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デジタル政府最先端! デンマークはこんなにも日常がデジタル。

最近あちこちで聞く「DX」や、「デジタル政府(デジタル・ガバメント)」という言葉。
このコロナ禍において、国民一人当たり10万円の給付金の手続き確認作業が結果、手作業で確認されていたのは記憶に新しいですよね。

いまだ、市区町村向けの提出書類が紙ベースだったり、窓口に行かなければならなかったりと、そのアナログな環境を変えようと、今、様々な取り組みが検討されています。

そんな中、毎年「世界デジタル政府ランキング」を発表している国連と早稲田大学電子政府自治体研究所。その両方でTOP1、2を誇っているのが「デジタル・デンマーク」を提唱する、デンマークです。

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出典:日経Xtech『電子政府ランキングで日本は14位に後退、トップ3はデンマーク・韓国・エストニア』「世界電子政府ランキング」https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/08340/

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出典:早稲田大学電子政府・自治体研究所
「第15回早稲田大学デジタル政府ランキング」調査
https://www.waseda.jp/inst/cro/news/2020/09/09/4957/


日本は14位、7位、と位置付けになっていますが、これから日本政府の肝入りでデジタル化が進む予定!とのことですから、一気に便利な世の中がやってくることが期待できそうです。

では、便利な世の中がすでに日常になっているデジタル・デンマークの生活を垣間見てみましょう。

保育園入所の手続きは5分で終わる

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Sue:日本では、保育園・幼稚園に入るためには申請書類を紙で提出する必要があります。会社勤めの人は会社の人事や労務課の担当の方に在籍証明と労働条件、給与などを書いてもらうのが一般的です。

一方、自営業の方は自分で書くのですが、自営業用の申請書と併せて別途、どのような働き方をしているのか、収入は本当にあるのか、など補足資料を追加して申請書を作成します。

これ、全て、紙で作成する必要があるのです・・・。
デンマークは入園や継続申請は、どんな手続きが必要なのですか?


Chiba: 保育、幼稚園等への通園手続きはいたって簡単です。
また、保育園・幼稚園の入園手続きは保護者の職種・役職に関係なく平等なので、書類が異なることもありません。

Sue:ちなみに、デンマークは自営業者と会社勤めと申請時の提出内容に差があるわけじゃないですよね?

Chiba:全くもって無関係で~~~~~す。親の職業じゃなくて子どものための福祉サービスでしょ。すでに福祉という言葉すらあまり意識しないほどに当たり前になっています。

Sue:それほどに、当たり前に必要なサービスが、必要な人にきちんと届くしくみがあるんですね。もれなく。

Chiba:漏れなく、です。
例えば、入園手続きは、全てが自動的に行われるのですが、国が保育・幼稚園の場所を全家庭に保障しているので、生後4〜5か月くらいすると市の児童福祉課から自動的に通知が来ます。
「お宅のお子さんの保育場所をお知らせします」と。

そこには2~3つの保育ママと保育園名、更には3歳以降の幼稚園名も一緒に書かれているんですね。(デンマークは0−3歳=保育園、3−6歳=幼稚園、6−7歳=0年生(就学前クラス)が一般的)

「いずれの保育・幼稚園を選ぶかご回答下さい。」
「もし保育・幼稚園を希望しない場合はその旨お知らせください。」
市は子どものマイナンバーを事前に認知しているのでその他の申請書類等は不要です。このお知らせがメールで届きます。

ですから、回答には5分もあれば良いと思いますよ。


Sue :生まれた時に、個々人にすぐにマイナンバー、があることがやはりキーですね。親というより子どもの権利を国がきちんと保障している感じがします。日本もマイナンバーカードの普及率が上がるといろいろな意味で楽になるのかな・・・。

ちょっと羨ましい。
日本は、待機児童の問題もあって、地域によっては親の就業状態によって点数化されたり、個々の環境で判断されたり、と、審査があるんです。収入状況とか、祖父母との同居環境も聞かれます。

Chiba:またまた繰り返しますが国は国民に保育・幼稚園の場を親の職業に関係なく、家族構成(99%別居ですけど)に関係なく保障しているのです。だから自動的!に通園案内が来るのです。
日本は、まだまだ管理社会ですねえ~


デジタル政府はペーパーレスだけを指すのではない


Chiba: 先ほどマイナンバーの話が出ましたが、確かにこのシステムは一般企業でも公官庁でも文書業務の複雑さから解放しています。

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例えば子どもの保育園入園申請に日本では幾多の文書を添付するようですが、マイナンバーでその必要がなくなります。

日本の役所に行くと職員の机は書類の山ですよねえ~!デンマークの役所では職員の机の上にはコンピューターが1台切りですっきりしています。

Sue:「紙=目で見える=紙は信用できる」という考え方が根強いのでしょうね。また、なかなかデジタル化が進まない理由に「システムトラブル」があるのが現在の日本かな。

