📗オリジナル脚本「死神💀からのリップスティック💄〜３人の選択〜」

シナリオ・センター基礎科１４６期卒業生、現在は研修科受講生です。
オリジナルの脚本です。
ぜひご高覧ください。
今後も、随時オリジナル脚本を掲載していきますので「スキ」や「シェア」どうぞよろしくお願いします！コメントには必ずお返し致します。

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人物

タタ（２３）女優志望

ズズ（２３）吃音症・タップダンサー志望

ポポ（２３）盲目・歌手志望

死神（１００）

ザルバ（３５）舞台監督

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あらすじ

舞台のオーディションに落ちた３人の女の楽屋。

最後のチャンスを逃し自殺を考える女優志望タタ、吃音症のタップダンサー志望ズズ、盲目の歌手志望ポポ。

そこへ死神が突然現れ、不思議な力を持つというリップスティックを買わないかと３人を誘惑してくる。果たして3人の選択は？

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本文

◯楽屋

ズズ（２３）下手糞なタップダンスを必死に踏む。

　　　ザルバ（３５）呆れた表情で天を見上げてため息をつく。

ザルバ「はい、次」

ポポ（２３）下手糞な歌を必死に目を瞑りながら歌う。ザルバ呆れた表情で天を見上げてガムを強く噛む。

ザルバ「はい、次」

タタ（２３）とても緊張した雰囲気で手が震えながら、下手糞な演技とセリフを一生懸命演じる

タタ「この世の中で一番憎むべきレシートとは、あるがままのレシートに、ただ折り目をつけてしまって、あるべきレシートのために戦わないことだ。」

ザルバ（３５）更に呆れた表情で天を見上げてガムを更に強く噛みガム風船を作り割る。

　　　ザルバ気だるそうに話す。

ザルバ「はい、どうも。ありがとうございましたあ。３人とも今回はご縁がなったということでえ。」

ザルバ、タタを指差す

ザルバ「ああ、あと君」

タタ「はい！」

ザルバ「セリフ、絶望的に間違ってるよ」

タタ「すいません！」

ザルバ欠伸をする

ザルバ「はあぁ、まあいいや」　　　　

ザルバ楽屋を出ていく。

　　　タタ、ズズ、ポポが同じテーブルにそれぞれ腰をかける。

タタ「はいっ、また、落ちましたっ」

「はあ、沈む。これが最後のオーディション、だったのになあ」

　　ポポがタタの方を目を瞑りながら向く。

ポポ「これが最後？」

タタ「もういいのよ。もう、ね。女優を辞めてこれからは自分自身の人生を演じるの。」

ポポ「よぐぎぐ使い古されたセリフだなあ、それ。嫌いじゃないげど。ほんで、どうやっで食っでぐんだ？これから」

タタ「さあね、野良犬の演技コーチでもやって食べていくわよ」

ポポ「犬って笑ったり泣いたりできるのけ？」

ズズ（１７）「ふ、ふふふふ」

タタ「全然笑えない」

「あんたたちよくふざけてられるわね？わたしたちには才能がないのよ。あたしたちの全存在が否定されたのよ。あたしの演技も、あんたたちのそのハチャメチャなタップや歌も」

