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「インデックス積立投資が最良の手法」は嘘

 はじめまして。
 ほかにもnoteを執筆しているのですが、投資関連の投稿専用のアカウントを作りました。
 初投稿でいきなりなタイトルですが、最近の風潮に対して、実際に投資をしている立場から思うところあるため、あえてこの投稿からスタートしようと思います。
 対象は、ほかの投資はよく知らないが、とりあえずインデックス積立こそが最良の方法という話を見聞きして信じている方です。

 1万字超えの文ですので、目次から要約をご覧になり、そのくらいわかっているよ、という人はあえて読む必要はないと思われます。
 一方、とりあえずインデックス投資初めてみたけど、なんでインデックス投資がいいの?と思っている、というような人には、一度読んでおいて損はない内容になっていると思います。

なぜこんなことを言うのか?

 ざっくり言うと、「万人向けの資産運用法」とはとても言えないからです。100%嘘!と言いたいわけではないですが、万人向けとはとても言えないものを説明するのに、注意喚起があまりにも不足し過ぎていると感じます。

 また、最良の方法が一つではないのに、多くの情報源(本、SNS、動画など)では、これだけでOKと言わんばかりの書き方をして、最後におまけ程度に自己責任とつけています。この風潮に強い違和感を持っています。

※もちろんある程度しっかり構成されている本もあります。「お金の大学」など。それでも、もっと注意喚起してもよいと思います。

 これは、2022年に入ってからS&P500などの指数が下がってるから言っているのではありません。また、「数年単位で投資するつもり」と思っている方でも、本当にはリスクを把握していない人がいるので、そういう方にも向けています。ただし、当たり前の事実の羅列ですので、本当にわかっている方には冗長な話です。そこはご了承ください。

要約

 先に、読む必要のない人が読んで時間を無駄にすることを防ぐため、言わんとすることの要約を置いておきます。読むかどうかの判断にご利用ください。

・投資をするのは、本人にとって安心できる貯金があるのが大前提
・収支がマイナスの人はその改善が先
・そもそも最良の投資法など存在しない
・十年以上にわたり大幅なマイナスになることも多い
・そもそも長期でインデックス投資がプラスになるという保証もない
・性格によって向いている投資スタイルは変わる
・誰の言うことも信じてはいけない(この記事含む)
・自己責任という言葉の意味はとても重い。「信じてたのに」「騙された」は通用しない
・(おまけ)iDeCoは人によっては向かない

本題

 ということで、なぜこんな主張をするのかをわかっていただくために、2つのグラフを見てもらいます。まずは以下のグラフを見てみてください。

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 これは、株式インデックス積立を勧めるために用いられる、定番のグラフですね。
 青線は全世界株式、オレンジ線はS&P500、水色線は全米株式の株価の増減を%で表したグラフです。
 このグラフのスタートは2011年。これを見ると、丸10年で米国株は+200%超(=3倍超)、全世界株は+100%超(=2倍超)であり、長期的には放置しているだけでどんどんお金が増えるのだから、投資しないのが愚かな判断に思えるかもしれません。

 では、次にS&P500の2000年から2012年の途中までを切り出したグラフを見てみましょう。(さっきと色が違ってすみません。無料で書いてるので色を揃えるとかそういう細部のクオリティは求めないでください(笑))

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 どうでしょうか。-40%、-50%という数字が並んでいます。2000年から投資をはじめると、3年間そろそろ終わりか?という気配を見せながら下落が続き、その間入れども入れども資産は減っていく。その後、4年かけて値を戻し、やっと2007年には元の水準に戻った(実際には積み立てているので増えている)株価だが、2009年には(増えた分ごと)また半額以下に落ちる…ということです。最初にこれを見ても、積み立て投資して寝かせておくのが正解と思うでしょうか。あと、せっかく増えた分がまとめて全部落ちるって辛いですよ~…

