友と分け合う瓶ビール

僕は半年間学校に行かなかった。

というのも不登校とかそういう問題ではなく、就活として学校に行かなかったのだ。

この判断が良い悪いは置いておいて、友人と会うことが何よりきつかったと思う。

内定をもらい満足に就活を終えた友人を見るのがきつかった。僕だって内定は持っているけれど、ここで辞めたら一生妥協してしまいそうな気がした。

これまで一本の道を進んできて、何となくで自分に合う偏差値の高校に通い、何となくみんな大学に行くんだろうな、僕もその道でと進学を決め、無様に浪人し、大学へ通うことになった。これからも何となくで企業に就職して、なんとなくで結婚してなんて考えていて誰がついてきてくれるだろうか。

ここらで一回考えを改めておきたかった。

それで就活を続けてきた。そんな中で友人に顔を出さずに久しぶりに酒を飲もうなど少し抵抗はあった。何を思われるんだろうと少し不安だし、惨めに同情されるのが嫌だった。けれども彼らは同情しなかった。僕を叱咤したし、励ましもした。褒められた。自分の道を決めるのに褒められるとは如何なることかと思うが、僕はとても嬉しかった。

こうして夜は進む、酒も進む、その日初めて僕は友と瓶ビールを分け合って呑んだ。

いや節約したいからとかそんなわけではなく、昔から父親とその友人らが、出先で瓶ビールを注文しそれらを分け合って呑んでいた。その風景が懐かしく、僕にとっての憧れでもあったのだ。

呑んだ感じたのは、

一種の感傷

大人になるっての積み重ね、今後この友人たちとはどうなっていくのだろうか、残り半年しかない学校生活の中であと何回酒を呑み交わすのだろう。もちろん彼らには彼らの生活圏があり、それを犯してまで酒を飲もうなんて思わない。だからこそ余計に今が悲しく、「もっと会っておけばよかった」なんて後悔が付きまとうのだ。

友と分け合う瓶ビールの味は苦く、苦味と痛み。

また一つ大人になった。そんな1日だった。

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