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ゆるふわダブルスーサイド

ゆるふわダブルスーサイド

 同じ職場で知り合った福寿紡は、私と似たような悩みを抱えている。はじめの集団研修でたまたま同じグループになっただけだけれど、こんな人がいるんだと面喰らったものだ。仲良くなるのに時間はかからなかった。
 さて、私たちの職場はいわゆるシフト制で、休みが合わないことが多い。けれど、月に一度は同じ日に休みを取って、プライベートで会う機会を作っている。今日は私の家だから、次は福寿の家になる予定だ。
 二人掛

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一人暮らし+α その2

一人暮らし+α その2

 深夜。アルバイトから帰宅して早々に、幸のタックルが腹部を襲った。何すんだこいつ。
「遅い」
「遅くなるって言っただろ。あと痛い」
「こんなに遅くなるなんて聞いてないわ。あんなに朝早く出ていって、夜もこんなに遅くなることなんてなかったじゃない」
「大学行ってからバイトだったんだからこれくらいの時間になるだろ普通」
「私は寂しいと死んじゃうのよ」
「座敷童子が死ぬって何だよ……。雪降るくらい寒いんだ

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色とりどり。 冬

色とりどり。 冬

 鍋を食べたい、と。
 そう言ったのは事実だ。当然だが調理器具の鍋をバリバリ食べたいわけでなく、鍋料理を食べたいという意味。冬といえばやはり鍋だろう。しかしながら暗闇の中、橘花、咲花と鍋を囲むこの状況は、想定していたものとはいくらかのギャップがある。
「なーんで闇鍋になるかなぁ…」
「花霞が鍋食べたいっていうから」
「なんで頭に闇を足した?」
 もう少し他にも付け足せる言葉があるだろう。世の中にど

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一人暮らし+α

一人暮らし+α

 久しぶりにバイトもない日曜日。起きて早々飛び込んできたのは、ひどく不満げな幸の顔だった。
「たまには構ってくれてもいいと思うの」
「……ちゃんと毎日構ってやってるじゃねえか…」
「いいえ。いいえ、そんなことないのよ。幸也はここのところ、明日も朝からバイトだとか大学の課題がどうだとか言って、ほとんどご飯食べて寝るだけの生活だったじゃない。私を部屋の隅に追いやって」
「追いやるも何もお前は隅っこ大好

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隠世見聞録

隠世見聞録

 泉の水は青く透き通っていて、木々の隙間から差し込む陽光を受けてきらきらと光っている。神秘的な光景だ。そんなところに、気がつけば私は立っていた。
「考えてみたらさあ。自分の人生ってなんだったんだろうなあって思っちゃうわけよ」
「はあ、それはどういう?」
「うーん。服とか玩具とか、欲しいっていっても基本お下がりだったし、高校も大学も行きたかったところは落ちて滑り止めだったし、就活も何十社もお祈りされ

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色とりどり。 冬

色とりどり。 冬

 一年の計は元旦にあるというが、今年の元旦に計画を立てた覚えはないし、何をしていたかも定かではない。いつものように部屋で寝転がってゲームをしていたかもしれないし、テレビを見ていたのかもしれない。少なくとも、今のように公園のベンチに座ってなどいなかった。
「さっむぃ……」
「ほんと寒がりだよなー」
「お前はいいよな、寒さに強くて…」
「んー、まあ寒いは寒いけどな」
 隣に座る咲花は手袋もマフラーもし

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色とりどり。秋

色とりどり。秋

「秋ってあんまりイベントないよね」
 思い出すのも嫌になるほどの猛暑を記録した夏がようやく終わり、そろそろ袖の長い服が必要になるよな今度買いに行くかと咲花と話していた時だ。
 人様のベッドを占領した橘花がぽつりと言った。
 俺たちの中での暗黙の了解というか謎ルールというのだろうか。俺の部屋に集まると俺と咲花は床に座り、橘花がベッドに座るか寝転ぶかする。そのまま寝入ってしまうこともあるが、大抵はスマ

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色とりどり。 夏

色とりどり。 夏

 今年の夏も、結局夏らしいことをしなかったなという話になった。
 海はおろかプールにも、祭りにも行っていない。夏らしいレジャーを楽しんでいない。はて、おかしい。俺たち三人はこの夏休み、ほとんど毎日集っていた。それなのにこの体たらく。
 しかして、「暑いから出たくない」という咲花の意見と「日焼けするから家にいたい」という橘花の主張。ついでに俺の「積みゲー消化したい」という願望。全てを加味すればそうな

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色とりどり。夏②

色とりどり。夏②

「キャッチボールじゃ代わり映えしないし、昨日とは何か違うことしようよ」
 そう言った橘に、一も二もなく頷いた俺たちだったが、肝心の何をやるかはなかなか思い付かなかった。
 振り返ると、昨日はキャッチボールに飽きた橘花の要望でゲーセンへ行き、目的だったはずのプリクラはガン無視して「勝負だ、かかってこい野郎共」と意味のわからない挑発を繰り返す橘花を二人してエアホッケーでボコボコにして。その後「こっちな

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ボーイがミーツするっていったらそれはもう。

ボーイがミーツするっていったらそれはもう。

 家に帰っても特にやることもないので、放課後は屋上で時間を潰すことが多い。というか最近はずっとそうだ。
 無為に過ごす時間を、共有する友人が出来たから。
「和音はさ、部活とか入んないの?」
 梅雨の晴れ間、心地好いとは言えない生温い風を受けながら、明空紫音はそう言った。
 スマホで動画を見ていた俺は、脈絡もない質問に顔を上げる。紫音はフェンス越しに校庭を眺めているようだった。野球部だかサッカー部だ

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