若いころの私はそれを無謀とも思わずにミシュラン料理人を目指して、いくつもの有名店に弟子入りした。しかし、ガッツではセンスと能力不足を補えなく、41歳のいまでは主に食堂の料理人の一人として、あちこちに派遣され、沖縄、新潟、北海道など日本中の旅館や学食、屋台、病院、ときにはフェリーで料理をしてきた。ドラマの渡り板前のような腕はなく、人数合わせのような料理人。 いまは合同庁舎8階が私の職場。一般の人も入れる食堂。客の仕事はだいたいわかる。議会があるときにいつも疲れ切っているのは
わたしはラブラドールレトリバー。気ままです。 小さい頃、<けいさつけん>がたくさんいたところにドキドキしながら暮らしていた。パパのクルマには、そこから連れて来られたとき以来乗っている。その頃のわたしは両の手の平の上に乗るくらいだったんだけど、今の私は30kg近くあるんだって。よくわからない。 クルマはミニバンってやつ。<エスティマエミーナ>ってパパは言っていてだいぶ古そう。買った頃は<てんさいたまご>ってフレーズで呼ばれていたんだって。97年式って言った。 クルマに
わたしはパパの背中が大好きな6歳の女子。とくにソファーにだらだら横になっているパパの背中と背もたれとのあいだにすっぽりはまるとすぐに眠くなるの。 きょうは朝からパパがソファーでごろごろしているから<にちようび>ってやつ。いっしょのごろごろが終わるとご飯の時間。わたしは食べ終わるとちゃぶ台の上をついベロベロしてしまう。怒られるから少ししか出来ない。 大好きなお散歩コースは賑やかな<えきのこんこーす>。でも、ここのところ別のコースになって<じゅうい>に挨拶してからの住宅
1日目 目が覚めると、アパートの部屋のいつもの何の変哲もない壁に違和感がある。 ほうれん草の根っこのようなものが付いている。 カッターナイフを探して、削り取った。 2日目 目が覚めると、今日もまた根っこがある。 今日もまたカッターナイフで削り取った。 6日目 旅行から帰ってきた。 予想通り、根っ子はある。 いや予想以上の事態。ずいぶん長く伸びている。 それどころか、くるくる、ぐるぐるしながら伸び縮みをしている。 カッターナイフで切ろうとしたら根っ子に叩かれ