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「都市にひそむミエナイモノ展」で見えてきたもの

会期終了までもう後わずかという土壇場で「都市にひそむミエナイモノ展」に行ってきましたので、感じた事を書いていきます。


コンセプト(fromオフィシャル)


都市にひそむミエナイモノ展 Invisibles in the Neo City @SusHi Tech Square 1F Space (tokyo.lg.jp)

人やAI、生き物が抱く記憶や気配、生活を支える技術など
都市にひそむ多様なミエナイモノを体験し想像する展覧会
私たちの都市生活には、多様な“ミエナイモノ“がひそんでいます。人々が都市に抱く、記憶や愛着、気配。VRやAIなどテクノロジーの進化がもたらした、様々な技術。本展では、これらを“ミエナイモノ”と定義し、8組の若手アーティストによるメディアアートの展示や、都市生活を支える隠れた技術の紹介を通じて“ミエナイモノ“を可視化することで、未来の都市生活を想像するヒントを提供いたします。

メディアアートを鑑賞・体験することで、未来の東京についてみんなで考えるきっかけをつくることがこの展示シリーズを通じた目的です。会期中には作品鑑賞ガイドツアーを毎日実施する他、週末には作品に関連したワークショップやイベントを多数開催し、来場者に主体的な想像や思考を促します。今年8月〜11月に開催し好評を博した第1期「わたしのからだは心になる?」展では私たちにとって最も身近な「身体」をテーマにしましたが、第2期では「都市」をテーマに、より「体験」していただける展示を展開します。

都市にひそむミエナイモノ展 Invisibles in the Neo City @SusHi Tech Square 1F Space

どこでやってる?

SusHi Tech Square

JR有楽町駅のすぐ近くにあった無印良品 有楽町店が今はなんとアートスペースになっています。しかも東京都が積極的にバックアップをしている様です。

いくら?

入場料が何と無料です!
有楽町駅近で天井の高い開放的な空間でテックに触れることが出来るなんて、超優良イベントです。

会期は?

2023年12月15~2024年3月10日
ごめんなさい。この記事がアップされる頃にはもう蛍の光がなり始める会期終了ギリギリなのです。それでも記事で残して置きたい程、感銘を受けましたので幾つか展示されている作品を紹介していきます。


レガシーの残し方”Metabolism Quantized”


銀座の中銀カプセルタワービルを3D空間スキャンデータで再現して、アバターのキャラクターを操作してワクワク中銀ツアーが出来る!
建築に詳しくない人でも必ず見たり、聞いたりしたりした事がある、あのカプセルタワービルですよ。私も何度か目の前を通った事があり、見るたびに圧倒されました。そしてやはりビルの中が気になっていました。
今は取り壊されてしまっていますが、その建築物を渡辺篤史の建もの探訪の様に歩き回れるのです。「いいですね~」
これはデジタルを使ったレガシーの残し方ですね。
この方法だったら例えば東急東横線の旧渋谷駅や香港の九龍城など、当時の記憶と共に残しておく事が出来ますね。
3Dは写真の様な平面や人のスキルに依存されない、万人にシェアできる素晴らしいアルバムです。

AIに勝てるのか? ”How (not) to get hit by self - driving car”


会場に引かれた横断歩道。そこをAIに”人”として判断されずに渡り切るゲームです。従来のゲームだと一度ゲームオーバーになってもコンピューター側のパターンをプレイヤーが把握して、ゲームクリアをしていくものですが、本ゲームはAIが負けた=人として判断されなかったデータが溜まって学習していくので、会期の後半になるにつれてAI側のレベルが上がっていくのです。負けを積み重ねて強くなっていく正にサイヤ人のようなAIに勝つのはムリゲーになるのではないでしょうか。

人工生命による100人村”かぞくっち”
大きな卓上の上に小さな箱型ロボットが数体移動する展示があります。
その箱型ロボットにはモニターが付いていてモニターには様々な形や色をした人工生命が数個映されています。この小さな箱型ロボットは一つの家族を意味ます。男性、女性の違いもあるのです。ここは一つの世界です。10分置き程度に昼と夜がやってきて、行動パターンの変化により、形や色が変化していきます。
しかもこの世界の男性はすべて不貞を働きます。他の箱型ロボットに接触するとぶつけられた側の家族に子供が一人生まれるのです。
”かぞくっち”ならぬ”うわきっち”はしかも寿命まであるので、働いて、やって、増殖して、寿命がくる。
このような世界を勝手に構築していくのです。
いやはや、人工知能による町や国家というのも、現実味を帯びてきましたね。

教えて!〇〇先生!"Artifical Discourse:すばらしい新世界に向けて"


昨今ではChatGPTで卒論を書く大学生やAIにプログラミングを書かせるなど人間によるクリエイトとは何かを問われる場面が増えてきました。
この展示はまさに人間不在で議論をするというもの。
ChatGPTに複数の人間を、人格をシミュレートさせて「ウクライナ-ロシア戦争について」「男女差別について」のような問題について議論させるものです。目の前にはモニターがあり三人のAIによる擬似人間が映し出されて会話をします。
AIによる「朝まで生テレビ」やコントも可能なのではないかと驚嘆しました。


余白な休憩場"プレイグラウンド"

その他にもTOKYOオリンピックに関する展示や東京の自然動物に関する展示などもありましたが、これらの展示の中でも輪をかけて良かったのが、会場中央にある”プレイグラウンド”です。

所謂、休憩場所なのですが、子供向けに積み木や粘土のようなオモチャが置かれていたり、本展示や企画に携わった人たちのおススメ書籍が平積みされておりました。

会場中央に置かれた、何をしてもいい空間で、何をするか。
本を読んでもいいし、スマホ触ってもいいし、オモチャで遊んでもいいし、寝てもいい。

テックとは対極にある人間らしさ、遊びが、会場のど真ん中にあるのが
素敵だなと思いました。

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