ズズ「あ、あ、あたし」

ポポ「わかる。みなまでいうな。あんたの気持ちは目をつむってでもおらにはわかる」

タタ「目見えないでしょ？あんた」

ポポ「ダークジョークだ」

タタ「笑っていいかわかんないわよ、それ。」

ズズ「ふ、ふふふっ」

タタ「はあ、まあいいわよ。私はタタ。あんた、名前は？」

ポポ「おらはポポ」

ポポ「おい、おめえさんは？」

ズズ「ズ、ズズ、ズズズ」

ポポ「ずいぶん長え名前だな。」

タタ「何文字？」

ズズピースサインをする。

タタ「うん。ズズ、ね？ズズ、タタ、ポポか」

ポポ「なんか汽車でも発車しそうな名前だなおらたちの名前くっつけると」

ズズ「ズズズズタタタタタポポポポポポポポ」

ポポ「夜汽車の煙は目に染みるなあ」

タタ「目見えないんでしょ？あんた」

ポポ「うん、ダークジョーク２だ」

タタ「リバイバルの苦いチョコレート映画みたいに言わないでよ。はあっ、ったく。疲れた。ふう・・・死にたい」

死神突然登場する効果音

　　　死神が煙の中突如現れる。

死神（１００）「ほんまでっか？」

タタ「わっ！びっくりしたあ。なによあんた？」

死神「死神」

ポポ「ほええ。死神か。本当にいるんだなあ」

タタ「どっから出てきたのよ？」

死神「あんたらの名前の夜汽車に乗って」

ポポ「あはははは」

ズズ「ふ、ふふっ」

タタ「もういいわ。なんでも。どうでもよくなってきた」

死神「まあ、まあ、そう言わんといてくださいな。お安くしまっせ」

タタ「金なんかあるように見える？私たちが」

ポポ「うん。金はない！だけど、透き通った未来だけはある」

死神「そのとおりや！いやあポポはん、あんたはんは分かってらっしゃる。あっしが欲しいのはあんたらのその透き通ったところてんのような未来や」

タタ「はあ。言い方次第ね。つまり、命が欲しいってことでしょ？」

死神「まあ、包み隠さず、のし袋も、リボンも、今流行りのカーボンニュートラルのためにレジ袋も一切つけずに素っ裸の心で言えば、タタはん、あんたのおっしゃる通りや。でもなあ、でも、そうなるかどうかはあんたら次第でっせ」