 これに関しては、そんなの耳タコだよという人もいるかもしれません。また、以下のような定番の反論もすでに用意されています。

30年間の積み立て投資では、過去のどの期間を切り取ってもリターンがプラスになっている。だからこれからも大丈夫。
実際、2000~2009を耐えていれば、2010年以降はずっと右肩上がりなわけですから、その通りです。

これが(米国or全世界)株式投資の世界では、ほぼ「正解」とされています。この主張は、過去については事実を述べているのですが、私のような人間は以下のような反論をしておきたくなります。

・もっと過去のデータを見るとほぼ25年間マイナスが続いている時期もありますね。※1920年代半ば~1950年代半ばにかけてのS&P500のチャート参照
 ※積み立てていればもっと早くプラスに転じるケースが多いのは承知。
・過去の法則が未来に当てはまるかどうかは未来人にしかわかりませんね。
 ※それを言ったらどんな資産もそうであることは承知。
・人間は10~20年間下落が続いているものにお金を入れ続けるほどメンタルが強靭ではないのでは…
 ※そのために過去の株の歴史を学び、一喜一憂しないようにするのだ、という意見も承知。

 こう言うと、とても意地悪な言い方に思う人が多いと思います。
 しかし、忘れてはいけないのは、運用するお金はあなたの大事なお金であるという点あなたは感情のある人間だという点言った人は責任取らないという点です。大体の投資関連情報には絶対に投資は自己責任ですと書かれていますが、これは定型句ではなく、本当に誰も責任は取ってくれないのです。

 だから、自分のお金が1000万円から500万円に、あるいは1億円から5千万円に(あるいはもっと)減っても、あなた自身が、本当に誰のせいにもすることなく涼しい顔で「投資ってこういうことでしょ?そのうち上がるよ」と言えるかどうかが問題です。

 また、投資の書籍は輝かしい未来へ向けて明るい論調で書かれている本が多いですが、そもそも指数を数十年ホールドし続けることができる人自体が多くないという現実、暴落期には思った以上に精神的に追い込まれるという現実も、知っておくべきです

 要するに、もしインデックス積立投資をするならば、
・自分で勉強して
・自分はインデックス積立に適性があると判断したら
・短期的には資産が半値以下になる覚悟もして
・未来も長期で見れば上がると自分で納得した指数に
・自己責任で
投資する
という意識を強く持ってください。

 「投資は自己責任で」と動画や書籍の最初や最後にかる~く入れるようなものではないはずです。

※よく同じ投資手法の人たちが集まって慰め合っている光景がSNSで散見されますが、愚の骨頂です。常に自分の投資手法も人の意見も疑うべきです。
※○○の本でこう書いてあった、△△さんがYoutubeで言ってた、は考えうる最低の投資理由です。

 ここまでが、万人向けに本来含まれるべき注意書きだと思う内容です

 ここまで読んで、「そんなん知ってる、生活防衛資金はバッチリ、自己責任上等、指数の説明もできるよ、暴落も覚悟はできている」という人は、長々とおつきあいいただきありがとうございました。

 ここからは、そもそも株式インデックス投資に手を付けること自体に細心の注意が必要な人々について話をします

特に株式インデックス積立投資が向かない可能性が高い人

 さて、既に書いたように、株式インデックス積立は、短期的には(長期的にも)減る可能性があり、未来のリターンについては何の保証もありません。(よく期待リターンという言葉が使われますが、「期待」という言葉のイメージとは裏腹に、過去についてしか述べておらず未来の情報は何も含みません。)

 それでも、過去を振り返れば、ほかの投資手法に比べて株式インデックス積立が安定してリターンが高かったことは間違いありませんし、株式インデックス積立は強力な資産運用手段の一つということになっています。しかし、逆に、高確率で株式インデックス積立投資が向かないと言える人も、確実に存在します(※)。

