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恵みの島、奄美 6

軽食を終えると、奄美海洋展示館の内部に入って展示物を見学する。
まず入ってすぐのところに、高さ5メートルくらいの、割と深めな水槽があって、魚だとかウミガメだとかが泳いでいる。熱帯魚も多くて、見ていて楽しい。

私は水族館が割と好きだ。前に高知で、足摺海底館という、海の中をくり抜いて作った海中観察施設を訪れたことがある。その時は、ずっと見ていたいと思うほど、魚を見続けた。
沖縄にはよく行くのに、美ら海水族館には最近まで行ったことがなかった。行ってみて、行かなかったことを後悔した。私は自分が海で泳ぐのはそんなに好きではないが、海の中を見るのは好きだ。
奄美のこの施設は、実際の海を見せているわけではなく、海を模した水槽を展示しているのだが、それでも十分楽しめたし、何よりウミガメの餌やりが存外に楽しかった。

ウミガメの餌やり体験券を入り口で配布された時は、別にウミガメに餌なんかやらなくたって構わないよ、くらいに思っていた。しかしいざやってみると、これがなかなか楽しいのだ。そもそもウミガメの餌というのが、レタスだ。そのことにまず驚愕した。建物の2階に上がって、この施設の中央の大きなメイン水槽の上部から、レタスを水槽に投げ込むのだ。
レタスを投げ込むと、ウミガメではなく魚がやってきて、レタスを食べてしまう。2匹、3匹とレタスに集まり、分け合いながらなのか奪い合いながらなのか、レタスを食べるのだ。するとそれを見つけたウミガメが、のんびりとやってきて、魚からレタスを奪う。魚がかわいそうなので、その近くにもう一枚レタスを投げてやると、ウミガメの関心はそっちに移る、という具合だ。
水槽にはウミガメが3匹いて、3匹のうち、小さめな1匹は、全然餌を食べに来なかった。体が小さくお腹がいっぱいだったのだろうか、なにせ1時間に2度も餌やりタイムがあるのだから。
この施設は、他の水槽も含めて私にとっては興味が尽きず、楽しめた。

水槽の上からウミガメに餌をやる

帰りは行きと同じ道を戻り、途中ビッグIIに寄った。店内のブルーシールアイスクリームでアイスを買って食べ、夫をそこで待たせて私は買い物をした。
この日は、前日下見をした土産を、実際に購入した。ところが一日で品切れになっていた品が少なくなかったので、ちょっと後悔した。とりわけ黒糖のかりんとうは、買えなくて残念だった。奄美といえば黒糖なので、かりんとうはおいしいに違いないと思ったのだが、みんな考えることは同じなのだろうか。はたまたそのかりんとうが名物なのだろうか。
もずくなど、自宅用の土産も含めていろいろ購入したとはいえ、結構なお値段になり、ちょっと驚いた。それだけ買いたい魅力的なものがあった、ということだ。でもここからはあんまり買わないようにしなくてはならない。小さいスーツケースで来たからだ。こんなことなら海外旅行に行く時の、大きなスーツケースを持ってくればよかったと思うくらいだ(後で知ったのだが、ビッグIIでは配送サービスもやっていて、5000円以上購入した場合は、配送料も無料であったようだ。会計は当然、5000円をゆうに超えた)。

夫は部屋に帰りたいと言うのでホテルに送り、そのあと私は、ホテルの側の穴場のビーチまで、車で足を伸ばした。
奄美は、世界自然遺産に登録され、今後観光客が増えることが予想されているのだろうか。新たな宿泊施設が建設されていたし、他にも目新しい宿泊施設や、グランピング施設さえあった。今はまだ、良くも悪くも田舎なのだが。
しかし、穴場のビーチへは道が狭く、果たして本当にここで合っているのかという不安を掻き立てられた。夫が助手席にいないので心細い。幸い対向車には遭遇しなかったが、穴場ゆえにビーチには大きな駐車場もなかったため、車から降りることさえせず、私は引き返した。

にもかかわらず、懲りずに私はハートロックにも向かった。
ハートロックという、その名の通りハートの形の岩の名所が、ホテルの割と近くにあったのだ。カーナビがその場所を拾わないので(ナビは、本土のハードロックカフェなどを案内する)、仕方なく、iPhoneのマップを頼りに向かった。幸い場所はわかりやすかった。
問題は車を降りた後だ。鬱蒼とした森のようなところを通らないと見に行かれないようだが、一人で薄暗い森に入るのは、なんとも心細い。勇気を出して森に入り、森を抜けると海に出る。しかし、海にはハートロック、という簡素な看板はあるものの、果たしてそれがどこなのかは全然わからないし、そもそも海には人っこ一人いない。
仕方ないので海に近づくと、もしかするとこれかな、と思うような岩が、波が引いたときだけ顔を出す。干潮の時しか見られない岩なのだそうだが、干潮から数時間経っただけでもう隠れてしまうとは、海を舐めると恐ろしい。しかし岩はいくつかあったので、果たして私が見たのが本当にハートロックであったのかは不明だ…。

このような森をくぐって向かう
これはハートロックだったのだろうか?

この日の夕食は、ホテルで予約してあったので安心だった。美味しい郷土料理と焼酎を楽しんだ。
焼酎は普段飲まないのだが、本場の黒糖焼酎は美味しかった。ただ、アルコール度数が高いため、存外に酔ってしまったのだったが。 

ホテルの夕食
近海で採れた魚と海老
もずくの天ぷらはよいツマミになる
豚足の煮物は柔らかかった


〈7へ続く〉

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