位置だと「技術不足」または「何も起こらない」を意味するそうだ。
 そしてソードの9は、
「自分ではなくまわりの人に何か起こる、または、世界全体の悲しみを感じる態度」
 私は世界情勢が気になって、NHKのワールドニュースを毎日見ている。今、某国は戦争中、某国では女性の教育が禁止。某国では自由のために戦う人が、独裁政権のせいで犠牲になっている。なぜ世界はこんなにも理不尽なのか。日本だっていろんな面で差別的だ。そういう嘆きは常にある。
 極めつけの『運命の輪』。
 これは何が言いたいのだろう。

 他のカードと合わせると、
『お前の乏しい力では、この世界の大きな悲しみと運命は理解し難いかもしれないね』
 とでも言いたいのかもしれない。

 もちろん、私の勝手な解釈だ。
 たぶん、プロの『占い師』さんは、こんな主観的な見方はしないだろう。

 私が、タロットを占いではなく『心を見るツール』だと思う理由が、こういう体験にある。

「文章なんか書いて何になるんだろう」
 と思っていたら『悪魔』が出たり、

「なんかうまく行かないな」
 と思っていたら『星』が連日出たり、
(希望を持っていい、という意味だったのか)

 どうにも身動きができない時に、
『ソードの8』がよく出たり、
(言われなくてもわかっとるわ!と何度思ったかわからない)。

 もちろん、何のことだかわからないカードが出ることもある。

 冒頭のユングの言葉で言うと、
 宇宙の知恵というのは、たぶん心のことだ。
 人間が持つ、唯一、無限そうに見えるもの。
(でも、限界はあるんだと思う)。


 オラクルカードやルノルマンカードも、ある意味、同じではないかと思っている。
 あくまで今を表す。

 未来を占う能力がある人がこの文章を読んだら『ケッ、未熟者め!』とか思うのかもしれないが、私は、タロットはあくまで自分の心を見るツールとして使い続けたいと思っている。

 タロットの解説本にも、
『タロットでわかるのはせいぜい3ヶ月先くらいまで。遠い未来を見るには向いていない』
 とちゃんと書いてある。
 遠い未来は、占星術の仕事なのだろう。


 タロットはきつい表現が多い(特にソードは、解説本にも『ここだけ見ると人生の悲惨な部分だけが強調されてつらいから他のスートも参考にして』とか書いてあったりする)ので、マイルドな助言がほしいときはオラクルカードの方がいい。

 私のお気に入りはドリーン・バーチューの、
『Messages from your Angels』
 日本語では『天使のオラクルカード2』とか言われているが、原題に2という数字はないし、初代天使のオラクルカードとは内容も違う。
 このカードは天使の名前が一枚一枚に書かれていて、キャラ好きの私の心に刺さった。
 もうだいぶ傷んでいるが、いつまでも使いたいカードだ。

 ドリーン・バーチュー自身は、かなり厳しいキリスト教の宗派に改宗して(詳しい経緯は知らないけど、突然『キリストに目覚めた』らしい)、
「昔の行いは間違いだった」
 と、自身のオラクルカードを否定して、残念ながら彼女の作品は販売終了してしまった。今店頭に並んでいるものが買える最後。昔出たものは廃版でプレミアがつき、すごい値段になっていて手が出ない。特にロマンスエンジェルの人気がすごくて、万単位の値段がついている。

 ドリーンが自分の仕事を否定したのは、キリスト教や聖書が、占いや、違う神をあがめることを異端視しているせいだと思う。だからドリーンも自分が作ったオラクルカードを『今の信仰に合わないから』処分しようとしたのかもしれない。
 でも、彼女の美しい天使のカードが沢山の人を慰め、いろいろなアーティストに仕事やインスピレーションを与えたことを考えると、これは彼女を通して行われた神の御業であると私は考える。決して、責めるようなことだとは思えない。

 だけど、信仰については、本人にしかわからないことがあるのだろう。
 仕方ない。でも残念だと思う。
 


 オラクルカードは高価な道具だ。
 一個3000円〜6000円する。
 最近出版されているものは特に高い。
 なかなか気軽に買えない。
 アプリ版もある。でも私は、シャッフルしてる間にインスピレーションが降りてくることもあるし、やはり紙の現物が好きだ。


 タロットもオラクルも、結局は、
 自分を知り、豊かにするためのツール。


 うまく使っていければいいなと思っている。



 読んでくれてありがとう。



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