※本当は、ご自分で株式インデックス投資について納得いくまで調べたら、自分には向いていないという人は自然に気づくはずです。しかし、ここまでに説明したように、そもそもインデックス積立そのもののリスクが過小評価されて奨励されている現状があり、そのことに気付かずインデックス投資を始める人も多いため、あえて例を挙げて明文化します。

 具体的に、株式インデックス投資が向いていない人の一例を挙げましょう。

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・いま突然仕事がなくなったら生活に困る貯金額の人
・現時点で50歳を超えているような人
・貯金はあるが、今後貯金増が見込めない人
・もともと極度の不安症の人
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 これらの人は、インデックス積み立て投資一本でいくことで、人生に与えるリスクが非常に大きい可能性があると言えます。

 順に説明していきます。

・いま突然仕事がなくなったら生活に困る貯金額の人が向かない理由


 このタイプの人は、まずは貯金を行う方が良い可能性があります。貯金は、少なくとも金額そのものが減るリスクが無いですが、投資して資金が減ったところに、突然、大病やリストラなどで資金が必要になると目も当てられませんから。
 なお、投資を勧める本を読むと、貯金はインフレ、つまりモノの値段が上がることに対応できないリスクがあると書いてあることが多いです。
 それはそうなのですが、このリスクが投資したお金が減るというリスクと比べて、大きいか、小さいかを事前に考える必要があります。この問いの正解は人によって異なります。実家の太い独身の方にとっては小さなリスクでしょうし、実家の無い子持ち家庭にとっては非常に大きなリスクになり得ます。
 そこを自己評価して、このくらいあれば何かが起きてもしばらくは安心、というお金を集めてから、投資するのが良いかもしれません。断言はしませんし、できません。

 あるいは、もし「その気になれば貯金できるぐらいの収入がある」、かつ「早く投資を始めたい」のであれば、毎月の貯金をスタートし、一時的には減る可能性の覚悟をしたうえで「貯金額の何割かをつみたてNISAなどの投資に回す」という手もあります。
 これについても注意を述べておくと、数割しか投資に回さなかった結果、株価が好調だった場合、全額投資していた方が結果的にはるかに資産が増えていた可能性には目をつむる必要があります。(その場合、損はしていないと考えるのが良いと思いますが、人間の感情はそう簡単に割り切れないものですね。)
 また、逆に、途中で株価上がってるじゃん!全部投資しよ!と思って方針を変えると、うまくいく場合もあるかもしれませんが、方針を変えた瞬間株価が下がる可能性もあります。投資において、途中で株価や指数の数字だけを見て方針を変える行為は博打でしかなく、しかも、方針を変えたくなるほど上がった後は、株価が割高になっている可能性がある(つまり方針を変えたとたんに下がる可能性がある)ので、それも注意が必要です。

 なお、別に貯金のない人が投資してはいけないという法律はないので、リスクをとることが本当に平気であればいきなり毎月の残高を全額投資しても、自分で責任が取れるならば自由です。むしろ、感情面を度外視すれば、期待値的には長期的には得をします。しかし、いきなり落ちても自己責任であることはお忘れなきよう

・現時点で50歳を超えているような人が向かない理由

 さて本題に入る前に、この世代で、かつ今から資産運用に取り組むような方は、「フィナンシャルプランナーに相談する」「銀行に相談する」等の行動をとりがちです。これは高確率でNGです。正直インデックス積み立てを行うよりはるかに危険である可能性が高いです。理由は面倒なので説明しませんが、その道のプロの意見を頼るというやり方は、ビジネスでは通用することもありますが、資産運用ではほぼ通用しません。無償ではなく、有償相談でも同じです。もちろん、するもしないも自己責任ですが。

 さて、本題に入ります。先ほどの2000年からの株価グラフを見てもらえばわかりますが、過去データだけを見ても、今よりさらに高齢になった段階で資産額が半減する可能性があるということですね。したがって、定年がある仕事に就いており、退職後の収入と支出で、支出の方が大きくなりそうな人はインデックス投資をするかについて、非常に慎重に考える必要があります

