見出し画像

🎈オリジナル短編脚本「シャボンと風船」

シナリオ・センター基礎科146期卒業生、現在は研修科受講生です。
オリジナルの脚本です。
基礎科の初期の時に書いた課題:「風」の作品を掲載します。
ぜひご高覧ください。
今後も、随時オリジナル脚本を掲載していきますので「スキ」や「シェア」どうぞよろしくお願いします!コメントには必ずお返し致します。


人 物

きいち(6)幼稚園児

檸檬(6)きいちが恋する幼稚園児

風船売りのおじいさん(80)

ママ(34)檸檬の母


🎈しゃぼんと風船




T:テロップ(字幕)

◯きいち(6)の部屋

豚の貯金箱をしげしげと見つめるきい

ち[Y2] 。新聞紙で貯金箱を包み込む。トン

カチを大きく振り上げて貯金箱を思い

切り叩き割る。新聞紙を開くとたくさ

んの小銭が出てくる。その小銭を乱雑

に掴んでポシェットに大切に入れ込

む。


◯きいちの家の庭

きいちはポシェットを自分の体に斜め

に掛けて自転車に乗って漕ぎ出す。何

度かポシェットから小銭がチャリンチ

ャリンと落ちる。きいちはそれを掴ん

でぎゅうぎゅうとポシェットに詰め込

む。

 

◯神社の祭り[Y3] 

沢山の出店が立ち並んでいる。きいち

はりんご飴やとうもろこし売り場の美

味しそうな商品の前で何度か立ち止ま

るが、意思の強そうな目でポシェット

を見つめ、通り過ぎていく。

 

◯祭りの風船売り場

きいちが風船売り場の前に立ち止ま

る。沢山の色とりどりの風船を見つめ

る。意思の強そうな目でポシェットを

握りしめる。風船売り場のおじいさん[Y4] 

がきいちに話しかける。きいちはポシ

ェットの中身の様々な一円から百円の

細かい小銭ばかりをおじいさんの両掌

にジャラジャラと広げる。おじいさん

は沢山の風船をきいちに嬉しそうに渡

す。おじいさんは、最後におまけとし

て赤いリボンをきいちに渡す。

 

◯祭りの風船売り場の前

きいちはおじいさんから買った色とり

どりの風船を自分の自転車に括り付け

る。最後に空を見上げ何か良いことを

思いついた様子で赤いリボンを一度握

りしめ、掌を開き、風船の持ち手の部

分を束ねて赤いリボンで一つにまとめ

て結ぶ。

Tときいちの声「大好きな、君へ僕からプレゼント」

Tときいちの声「赤いリボンで風船を、沢山摘んで花束に」

 

◯お花畑

きいちが汗をかきながらお花畑を左右

にかき分けるように全力で自転車を立

ち漕ぎしている。

Tときいちの声「風船飛ばぬように漕ぐ」

Tときいちの声「君の家まで全力で」

 

◯檸檬(6)の部屋

檸檬[Y6] はパジャマを着てベッドの中に入

りながら、読書をしている。ため息を

一つついて本を閉じる。ベッドから起

き上がると2階にある檸檬の部屋の窓

から空に向けてシャボン玉を吹いてい

る。シャボン玉はふわふわと風に乗り

空へ向かっていく。檸檬の家の前の道

路を楽しげな声を上げながら檸檬と同

年代の子供たちが通り過ぎていく。檸

檬はそれを見るとまた、ため息をつき

つまらなそうにシャボン玉を吹いてい

る。

Tときいちの声「君の部屋からシャボン玉」

Tときいちの声「風に乗ってふわふわと、2階から飛ぶシャボン玉」

 

◯檸檬の家の前

きいちは自転車を止めて、2階の檸檬

の部屋からシャボン玉が風に乗って空

へ向かっていく様子を見つめている。

Tときいちの声「直接渡せぬ赤いリボンは、君のママに渡しておくね」

 

◯檸檬の家の前

きいちはチョコレートをむしゃむしゃ

食べながら檸檬の部屋から風に乗って

出てくるシャボン玉を見つめている。

Tときいちの声「君のママがくれたチョコ、むしゃむしゃ食べ見るシャボン玉」

きいちは自転車に括られた色とりどり

の風船をほどく。ゆっくりと赤いリボ

ンを外す。風船とシャボン玉が一緒に

風に乗って空へ向かっていく。

Tときいちの声「おしゃべりじゃない君だから」

Tときいちの声「出かけられない君だから」

Tときいちの声「一緒にお空へしゃぼんと風船」

Tときいちの声「一緒にゆっくり飛んでいけ」

Tときいちの声「今だけ一緒に飛んでいけ」


最後まで読んでいただきありがとうございました!!!!

今後も、随時オリジナル脚本を掲載していきますので「スキ」や「シェア」どうぞよろしくお願いします!コメントには必ずお返し致します。


詳しい自己紹介と作品総目次が載ったサイトマップこちら
是非ご覧ください!ひとつは気になる作品が見つかるはず!!
https://note.com/fine_macaw394/n/n82e77e810373

粕谷 経 OSAMU KA|SUYA


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?