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会田誠 「青春と変態」

「変態がここにいます!!」
僕がこの本を読了した一言目です。

会田誠という現代美術家がいる。
現代美術家のイメージは「何かを訴え続けている」印象。

現代美術家の活動内容を調べた。
その分野は無知に近い為、具体的な日常の活動を想像出来ないので、とにかく「変な人」と勝手に自分の中で結論付けていた。

それにしても、会田誠さんの著書は、個人的に気になる題材が多い。
「天才でごめんなさい」「美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか」「青春と変態」等々。
ふと、立ち寄った古本屋で手に取ったのが「青春と変態」

「青春と変態」というタイトルに惹かれ、風変わりな表紙を一目見て購入。
この作品は、日記形式で綴られた青年の葛藤と成長を描いた小説です。
読了した感想を簡潔にまとめると、著者観点の偏愛的エロスや写実的グロテスク、道徳性を曝け出した凶暴な本というイメージ。

内容の概要
物語は昭和56年を舞台に、高校生の青年が自身の日常と内面の葛藤を日記形式で語ります。十代の男にとって、自意識と性が全て。そんな時期、主人公となる会田少年は、直接的な性行動ではなく、「女子トイレの覗き」という歪んだ行動を取ることに。

印象に残ったポイント
特に印象的だったのは、執念感じる会田誠青年の率直で大胆な行動。また、日記形式であることで、主人公の内面の変化が実にリアル。過度な変態行為に勤しむ会田青年。その反面、女性に対して純真な部分もあり、時に誠実、恋愛に奥手な男子高校生の一面も描かれている。

作中に感じたテーマ
本書が伝えようとしているのは、青春という純粋な時代の裏にある、変態的な欲望や葛藤です。これらの対極的な要素が、どのように混在し、そのはけ口の行方が、青年の成長にどう影響を与えるかが描かれています。


学んだこと下記二点
人の歪んだ情熱の計り知れなさ
個人の歪んだ情熱は他人では到底計り知れない事。このことを、会田青年の行動を通じて強く感じる。彼の異常なまでの執着心や独自の視点は、他人には到底理解できない。余計なものを介在させると純度が薄れるため、他人に介入させるべきでないのかもしれない。

先入観の不必要さ
愛する人が排泄する瞬間をあなたは見たいか? 見たいような見たくないような。「罪深い乙女の涙ながらの懺悔を聞きながら神父が自慰行為する、という映画を観たことがある」ことから、一種の先入観の不必要さを感じた。新しい経験や特殊な視点を受け入れる時々、疑いの目や根本的主旨を挟む。より深く物事を理解する為、ある集合を知るために補集合を知る必要性を再認識した。

まとめ
読み始めは「こいつ(主人公)アホやな~」と笑いながらも、他のミステリー小説を読むペースより早く読了してしまった。著者の話の引き込み方が秀逸なのか、自分がこの作品に親近感を感じ思わず読み進めてしまったのか、どっちなのか。自分も著者同様に、曝け出すと、恐らくどちらでもあるだろう。

著者(変態)とは共感したくない。
しかし、この作品は自分の記憶に残る一作品であり、強烈な刺激があったのは間違いない。出来ればこの衝撃は記録しておきたいと感じながらも、自分の知人に「こんな本読んでいるのか」と認知されたくないなと感じながらnoteの記事にしました。

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