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母は闘い、子は暴れる…【妊婦エッセイ#2(妊娠8週~11週)】

妊婦エッセイ第2回は、妊娠8週〜11週(3ヶ月)の出来事を題材に書きたいと思う。
つわりがやって来た辛い時期。どんな状態・気持ちだったか、対処法についてなどを書き残してみる。

(妊婦エッセイ#1はこちら ↓)


それはドラッグストアの芳香剤コーナーを通りかかったときだった。突然、「この場にいてはならない…!!」という衝動に駆られたのだ。

ついにやってきたアイツ

今まで何とも思ってなかったのに、色んな匂いが強烈に感じるようになった。そう、つわりの到来だ……。

芳香剤の香りから始まり、排水口や生ごみ、ついには冷蔵庫内の匂いもダメになり、料理することは難しくなった。これはいわゆる「においづわり」だと思うが、私の場合はこれだけではない。

何かを食べていないと気分が悪くなる「食べづわり」もあり、飴やちびちび食べれる蒟蒻ゼリーにお世話になった。

あと、何かをじっと見ていると気持ち悪くなるので、パソコンはもってのほか、ひどい時はスマホさえ見てられない状態。

挙げ句の果てには、食材が目に入るだけで気持ち悪くなる謎の現象も起こり、スーパーは急に危険地帯になった。(食材の写真を見ただけでも気分が悪くなったときは、さすがに驚いた)

幸い、吐いてしまうなどの重い症状はなかったが、じゅーーぶん辛いものだなと実感。始まってから1ヶ月は正直なんにもやる気が出ず、ただ食べて寝てを繰り返す日々だった。

疲れやすいのは身体からのサイン?

さらに、匂いとは関係ない場所にいても、少し動くだけでどっと疲れるようになった。洗濯物を取り出すだけでも大変で、洗濯機の前に折りたたみイスを置いて、くちゃくちゃの服を出しては座り、出しては座りを繰り返すような有様。

私は自宅で家事をしてるだけなのに、なんでこんなに疲れちゃうんだろう。出勤してる妊婦さんは大丈夫なんだろうかと、つい思いを馳せた。

つわりが起こる妊娠初期は、まだ不安定な状態なので無理は禁物、とよく聞く。疲れやすいのはきっと、身体からの「無理するなー!」というサインなんだろう。

それにしても、私の場合はこの状態が1ヶ月続いたわけで、一般的な体調不良とは比べ物にならない大変さだよなと改めて思った。もし通勤していたらと考えると……絶対ムリだったな。ほんと、世の中の働く妊婦さん達は大変なんだ。もっと労わってあげて欲しい…。

救いはポケモン

出来ることがものすごく限られる生活に飽き飽きして、前から気になっていたゲームを購入した。

「ポケットモンスター Let's Go! イーブイ」。イーブイを相棒にできる・ポケモンに乗れることに魅力を感じ、購入を迷ったこともある。そんな経緯もあり、どうせ何も出来ないし、気分転換に買っちゃおうという訳で購入した。

これがまあ、大正解だった。可愛いイーブイに癒されるし、ポケモンのアニメを思い出すような演出も多くて懐かしい。スマホもろくに見れなかったのに、ゲームは楽しんで出来たのだった。

つわり中は、気分転換が本当に大事だなと思う。下手したら一日中、「体調悪いな〜、いつ終わるんだろ」しか考えられないので、気を紛らすことは心の安定を保つ秘訣かもしれない

暴れん坊疑惑

私はつわりで辛い状態だが、赤ちゃんはどうなのか? ずっと疑問に感じていた。妊娠についての本には「つわり中も赤ちゃんは問題ない」とあるが、本当なのか?

妊娠9週目の診察を受けたところ……赤ちゃんは特に問題なし。それどころか、まだピクミンみたいな二頭身なのに、なんだか物凄く動いていた。まるで「ここから出せー!!」と言っているかのように。

先生も「・・・元気ですね」と言うくらいに、そりゃあ元気。このとき私は、将来暴れん坊が産まれてくるかもしれないと、少し覚悟した。

母子手帳の威力

赤ちゃんの暴れん坊具合を確認できた診察時に、病院から妊娠証明書を貰い、その日のうちに役所へ。なんだか色々な説明を受けて、やっと母子手帳をいただいた。

今までは、妊娠しているのに証明するものがなく、「妊婦なんだけどな」と「ほんとに妊婦だよな?」を行ったり来たりする、不思議な感覚があった。

けどやっぱり母子手帳をもらうと、「ああ、親になるんだな」という実感がぶわっと湧いた。"母”って私のことだよなって、名前を書く欄を見て強烈に思った。

あなたは妊婦ですという証明を貰えた安心感もあり、あなたは母になるんですという責任感も同時にやって来る。母子手帳とはそんな存在だ。

長いトンネルも、いつかは抜けることを信じて……

つわりの何が怖いかって、いつ終わるのか、本当に終わるのか分からないことだ。終わる時期は人それぞれだけど、いつか、必ず終わりは来る。妊婦さんには、そう信じて、なるべくゆったり構えて過ごして欲しいなと心から思う。


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