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蓋をしていた気持ち

朝、目が覚めて、強烈な食欲に襲われた。
「なんでもいいから食べたい」
食べ物のことだけを考えてキッチンを徘徊し、棚を漁った。
ファミリーパックのチョコレート2種類を見つけ、その場で貪るように食べた。


数時間前まではカロリーを細かく計算し、余計なもの(間食など)は一切していなかったのに。
それまで我慢していたものが止めどなく溢れ出ていった。

食べちゃだめだ、でも、食べたい

これが過食というやつか、と思った。
私は去年、トリンテリックスという薬の副作用で10キロほど体重が増加した。
それに危機感を覚え10月頃からダイエットを始めた。それがエスカレートし、摂食障害(拒食症)と診断された。


拒食になってから1日の総カロリーが500kcalを超えればいい方、ほとんどの日は200-300kcalを摂って過ごしていた。
体重も8キロほど落ちた。


今となっては、とても阿呆らしくて、情けなくて、恥ずかしいことなのだが、ダイエットを始めた去年の10月、SNSで摂食障害の治療に励む方を見つけ、私も摂食障害になりたいと思っていた。
その方はまだ治療途中で健康とは言い難いほど細かった。
しかし、ダイエットしなければ、と自分の身体に危機感を覚えていた私には、その身体が魅力的に見えたのだ。
そしてなにより、病状が目に見えることがとても羨ましかった。

うつ病、不眠症、自律神経失調症、全般性不安障害、過敏性腸症候群、、、
色んな病名をつけられてきたが、どれも目には見えず、そのことに私自身も、周囲の人も困惑していた。

どれだけ丁寧に言葉を紡ぎ、的確に表現しようとしても、私のつらさが完全に理解されることは今までなかった。 
摂食障害になって、いわばガリガリの身体になれば、私のこの辛さを理解して貰えるかもしれないと、馬鹿なことを思ってしまったのだ。
でも、そのくらい、当時の私は追い詰められていた。

そうして、摂食障害になった私は拒食脳に支配された生活を送り、今更ながら、摂食障害になろうとした自分のことを恨んでいる。
それでも、少しづつ、以前の食事に戻れるよう、一進一退しながら、進んでいる。



 

最後まで読んでくださりありがとうございます。 
読んでくださったみなさんが、どうか、健康で過ごせますように。


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