タタ「ったく、よくわかんないけど。で、あんたは何を差し出すの？私たちの命と引き換えに」

死神「じゃーん！これです！」

タタ「はあ？なによこれ？」

死神「リップスティック」

タタ「みればわかるわよ」

ポポ「おらは聞かにゃわからん」

ズズ「ふ、ふふっ」

タタ「もう！黙っててよ！話が進まないから。で？何なのこれ？ただのリップスティックってわけじゃないんでしょ？」

死神「さすが！タタはん！御察しがいい！まあ、要するにこのリップスティックの長さはあんたらの寿命や。使い切ったらあ、死ぬっ！」

ポポ「言い方がポップやな！」

ズズ「ふ、ふふふふふっ」

タタ「誰がそんなリップスティック使うのよ？」

死神「あんたらはんや！」

タタ「は？何で私たちがそんな呪いを好き好んで自分の唇に塗るのよ？」

死神「得られるからや」

タタ「なにを？」

死神「とびっきりの才能」

タタ「ばからしい。そんな話」

死神「まあ、信じるも仏、信じぬも仏ですわ」

タタ「仏じゃなくて死神でしょ、あんた」

死神「おっ、ナイスツッコミ！死神ジョークですわ」

ポポ「あっははっはは」

ズズ「ふ、ふふふっ」

タタ「で、どんな才能なのよ？」

死神「そうこなくっちゃあ！お嬢さん！でも、残念！それは分からん！あっしにはわからんのですわ」

タタ「なによそれ？ふざけてるの？誰が買うのよそんなの」

死神「結構売れるんですけどねえ。物を売っているのではなく人柄を売ってるからでしょうか？」

タタ「余計買わないわよ」

死神「まあ、まあ。リラックスリラックス」

タタ「で、どんな才能なのよ？」

死神「塗った人がその時点で一番欲する才能ですわ」

タタ「笑わせるわ」

死神「笑わせてるの」

ズズ「ふ、ふふふっ」

死神「まあ、いいじゃあないですか。効果がなければ二度とつかわなければいいだけの話じゃあないですか」

ポポ「そりゃあ、そや」

ズズ「う、う、うん」

タタ「そりゃあ、そうだけど。どのくらいなのよ？」

死神「なにが？」

タタ「だから、つまり、要は、その、一塗りで失う寿命」

死神「お、のってきましたねえ。お客さん！そうこなくっちゃあ！

でも、それもあっしにはわかりません。使い切ったら死ぬ。それだけは決まってますがね」

タタ「もういいわよ。私はもう舞台を降りるんだから。私に才能はもう、ないから」

死神「努力は？」

タタ「したわよ！死ぬほどね。自分でも呆れるくらいよ。毎日毎日喉の奥から血が出てその血を飲みこむひまなんてありゃしないくらい。ずっとずっと」

死神「おおおおっ痛そう。あっしには無理ですわ」

タタ「そうでもなけりゃね。やってけないのよ！私たちの世界ではね！」

死神「じゃあ、タタはんにもし才能があったら？」

タタ「きまってるじゃない！この銀河の一等賞の女優になれるわ。いえ、なり続けられるわ。私が死んだ後も永遠にね。想像できる？うねるような大観衆の波が息を止める無音の中、私の演技だけが観衆の脳の中を支配するの。最後のセリフが終わってピンスポットが消える。そして、真っ暗闇の一瞬の沈黙のあと、大観衆の狂ったような拍手が次に私の脳をかき乱すの」

死神「なればいいじゃないですか？」

タタ「そんな簡単なもんじゃない！あんたに何が分かるの？」

死神「さあ。あっしは学校も出てないおばかはんですからねえ。ただあほじゃあない。ひとつ明確に分かりますよ。あんたはんの夢をかなえる才能は、命で買える。好きなだけね」

タタ「夢がかなっても、死んでどうするのよ？」

死神「生きてても、夢がかなわなくてどうするんですか？」

タタ「それは」

死神「別にあっしは誘惑してるわけじゃあないんですよ。選ぶのはあんたはんや。死んだように長生きするか、命を削って夢を叶えるか」

ポポ「乗った！おらあ買う！」

ズズ「わ、わ、わたしも！」

ポポ「ズズ、おまえもか！よっしゃ！」

死神「はい！２丁お買い上げ！」

死神「タタはん、あんたはんは？」

タタ「はあ。ふう。わかったわよ！ったく。ひとぬり。ひとぬりだけ塗ってみるわよ。何も変わらなかったら殺すわよ。あんた」

死神「へい！おおきに！３丁お買い上げ！

死神「ほなあ、ここにサインしてくれまっか？」

タタ「何よこれ？」

死神「契約書」

タタ「いや、だから、なんのため？」

死神「いやあ、まあ口頭でも契約は成立するんですが、確定申告に必要なんですよ」

タタ「地獄で？」

死神「桜の開花時期も近いですからねえ」

ポポ「地獄の桜けえ。どんなもんなんだろなあ」

死神「まあ、そんな変わりまへんで。花見の場所取りが新人の死神の役目なのも、皆んなが持ち寄るつまみが唐揚げでかぶるのも。狭いもんでっせこの世界は。こっちと同じで。ただこっちと違うのは、桜の色が綺麗で透明な灰色なだけで」

ポポ「ほうかあ。じゃあおらには変わらんなあ色わからんから」

タタ「はいはい、いいから。ここサインすればいいのね。ほら、あんたらも早くサインして」

死神「まあ、一応この契約書の重要事項説明しますね。死神協会で義務付けられてるんですわ。まあ、マンション買うよりも重要ですからねえ。命と引き換えにする商品って。まあ、でも至極簡単な話ですわ。お客様の命でご購入されたそれぞれのリップスティックを、使い切ったら皆様方の命をあっしに差し出す。それ以上でもそれ以下でもないですわ。」

