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経済学部生、芸術学部生の考え方の違い② お互いの妥協点

先日の投稿で紹介したデパートへの企画提案の続きを紹介したいと思います。↓

授業の主題はAalto大学の学生がArt, People, Spaceをテーマにデパート(Kamp Galleria)へ企画を提案するというものでした。美術館やギャラリーの社会における教育的役割、社会と芸術の関わり方などを授業で学び、学んだことを活かして企画を提案すると言う内容です。
企画の始まりは、1887年から続く格式あるホテルに隣接するデパート(Kamp Galleria)がブランドを守りながらも文化的要素を取り入れたいと、The Finnish Museum of Photographyを招致してK1 というギャラリーをオープンしたことです。そしてそのギャラリー責任者が、教授と知り合いで企画をすることになりました。

学生からの企画発表当日の出席者は、クラスメイト、教授、ギャラリー担当者(M)、Kamp担当者(K)、ギャラリーに隣接するレストランオーナー(Y)。
Kの表情はマスクをつけているせいもあり、始終無表情。Yは提案に楽しげに意見を述べながらも、何を意味するのかわからない芸術コンセプトを突きつけられ、その場でググり、皮肉めいた感じでそれを読み上げたりしていました。
そんな中、大学とKampをつなげているMは程よく合いの手を入れ、学生が企画実現に向けてしにくい質問をKにしてくれます。
Kamp担当者の気持ちもよくわかります。これまでやったことのない初めての企画を上司に許可を取らないといけない、面倒なことはできるだけ避けたい、こっちは学生と違って仕事でやっているのだ、格式あるホテルに隣接するデパートとしてのブランドイメージを崩さないようにしないともいけないと・・・。
ただ、その中でも私たちのグループの案に対するKの反応は他の2グループと比べると上々。私がいたからだと思いたいな笑 アイディアについては褒めてくれ、あとは細かいセキュリティーなどの問題だけだと言われました。

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プレゼン終了後、KとYが帰ったあと、教授はKやYたちはアートではなく、デパートに人がくるためのイベントとして捉えているよねと。ハァ〜これだから、アートを理解できない人たちは。とクラスメイトの顔に書いてありました。前までの私はそうだったかもなと少し居心地が悪くなりました。
学生と社会人という立場の違いもあると思いますが、お互いが訳のわからないことを言う人たちと考え、お互いを違うものとして捉える風潮があることに驚きました。
私はAalto大学に入るまではKに近い目線だったからKの反応もわかるし、今は両者の間にいると、正直な感想をクラスで共有すると、教授は実は私がそれで葛藤しているのではないかと心配していた、ただその視点を活かしてどんどん意見を言って欲しいと、Mもいつもその狭間で、使う言葉を変えないといけないし苦労していると。これまでの心の中の葛藤を人に言い、それに対して共感や意見をもらうことでとてもスッキリました。
Mが最後に、革新的でお互いが初めてのことだから、交渉していかないといけない、初めてのことをやるには何事も大変だけど一緒にやって行こう!とその授業は締め括られました。

ちなみに同じ授業に参加していた、デザイン出身の子も同じことを考えていました。
経済とアート、アートとデザインの距離感より、経済とデザインの距離の方が近いのかもしれません。

経済と芸術のバックグラウンドの違いだけではなくて、お互いに損得がある立場でいる場合、これは社会のどこにでもある埋まることのない溝なのかもしれません。両者の間に入って何をする場合、無理やり理解してもらおうとするのではなく、その中でどれだけ相手に、寄り添い、使う言葉も合わせて、お互いの妥協点を見つけるかがポイントだと思いました。それは同じ言語を使う者同士でも大切だなと思います。

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