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熟した柿を味わうことは‥🍂

知り合いからたくさんいただいた柿が、あと二つになった。これは、柔らかくなるまで待って、スプーンで掬って食べるんだ、と思ってとっておいた。

それを今朝、食べた。甘い!舌触りも滑らかで心地良い。そして、凝縮された柿の風味がじんわり広がって、まさに頬っぺたが落ちそうになる。よく熟れたものだからこその恵みを贅沢に味わっている喜びもある。

この食べ方は、私が小さい頃から、祖母と母がしていた。いただきものの柿がたくさんあると、そのうちのいくつかは、こんな食べ方をするためにとっておいた。そして、二人でスプーンで掬って食べていた。とっても嬉しそうで、素敵で、ちょっと憧れた。

私は、美味しいから食べてごらんと言われても、なんとなくそのグチュグチュした感じが嫌で、いらない!と言っていた。

祖母と母は、あまり似ているようには思えない親子だったけど、その時、とろーんとした柿を丁寧に食べる姿はなんだかそっくりだった。スプーンを持つ長い指とか、少し丸めた背中とかをじっと観察して、ああ親子だなぁと子供ながらに思ったりしたものだ。

私が、この柔らかい柿を味わうようになったのは、ほんの数年前からだ。余りものの柿がだんだん赤みを増して、少し透き通ってくるのを見て、食べてみたいと思ったのだ。こういうものを美味しく感じるのは、いよいよ本当に大人になったということなのかと、思えた。

そして、そんなふうに思えるくらいに歳を重ねて、こうして元気でいられるのは当たり前のことではないんだとも思う。一人でそれなりに頑張ってきたような気がしてしまっていたけれど、祖母や両親に見守られて、無意識のうちにも様々なことを教えられて、世の中の色んな立場の人達に助けられて、いつのまにかこんなに大人になっていたんだなあ。

自分は、色んなことがあったけど、果てしなくも思える年月をなんとか無事に生きながらえてきた。今はまだ若者である子供達が、私の年齢になる頃、この熟した柔らかい柿を食べたいとは思わなくても、ああ無事に大人になったんだなと穏やかに思えるようであって欲しい。その時、世の中が、明るくて平和であって欲しい。
そんなことをしみじみ思った。

そのためにも、まず、今日を朗らかに過ごそう。
季節の美味しいものをありがたく味わって、嬉しい気持ちを大事にしよう。

そんなことも、私は、知らないうちに周りの大人達から教えてもらってきたのかもしれない。🍁




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