 まずは、ご自分の貯金と老後収支を考えて、資産が半分程度に減っても、死ぬまで借金をせずに過ごせそうかどうかが一つの基準になるかと思います。これがいけそうなら、そもそも運用をせずとも死ぬまで過ごせそうですが、なお減ってもいいから増やしたいのであれば、運用をしてもよいでしょう。

一方、資産が半分に減るなんてことが起きたら、老後を豊かに生きていくのは無理そうだ、という人は、投資の前に、自分の責任で自分の価値観についてよく(家族がいるなら家族も含めて)見直し、次に、老後に向けて収支を見直すことを勧めます。例を挙げます。

A. 老後が貧しくてみじめになる可能性があっても、今の充実を重視したい。死ぬ前に貯金が底を尽きても良いから、今を大事にする。
B. 今の生活水準を切り詰めてでも、安心が欲しい。死ぬ時からのことを逆算したい。

そもそもいつ死ぬかはわからないので死ぬ時からの逆算は不可ですし、大体今を大事にするという人は将来その選択を後悔するものですが、大事なのは自分の価値観を定め、選択を行うことです。

Aのような価値観の人ならば、資産運用をすると減る可能性があるというリスクを受け入れたうえでインデックス投資を行い、増減に一喜一憂せず、充実した生活を送るのも1つでしょう。もちろん責任はすべてご自分にありますが、もしかしたら数年後、さらに老いたときに、資産が増えているかもしれません。その際でも、生活の質を下げないレベルで無駄な出費を削る努力はした方が良いかとは思います。

Bならば、生活を切り詰め収支を改善するのは大前提となります。そのうえで、残った資産の運用については、例えば2つの考え方があります。(2つに限りません。)

 1つ目は、投資はせず、普通預金の金利が高い銀行(あおぞら銀行 BANK(※1)など)や、普通預金の最高金利より高い金利の定期預金があれば(※2)それらを利用するという考え方。

※1「あおぞら銀行」と「あおぞら銀行 BANK」「GMOあおぞらネット銀行」はすべて別です。また、普通預金金利は随時変更される可能性があります。確認してから自己責任で口座開設してください
※2 定期預金は、「円貨で」「変な仕組みが無く」「かつ普通預金より高い」ことが基本的には最低条件です。また、預けている期間に引き出すと、手続きが面倒なうえ金利も低くなります。銀行窓口の外貨預金や、特殊な定期預金は、窓口の人が何と言おうが、すべて損をする確率の方が高いと考えてください。また、定期預金はほかの投資信託などを勧める呼び水に使われることが多いです。「あなたほどの資産を持っている方なので特別に紹介します」など、オレオレ詐欺と同レベルの定番の騙しフレーズですのでお気をつけください。

貯蓄で乗り切るつもりの場合、それはそれでデメリットがあるので、後半の「・もともと極度の不安症の人が向かない理由」もぜひ読んでください。ただし、ありていに言うと、死ぬまでの期間が短い(と予想される)ので、このデメリットはやや緩和されます。

 2つ目は、まずは今の生活水準を捨てて、老後の年金を含めた収支をプラスにしたうえで、投資を行う方法です。(年収を上げるという方法もありますが、40代以降からの年収アップは一般に成功率が低いので、あえて述べません。)この場合、収支がプラスなので、資産が一時的に下落しても耐えられるはずだから、投資をしても問題ない可能性が高いです。見積もりを誤らないことが前提ですが。
なお、別に収支をプラスにせず投資を行ってもいいですが、その場合破綻リスクが残りますので、価値観と矛盾するのではないでしょうか。そもそも安心を得たい価値観の方のはずですから。

さて、収支をプラスにする努力の一例としては
・節約や外食の自粛など、生活レベルを下げて収支をプラスにする
・定年退職以降も働きに出る
などが考えられます。これらの努力で収支がプラスになるのであれば、投資の過程で一時的に資産が減っても大丈夫ですね。

