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ひたひた彩り川


黒々とした
流行りの感染水が
とうとうわが家を
吞み込んだ
妻も母も私も
たまたま里帰りしていた娘も
その子どもたちも
ざぶんざぶん
漬けられて
ぐわんぐわん
揺さぶられた

かくんかくんの私の体は
部品がぶっ飛びそうに
高熱を帯び
幾度も夢魔に絡まれた

一週間ほどで黒い奴は
引き上げて行ったけれど
体内には黒いシミがこびりついていた
コーヒーの香りも
みそ汁の味も
まるで消えてしまった
ゴホゴホ
不協和音の咳を吐きながらも
子どもたちだけは
跳ねまわっていた

浅い眠りを漕ぎ渡っていた未明に
雨音が響いていた
朝の光の透けるカーテンを開けると
曇天から霧のような雨
それでも西の方に
ぽっかり青空
見れば 彩り川
雲に洗われ
青に滲んで
ひたひた
  ひたひた
流れゆく

妻も娘も子どもたちも
私たちは
じっと眺めていた
宙から出て
宙に隠れる
彩り川
ひたひた
  ひたひた
流れゆく




   △▽△  ▼▲▼  △▽△  ▼▲▼

ご機嫌いかがですか。
朝夕に秋の気配が感じられるようになりました。

今回のテーマは、八月下旬に家族がまるごと新型コロナに感染してしまった暗い体験をもとにしています。
「軽症」と言えども、高齢者にはダメージが大きいです。
今も流行しています。感染対策を怠らないようにお願いします。

来週も水曜か木曜に更新する予定です。
また見に来てください。
私もみなさんを訪問します。

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