4種における指導者の現状と課題/今後、指導者に求められるものとは


1.はじめに


初めまして。
地方で少年サッカーの指導者をしている濵 騎龍(はま きりゅう)と申します。

16歳からボランティアで地元の少年団で指導者を始め、今年で10年目になります。

高校にはサッカー部が無く、小学校の時にお世話になった少年団に遊びに行った時に恩師から指導者を勧められ、指導者を始めました。

3年ほど前にAFEN公認スペインサッカー指導者ライセンス(モニトール)を取得し、スペインサッカーを基礎に日々勉強中です。

少しでも、育成に関わるコーチや保護者の方の手助けになれればと思い、noteでの発信を始めました。

2.4種指導者の現状と課題


特に私が住んでいるような田舎では、指導者を生業としている方は少なく、一部のクラブチームやJ下部組織を除く多くの少年団の指導者は、私と同じボランティアコーチがほとんど。

その為、平日の練習は仕事終わりに参加される方が多く、残業が入ると練習自体が中止になることも少なくない。
加えて土日の活動もあり、チーム運営を円滑に行うとなるとそれなりにスタッフの人数が必要となる為、指導者をしたい方は誰でもウェルカム状態である。

指導者を始めること自体に資格は必要はなく(県大会以上のベンチ入りは最低、JFA公認D級ライセンスが必要)、サッカー経験のあるお父さんコーチやサッカー未経験のコーチも沢山おり、裾野が広がることは各々のチームとしても日本サッカー界としても大変有り難いことではあるが、無資格で始められる&ボランティアゆえに指導者の質に大きな差が出ていることが4種の指導者界の現状であり、課題でもある。

こうした現状の中、私が常々思っていることは、子どもたちの人生に関わっているという自覚と責任感を持ってほしいということだ。

大切なお子様をお預かりしている上に子どもたちの貴重な時間を貰い、成長の一端を担っている以上、
「サッカー未経験だから」
「ボランティアだから」
「メインコーチじゃないから」
という理由でいい加減な指導をしてほしくない。

子どもたちに努力や挑戦を求める以上は、大人も同等以上の努力と挑戦をし続けてほしいと思う。

ボランティアコーチに求めるにはハードな部分もあるが、育成はそれほど難しく、責任感のあるものだということを理解した上で指導に携わってほしい。

スマートフォン等が普及したことで子どもたちが簡単に様々な媒体にアクセスし、自分で情報を取り込めるようになった時代。
指導者がネットで拾ってきた練習メニューに対して、「その練習Youtubeで観た!」と言われることも少なくない。

また、指導者より選手の方が知識があることもザラにある。

だからこそ、指導者は選手たちに知識で追いつかれないようにする事はもちろん、本質を理解し学び続けていく必要がある。

現代のフットボールは常に戦術や考え方がアップデートされ、複雑化している為、「子どもにサッカーを教えるぐらいの知識と経験はある」とあぐらをかかず、どれだけ学びというものに貪欲であり続けられるかが、指導者の質を分けるポイントとなる。

3.指導者=教育者


先程も述べたように、サッカーの知識はある程度、子どもたちが自分で取得できる時代である今、サッカーのことだけを教えている指導者に価値は無い。

教育者として、子どもたちの人間性をどれほど成長させられるかが重要であり、
挨拶・返事・話を聞く姿勢・言葉遣い・整理整頓・尊敬心・献身性 etc…
オフザピッチでの立ち居振る舞いも同時に伝えていく必要がある。

人間が集まっただけの「集団」から目標を持った「組織」にするためには、まずは、それぞれ最低限の人間性が備わった状態である必要がある。

さらに言えば、子どもたちが今後どの道に進もうと人間性を求められない場所は無い。
子どもたちの成長の観点からも、チームビルディングの観点からもオフザピッチから意識を高めて行くことが重要だ。

_______________________

話は変わり、現実問題として日本でサッカー選手になれる確率は約0.2%と決して高くはなく、今指導している多くの選手はプロにはなれない。
夢を見せて確率を上げる手助けをしてあげることは大切だが、現実を見せてあげることも教育者として必要だと思っている。

現に、ユース年代からイングリッシュ・プレミアリーグに出ていても将来の事を考え、大学に通っている選手もいる。

人間性の成長に加え、選手が人生の選択肢を広げられるよう学業にも専念できる環境を、チームとして整えることも必要である。

サッカーを楽しんでもらうこと+どれほどサッカー選手として、人として成長させられるかが、指導者・チームの評価にも繋がっていく。

4.今後、指導者に求められるスキル


まず、大前提として、子どもたちが安心・安全にサッカーを楽しめる環境を提供するというのは育成に関わる人間として常に心に留めておかなければならない。

それを踏まえた上で、今後指導者に求められる知識・スキルとして
1.Technical(サッカー指導者としての技術全般)
2.Mental(発達障がい児やメンタルヘルスを抱えた子どもとの向き合い方、モチベーション管理)
3.Physical(コーディネーション能力、脳科学、動作学etc…)
4.Medical(体調不良者の応急処置、現場での判断)
があると考えている。

もちろん、MentalやPhysical、Medicalなど医療的・専門的な分野はプロに任せるべき場面はある。
Technicalの部分もGKスキルやドリブル等、特化したスクールで学ぶことでより効率的に成長できるものもある。

しかし、何と言っても最も選手と関わり、選手の人生の一端を担っているのは少年団の指導者であるため、全てにおいてある程度の基礎知識とスキルを持っておく必要がある。

現に、試合会場に行った際には以下のような場面が散見される。
・試合前のストレッチやアジリティトレーニング等のウォーミングアップは選手任せで指導者は見てもいない
・体調不良者のプレー継続や復帰タイミングの判断が選手任せ
・怒り任せの叱責や根拠のない根性論が根付いている

この状況は果たして、子どもたちが安心・安全にサッカーを楽しめる環境を提供することができているのだろうか。

次回以降、具体的に何が必要でどうすれば良いのかを考えていく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?