・貯金はあるが、今後貯金増が見込めない人が向かない理由

 このパターンは、上の50歳以上の例に近いですが、貯金増が見込めないというのは、つまり収入と支出が拮抗しているということですね。この状態で投資を行った場合、このままだと将来がまずいからお金を増やすために投資をしたのに、大事なお金がみるみる減っていくのを指をくわえて25年間黙って見守る、という状況に耐えなければならない可能性すらあります

 投資で損をしているときの精神状態は、一度なってみないと実感できない人がほとんどです。なってみるとこんなにつらいとは思ってもみなかったとなる人が多いです。損どころか、これまで増えていた資産が少し減っただけでも、収支はプラスでトータルでは得をしているはずなのに辛く感じるものです

 できれば、貯金を増額できるよう、収支をプラスにする努力をしたうえで、投資を行うのが良いでしょう。努力の一例としては、再掲も含みますが、
・節約や外食の自粛など、生活レベルを下げて収支をプラスにする
・副業に取り組む
・転職する
などが考えられます。ただし、転職では逆に収入が減る方も多いですのでご注意ください。(年収が増えると聞いていたのに、ボーナスや手当が少なくて、結局減った、という方もいます。)現実には、支出減をしようとしても、「生活レベルを下げたくない」という感情を重視する人が多いようですが、正直一番簡単なのは、節約、特に無駄の削減だと思いますよ。

・もともと極度の不安症の人が向かない理由

 ここまでの説明で、もうなんとなく察している人もいるかもしれませんが、株式インデックス投資は、そもそも資産運用の中でも「高リスク・高リターン」の投資です。資産が1年で半分以下になる恐怖に耐えられる人しか、株式投資にそもそも向いていません。リスクを取らねばハイリターンは得られないが、ハイリターンの資産はハイリスクです。

 したがって、リスクは怖い、というタイプの人は、インデックス積み立て投資一本でいくと、恐怖感によりむしろ人生の質を著しく下げる可能性があります

 こういう方のために、株より低リスクな資産を勧める本や記事もありますが、株以外の資産も結局はリスクがあります。(ただし分散投資した場合、リスクの分散は可能です。このリスクの分散も、一般にリターンを犠牲にするため、思っているほど簡単な話ではありません。)

 慎重派の方は、(家計の収支に余裕があるのであれば)全資産型のバランスファンドで手数料が安いものに、貯金の1%を投資に回して増減を眺めるところから始めてみて、体でリスクに慣れつつ各資産の勉強をしていき、自分に合った資産比率探していく、などという方法もあるでしょう。その際に、「明日から1か月かけて、毎日値段が下がっていき、最後にはこれが半額になっても、私は耐えられるかな」と自問自答しながら徐々に投資額を増やしていくとなおいいかもしれません。減ったら自己責任です。

 なお、ここまでの話を読んでいくと、投資をしなくても、逆算して貯金ができるのであれば、節約+できるだけ利息の高い貯金、というのも悪い選択肢ではないように思えるかもしれません。ところが、投資をしなかったらしなかったで、しない選択をしたことによる機会損失と、インフレリスクがあります。つまり、30年後に株が1000倍になっていて、自分の貯金は1%しか増えていなくて、損したように感じても、それもまた自己責任だし、インフレになって貯蓄の価値が相対的に下がり、損をした気分になったり老後資金が足りなくなるかもしれませんがそれも自己責任です。なお、投資本を読むとインフレリスクが強調されがちですが、実際には生活ができないほどのインフレになる前に、給与も上がることが多いので、投資に誘導するためにインフレリスクを強調し過ぎな面があります。しかし、貯金の価値の目減りは避けられませんし、インフレは起きる可能性が極めて高いので、それに対する策を考えておく必要があるのも事実です。

 なお、投資しなければリスクゼロ、という場合のリスクゼロは、「危険が無い」という意味ではなくあくまで「数字上の金額が減ることはない」という意味でしかありません。上述のように、投資をしないという選択をした場合、退職後のインフレに貯蓄は脆弱ですので、しない選択をしたことも自己責任であることを忘れないでください

最後に

 前半は株式インデックス積立の過小評価されがちなデメリットについて、かなり強調した記事を書き、次に株式インデックス積立が不向きな方、あるいは株式インデックス積立の前にやるべきことについて話をしました。
 そのくせその一方では「資産運用を行わないリスクもある」という話もしたので、

じゃぁどうしろというんだ!この記事は何が言いたいんだ!