タタ「はあ。さっき聞いてわかってるわよ。ほら、書いたわよ。あんたらも早く書いて」

ズズ「か、か、書きました」

タタ「ほら、あんたも早く。サインはかけるの？」

ポポ「バカにすな。どこだ？」

　　　死神がポポの手を掴んで契約書のサイン欄に促す。

死神「ここでっせ」

ポポ「おらサイン書げねえがら、これで」

　　　ポポ自分の親指を前歯で噛み契約書に拇印を押す。

死神「おお、血の拇印でっが。今時珍しい。風情がありまんなあ。おっしゃ、これで契約３本正式に成立や」

　　　ズズがポポの親指に絆創膏を巻く。

ズズ「こ、これ、ば、絆創膏」

ポポ「ありがとなあズズ」

タタ「で、誰からリップスティック使うのよ？」

ズズ「お、お、おらから」

　　　ズズ、リップスティックを一塗りして、タップダンスを訝しげに始める。徐々に華麗なタップダンスになっていく。タタ、ポポが息を呑みどんどん魅了されていく。

　　　ズズタップを止める。

　　　一瞬沈黙の間。

ポポ「ほおおおお！」

タタ「上手いじゃ、ないの」

ズズ「ほ、本当か？な、なんか、い、いつもより少しだけ、う、うまく踏めた気がする」

死神「でしょ？そうでっしゃろ？これがリップスティックの力でっせ」

ポポ「ほな、次はオラや」

　　ポポが目を瞑りながら華麗な歌を歌う。

　　タタが目を見張る。

タタ「嘘でしょ？」

　　　ズズがポポの歌を聴きながら、もうひと塗りリップスティックを塗りはじめる。

タタ「あんた何してんの？命、削られていくのよ。塗れば塗るほど」

ズズ「か、構わない。ポ、ポポさんの歌を超えるタップを踏むにはこれじゃあ、足りない。もっと、もっと才能が欲しい」

　　　ズズが厚めにリップスティックを何度も自分の唇に塗る。

タタ「死ぬのよ？使い切れば」

ズズ「そ、それでもいい。し、死んだように長生きするよりも。輝きたい。一瞬でもいいから。よ、夜空を流れる流れ星のように。せ、世界の人達を、い、一瞬でもいいから、み、魅了したい。し、死んでもいいから」

　　　ズズは覚悟を決めた真剣な表情でリップスティックを重ねて塗る。

　　　リップスティックのキャップを閉める。

　　　ズズがポポの歌に合わせてタップをさっきよりもさらに華麗に踏む。

タタ「あなたたちにそんな才能が？」

ポポ「リップスティックの力や。でも、おらすげえ楽しい。ズズ、お前さんのタップに合わせて歌うのが。オラももっと、もっとうまく歌いてえ。鳥のように羽ばたいて、蝉のように切なく、花のように優雅に、風のように自由に」
ポポリップスティックを手に取り、何度も重ねてリップスティックを使う。

　　　ポポ一瞬覚悟を決めるように深い深呼

吸をして歌い始める。

他の３人はポポに釘付けになり歌を聞

き入る。

タタ「嘘でしょ？」

死神「嘘じゃあない。それは、タタはん自身

が一番わかってるんじゃないでっしゃ

ろか？どうされまっか？このまま、タ

タはんのセリフのように誰からも必要

とされないレシートに、ただ折り目を

つけつづけるだけの、ただの村人Aを

演じ続けまっか？それとも炎のように

激しく燃える名のある主演女優を演じ

ますか？それは激しく燃える上に短い

ですが」

タタ「最初から決まってるわよ。あんたと契

約した時からね」

　　　タタ、リップスティックのキャップを

勢いよく外し、何度も何度も自分の唇

に塗る。

死神「大丈夫でっか？そんなに最初から沢山

塗って」

タタ「私は女優よ。いえ、大女優よこの星のね。私の演技が舞台と大観衆を支配するの。ポポやズズに負けるようなそんな埋もれる演技じゃない。一番じゃなきゃ、意味ないのよ」

死神「そうこなくっちゃ！」

　　　タタ、深呼吸をして天を見上げ集中する。

タタ「この世で、最も憎むべき狂気とは、あるがままの人生にただ折り合いをつけ、あるべき姿のために戦わないことだ。ここに誓おう戦うことを。金も名誉ももはや欲しくはない。ただ、ただ、私の魂がそう囁く。一瞬の閃光に従えと。輝く星の道筋になろう。たとえそれ自身が輝くのではないのだとしても」