Chiba:デンマークは今から15年前あたりから年を追うごとにデジタル化の試みがなされてきました。

2016年から2020年までの間には、第5回目公共デジタル化戦略として政府とKL(98地方自治体の連合会)ならびに、州(5広域地方自治体)と共同で、公共デジタル化の水準を引き上げることに合意しており、その成果は目を見張るものがあります。

ようするに、国・県・市町村の縦割り行政が全て連携しているということです。ペーパーレスが進んだから、デジタル・デンマークではない、ということです。


デンマークの教育現場はIT先端を行く

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Chiba:ITは教育の場でも先端を行ってますね。
デンマークの学校の全ての教室には学年を問わず電子黒板(ホワイトボード)を完備しています。

もちろん特別支援学級にも当然あります。そのホワイトボードにHitachiとかSonyと会社名が書いてあるの見ると、オッ!日本は凄い!と思うのですが、、、日本の学校では全ての学校の全ての教室にホワイトボードが設備されているのでしょうか?

Sue:「日本の全ての学校」にはまだまだでしょうね。というかこれからといったところでしょうか。地域によっては完全普及しているところがあるのかな?(ご存知の方教えてください)

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私、デンマークの小学校に行った時にみましたよ。全部の教室に天井吊り下げ型のプロジェクターと、壁に設置されたスピーカー。日本製で、思わず大笑いしました。日本がここにも!さすが!!と。

瞬時にネットにつながるインターネット環境。
先生方は年齢関係なく、皆さん、ITを使いこなされていました。


買い物はキャッシュレス、ついでに現金引き出し。

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Chiba :一般市場では殆どキャッシュレスですが、マーケットで買い物をしてカードで支払いをして、ついでに現金を引き出すこともできます。
例えば520kr分の買い物をしてカードで支払うときに1000kr分買ったことにして480krを現金で受け取ることが出来るのです。

Sue:えー!じゃ、銀行やATMにわざわざ行かなくても、現金引き出しができるってことですか?凄すぎる。使いすぎちゃいそう・・・。

医療情報連携システムであっという間に手続完了

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Chiba :マイナンバーは家庭医・専門医・各種療法士・総合病院の間の情報交換にも一役買ってますよ。
全て情報は文書によらずコンピューターで処理されます。

例えば家庭医に薬の処方箋をデータで作成してもらいます。
薬は医療保健証(イエローカード)を薬局にいって提示すると処方箋どおりの薬を受け取ることができます。デンマーク国中どこの薬局に行ってもイエローカードを提示すれば処方箋どおりの薬が提供されるのです。

大学病院の駐車場では診察を受ける本人のイエローカードで駐車料が無料となります。

Sue:ちなみにお薬手帳ってあるんですか?

Chiba:ないですよ。イエローカードには履歴は残りませんが、これまでの薬の履歴、ということであれば家庭医のデータに全て残っている、ということですね。

Sue:家庭医が薬の飲み合わせなどもちゃんとデータチェックしているということなのですね。すごい、ありがたい。
ちなみに、専門医への紹介状とかはどうなのでしょうか?これもデータですか?

Chiba:家庭医(GP)でらちが明かない時はその科目の専門医を紹介してくれます。ただ、家庭医からは専門医にみてほしい対象のデータのみが専門医に送られます。

Sue:データに閲覧制限をかけられるわけですか。セキュリティ部分でもデジタル・デンマークを掲げているだけありますね!日本にも島根県で医療連携システムを構築している例を伺ったことがあります。
全国に広がったらいいなぁ。
参考:まめネット(平成25年稼働)NPO法人しまね医療情報ネットワーク協会  https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000644781.pdf


Chiba:新型コロナウィルスのPCRテストも、イエローカードを1枚提示するのみで、受診でき、結果は自宅のPCから医療保健機構へ問い合わせると陽性、陰性の判定が回答されます。郵便ではなくて、メールです。

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(千葉さんのPCR検査の様子 )

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(寒空の中、3時間待ちだったとのこと・・・お疲れ様でした。)

Sue:おぉ、そうなのですね。日本でいうところのマイナンバーカードや、健康保険証がその役割を担いそうですが、横の連携をどう構築していくのか、、、。日本は1億人超えの人口なので、いろいろなパターンが混在しそうですが、きっと頭のいい人がデジタルな仕組みを作ってくれるはず・・・。

Chiba:国・都道府県・市区町村。この三者間の良好な連帯作業により公共のデジタル化は順調に進み今日のデンマークが公共部門のデジタル化に関して国際的最先端を行く基盤を作り上げています。

と言っても私のような爺さんに郵便ではなくメールで諸々の通知が来ると回答に戸惑い困るようなこともあるのですが、、、、

Sue:日本でもきっと早々にデジタル化の波がやってきそうです!

<次回へ続く>


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