と思った人もいるかもしれません。

 その感覚を持ってもらえたならば、それだけで大きな進歩です。資産運用に絶対はないし、分からないから何もしないのもリスクだが、かといってインデックス積立は万能薬ではないのです。そもそもここに書かれていることは、全部当たり前で、資産運用をしている人全員が「いまさら何言ってるの?」ぐらいに思わなければおかしい内容です
 その感覚を持たずに「これでOK!」みたいな感じで株式インデックス積立をやるのが一番まずい、という話が一番したかった部分です。

 実際、これを読んでいる方が理解していらっしゃれば貴重なお時間ありがとうございました案件なのですが、観測する限り、書籍、SNSやYoutube等でレビュー、SNS投稿、リプライ、コメントを見る限り、理解せずに投資している人が(インフルエンサー自身ですら)多いです。何なら、この記事にも間違いはあるかもしれません。国税庁の資料すら、作成者のバイアスからは逃れられません。

 巷では、他人が間違った情報を流して、それに基づいて判断を下した時、元の情報が悪いと思われがちですが、こと投資においては、責任を取ってくれない人を信頼した全責任は、自分が被ることになります。自分の資産の運用責任者は自分です。自分の手でしっかり調べて理解したうえで、資産を運用しましょう。

 以上のまとめとして、最初の要約をもう一度書きます。お読みいただきありがとうございました。

・投資をするのは、本人にとって安心できる貯金があるのが大前提
・収支がマイナスの人はその改善が先
・そもそも最良の投資法など存在しない
・十年以上にわたり大幅なマイナスになることも多い
・そもそも長期でインデックス投資がプラスになるという保証もない
・性格によって向いている投資スタイルは変わる
・誰の言うことも信じてはいけない(この記事含む)
・自己責任という言葉の意味はとても重い。「信じてたのに」「騙された」は通用しない
・(おまけ)iDeCoは人によっては向かない
 →おまけは以下

おまけ:iDeCoは人によっては向かない

iDeCoについてですが、正直、自営業でそれなりの利益が出ている方など、節税メリットがとても大きい人から、公務員で退職金の受け取り時期が固定の人など、メリットが限定される人、転職を繰り返す人など、逆にデメリットの方がおおきくなりかねない人と、人によって利便性にだいぶ差があります。
そのため、
・メリットのある人は超おススメだが、よくわからないなら無理に始めない
・始めるならある程度覚悟が必要
です。
以下、注意すべき点をいくつか箇条書きで挙げておきます。
以下が全てはないので、やってみたい人は、自分で制度についてよく調べて自己責任でやりましょう。

・人によっては良い節税になる、特に自営業で条件を満たす人
・公務員や企業年金のある人は、上限額が低い(公務員は2024年に少し上限UP)
・開始時の手続きがとても面倒
・会社員は、会社に書類を書いてもらわないといけない
・転職する場合の手続きがとても面倒
・60歳までほぼ受け取れない(失業しても無理)
・引き落とし金額の変更等、あらゆる手続きに制約があり、時間がかかる
・引き落とし日が固定
・初回の引き落としでは手数料で数千円が抜き去られる
・一度始めると脱退は不可能
・引き落としのたびに毎月手数料がかかる
・受け取り時も毎月手数料がかかる
受け取り時には、結局税金がかかる
・証券会社の変更にも手数料がかかる
・(もし)何もしないと毎月手数料で資金が減っていく


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