　　　ポポ、ズズ、死神がタタのセリフに聞き入る。

　　　一瞬の沈黙の後、大拍手が起こる。

　　　ポポは涙を流している。

ポポ「ええなあ」

ズズ「う、うん。な、なんかわからないけど

タ、タタが輝いて見えた」

死神「ええじゃあないですか。とても」

タタ「ふんっ。これくらい何よ。いくらでもいるわこんな女優」

　　　タタ楽屋の化粧台の鏡に向かい改めて丁寧にリップスティックを厚く塗る。

タタ「いい？私は言ったわ。この銀河の一等賞の女優になれるとね。足りないのよ。こんな才能じゃ」

　　　タタは残りの量を気にせずリップスティックを執拗に厚く塗り倒れる。

　　　死神が倒れたタタの手を取り脈を計る。

死神「ああ、死んではりますわ。使い切ったみたいですなリップスティック。えっと、１８時３５分３２秒ですね」

　　　死神黒い手帳に時間を書き取る。

ポポ「死んでしもうたか」

ズズ「お、お、おら」

死神「まあ、良い手本ということで」

ポポ「死んでしもうたのにけ？」

死神「ええ。学び取れたでしょ？このリップスティックの効果とその代償を」

ズズ「お、お、おら」

ポポ「才能け。誰もこの楽屋に観客はおらんのになあ」

ズズ「お、お、おら、た、タタに。も、もっと近づきたい」

　　　ズズリップスティックを勢いよく自分の唇に塗りたくる。

　　　ズズタップを始める。

　　　前のタップよりもどんどん華麗になっていく。

　　　それでもズズは踊りながリップを塗りつける。タップはどんどん上手くなっていく、それでも、どんどんリップを重ね塗りしていく。

　　　タップが終わり、両手を天に向けてポーズをとる。

　　　ズズ倒れる

死神「あれまあ、いうとるのになあ。」

　　　死神倒れたズズの手を取り脈を計る。

死神「ええと、１８時３７分４２秒ですね」

　　　死神黒い手帳に時間を書き取る

ポポ「みんな、死んでもうたなあ。生きてればいくらだってやり直しがきくのに」

死神「そうでっしゃろか？ポポはんは彼女らがほんまに不幸だと思いますか？才能をケツから手が出るほど欲しがっていた人たちが命と引き換えに手に入れたんでっせ」

ポポ「幸せは一方向じゃあない。いくらだって道はある」

死神「ええ、それも真実でっしゃろな。ただ、芸術家というのは、ある意味方向が盲目的に一つだから力があるんじゃないでっしゃろか？死ぬほどに自分を追い込むから力が出る。それがアーティストの逃れられぬ「宿命」ちゃいまっか？」

ポポ「ああ、そうがもな。それがオラだちの宿命なのがもしれねえ。でもオラは死にたぐねえ」

死神「夢が叶わなくても？」

ポポ「ああ。生きていでえ」

死神「そうでっか」

ポポ「歌を歌おうと思う」

死神「歌えてるじゃないですか？」

ポポ「いや、これからは、歌を歌おうと思う」

死神「禅問答みたいでんな？」

ポポ「わがっだっだんだ。歌とは何か。おめえさんだちと出会っで。たった２０分もない短い時間だっだがな」

死神「そうですか」

　　　死神とポポ握手する

死神「さよなら」

ポポ「おお、さよならだ」

　　　ポポ楽屋を出ていく。

　　　死神ポケットからタバコを取り出し吸う。天井を見上げ深いため息をつく。

死神「２０分で魂２つでっか。そんな死神業に熱意なんて、わい、ありゃあしまへんのになあ。何でわい、この仕事続けておまんのかのお。損な役回りや。人を感動させることも、何もありゃしまへんのに。これも、まあ、死神に生まれた宿命、なんやろなあ」

　　　死神が残された２本のリップスティックをタタとズズの手から拾い、手の平で転がす。

死神倒れているググとズズを見つめる。

死神さらに深いため息をつく

死神「はああ。３本で１００円の、何の仕掛けも魔法もありゃあしない、ただのリップスティックなんやけどなあ。「宿命」ねえ。」

　　　死神タバコの煙を気だるそうに天井に向けて吐く。

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今後も、随時オリジナル脚本を掲載していきますので「スキ」や「シェア」どうぞよろしくお願いします！コメントには必ずお返し致します。