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メス主導の分岐と進化。

つれづれ人類進化考 第3回


今回は大型アフリカ類人猿の分岐を時系列に沿って深堀してみたい。

”分岐を主導したのはメス” の方だったとの論を以下に展開したい。

ゴリラとの分岐 約900万年前

アフリカの乾燥化、森林減少、果実の減少はどの類人猿も共通して直面したはずだ。
子育て中のメスが、減少した果実を求めてより広く森を遊動するのは、オスに比べて不利な状況だったはずだ。
だから、はじめに葉食を試みたのはメスの個体で、たまたま葉の有毒物質に耐性がある個体から草食獣化への進化が開始された可能性がある。
消化器官とともに体が巨大化し、木登りが危険になり、ナックルウオークを進化させた。そして食性に適応的なハーレム形成の進化へとつながる。

チンパンジーとの分岐 約700万年前

チンパンジーとヒトは主に果実食を続けていた。

たまたま、ヒトに至る系統が森林がまばらになったところに取り残されたかもしれない。(もしかすると縄張り争いに負けた)
メスは同様に子育て中の遊動が難しくなるから、
交尾と引き換えに果実をプレゼントするオスを選択するかもしれない。


危険な直立二足歩行

直立二足歩行は樹上で進化したことが定説であるが
地上に転用するのは危険で合理性に疑問がある。
しかし、愛着が強い個体が、特定のメスにプレゼントをするために開始する動機としてはあり得る。

チンパンジーのメスは、おいしそうな果実を持つオスを交尾に誘い、最中に果実をとりあげることもあるらしい。

当時の類人猿のあるオスの個体がそれを学習し、交尾目的で開始した後で、
浮気しない、継続、反復的にマメにプレゼントする個体をメスの方が選択することで、ペアボンディングの進化につながったかもしれない。
もしかすると、授乳性無月経の間も交尾するようにメスが進化したのかもしれない。

一方チンパンジーに至る系統では、森林にとどまり、遊動分散の食性に対応できるようにメスが排卵の誇示を進化させたのかもしれない。それが、不可避的、無差別的な乱婚、精子間競争の強化につながるのだろう。
そして、ナックルウオークをゴリラとは別に収斂進化させた。
ゴリラ程の巨体ではないが、樹上により特化しており、アクロバティックにコロブス(サル)を狩ることもできる。

しかし近年の研究では、その後も三つの類人猿間で並行的な交雑があった可能性が指摘されており(その方が自然)
実際、直立二足歩行後も、人類の脳容量はその後500万年間は類人猿並みであった。
そうなると、現在のゴリラやチンパンジーのような方向への特殊化は、その時点までは、それほど進化していなかったかもしれない。
特に、森林がまばらな所で生息できるヒト系統と、葉食傾向が高まり始めたゴリラは生息場所が重なる時期があったのかもしれない。

精子間競争での比較

ヒトの精子はゴリラに近いのか?チンパンジーに近いのか? (jihacep.com)

ヒトは精子間競争能力の比較でチンパンジーとゴリラの中間です。

おそらく、ヒトの系統と分岐したあと
ゴリラは退化へ、チンパンジーはより強化したと考えられます。
ハーレム形成、乱婚の生殖戦略にそれぞれ対応的です。
ヒトのペアボンディングが精子間競争を退化させた可能性はありますが
それ以上に、ヒトの系統ではテストステロン値が一貫して低下していますから、その影響が強いのかもわかりません。

ナックルウォークの代償

サルは器用な手をしています。
しかし、ナックルウォークする類人猿の手は、木登りのため特殊化して器用さを失いました。

樹上で進化した直立二足歩行を、危険を冒して陸上歩行へ転用したヒトの系統は、自由になった手で器用に道具使用できるように進化します。

棒で塊茎を掘り出す

森から草原へ

アウストラロピテクス属の段階で食性は草原に求めるようになった。
直立二足歩行も上手になった。
でも、上腕は森林への依存が続いていたことを示す。

禁断の進化史” のなかで更科功先生が
”質の高い眠りが知性を高めた”
 で指摘のとおり、安眠のため、樹上へ寝床を作るのは続いたと思われる。
類人猿の脳を維持するためには
樹上の寝床で深く寝るのを続ける必要があった。

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猿人の頃までは、とりたてて他の類人猿より有利な状況ではなく
むしろ劣勢だったかもしれません。
ただ、アウストラロピテクス段階では
森林から草原へ食性を拡大したので
より、繊維の多い根や塊茎に対応できるように歯や顎が頑丈になり咀嚼筋も発達した。
反対に特殊化してしまったチンパンジーは森林から出ることはできませんでした。
でも、分岐後500万年は他の類人猿と大差ありませんでした。

私の論考で辻褄が合わないこと

これまでの論考でペアボンディングの進化こそ、直立二足歩行を促し、
ヒト系統への進化の重要要因と指摘してきたが。
アウストラロピテクスは明確な性的二型で、
ゴリラ型の生殖が予想される。
これを、どう考えるかが問題だ。
一度、直立二足歩行が進化しはじめたあとで、
ゴリラ型の生殖戦略になったのか? 
現時点ではわからない。



以上、次回はホモ属以降(脳の増大が開始)について論考予定です。

挿絵作成には Bing Image Creatorを使用しました
(現時点では、私の能力不足もあり、思い通りに指示できませんので、挿絵のおかしな点はご了承ください)

最後に
私はただの人類学ファンです。
きちんとした科学教育も身に着けておりませんので
独断と偏見に満ちた無責任な論考です。
自分のブログ作成スキルを磨く練習目的で作成しております。

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