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豆腐メンタルが初めてカウンセリングを受けるはなし(その3)

今回の記事では、ついにカウンセラーと対面し、実際に受けたカウンセリングの様子を書きたいと思う。

仕事を早退した後、なんだか落ち着かなくて早めに家を出たせいで、予約時間よりもだいぶ早く到着してしまった私は、波音BGMが流れる待合スペースで15分以上時間を持て余していたのだが、スマホの時計が18時になるとほぼ同時に、後ろから女性の声で名前を呼ばれた。

きた!慌ててスマホをカバンにしまって振り返ると、ジャケットを羽織った若い女性が立っていた。「お待たせいたしました。ご案内します」と言って奥に見える個室の方へ案内された。
あの部屋にカウンセラーさんが待っているのかなと思いながらついていき、女性に促されて部屋に入ったが、中には誰もいなかった。
広めのテーブルに向かい合った椅子が2脚ずつ、なんの変哲もない会議室の雰囲気。部屋の端には観葉植物が置いてあった。

部屋に案内してくれた女性が私に着席を促し、私の対面に座って挨拶してくれた。
「本日担当いたします、臨床心理士のAと申します。よろしくお願いいたします」
あ、あなたがカウンセラーさんだったんですね!お若いのでてっきり受付の案内係の方かと思いました!大変失礼しました!!
と、予想外の展開に心の中で大騒ぎしていたため、本当はもっと長い肩書きでご挨拶していただいたのだが、最後の臨床心理士の部分しか覚えていなくて申し訳ない。
正直に言うと、こんなに若い方で大丈夫なのかと一瞬不安に思ったのだが、それはまったくの杞憂だった。

カウンセリングを始める前に「同意書」の内容確認とサインを求められる。守秘義務のこと、医療行為ではないので薬の処方はできないこと、カウンセリングという性質上、本人もしくは他人に生命の危険がある場合は個人情報を開示します等など、カウンセリング前に必要な説明を受けて同意書にサインをした。

いよいよカウンセリングが始まる。どんなことを聞かれるのかと色々考えていたのだが、カウンセラーのAさんは「何でも、お話ししたいようにお話しいただいて構いません。情報を整理するために私はメモを取りながらお話を伺います。気になるかもしれませんが、気にせずお話を続けていただいて大丈夫です」と丁寧に話してくれた。
Aさんはマスクをしていて表情は目のあたりしか見えないのだが、声色が優しいからか淡々と話していても冷たい印象は感じなかった。

てっきり初回のカウンセリングはカウンセラーからの色々な質問に答える形式なのかと思っていたから、何でも好きなように話してくださいと言われても何から話せばいいのか分からない。それをそのままAさんに伝えてみた。
「ほんとにどんなことでも、お話されたいことで大丈夫ですよ」
それならと、転職して新しい会社の部長との関わり方で悩んでいること、苦手な仕事で憂鬱な日が多いこと、きちんと誰かに相談したくてカウンセリングを受けようと思ったこと、思いつくままにそのままAさんに伝えてみた。

私の話が途切れると、話した内容を補足するような質問をAさんが投げてくれる。それに私が答える。その繰り返しでいろんな角度から私の抱えている問題を捉えて明確にする作業をしているようだった。
質問に答えながら自分の中の不安や心配と向き合っていたら、急に涙が溢れてきて目の前が滲んで涙が流れた。自分の気持ちを一生懸命説明しようとすると昔からすぐ涙ぐんでしまう。きっとこうなる予感がしていた。だからハンカチは絶対に忘れないようにと思っていたのに、ハンカチよりもティッシュが必要な感じだった。
テーブルの上にあるボックスティッシュを使ってもよいか聞くと、もちろんですとAさんは表情を変えずにスッと私のほうへティッシュを寄せてくれた。
鼻をかみながらふと横を見ると、大きなゴミ箱が置いてあった。
私のようにカウンセリングの最中に感情が高ぶってしまう人が多いのかもしれない、そんなことを考えたらなんだか少し冷静になった。

Aさんから私に試してほしいと教えてもらった対処法や考え方、目からウロコだったことも次回の記事で書きたいと思う。もう少しだけお付き合いいただきたい。

つづく




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