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エッセイ:生理用品を買えない貧困JKと「きたない君がいちばんかわいい」

 Twitterを眺めていたら、女子高生達のツイートが流れてきた。それぞれ違うアカウントの子たちが貧困に陥っていることを呟いてるのですが、中々に深刻な内容で驚く。

 それこそ、スラムか何かの出来事を見てるかのようで、日本はここまで貧しくなったのか……と、衝撃を覚えた。

 中でも、生理用品を購入することが出来ないため、切ったタオルをシート代わりにしてるというエピソードは酷い。
 同じ物を洗って繰り返し使っているらしく、衛生上、どうしても限界があることをネットに愚痴として書き込んでいたのですね。文面を読む限り、そのタオルさえも満足に用意出来ない様子。

 「少しでも蒸れを軽減するために剃毛すれば良いんじゃないか?」と思ったけど、恐らくは100円、10円単位で困っているだろうし、カミソリ代すら用意できるのかどうかも微妙なのでしょう……。ネット代だって馬鹿にならないはず。

 今も血と汗と尿、オリモノでかなり不快感を覚えながら暮らしているんでしょうね。誰だって清潔でいたいだろうし、これは生き地獄の一種でしょう。
 明確なSOSの発信なのだろうし。可哀想だとは思うんですよ。しかし、ある思いがよぎった。

「この子は逆の立場だったら、僕という精神障害者に同情してくれたんだろうか?」

 それは数々の、差別から来る暴言、罵詈雑言。悲しい気持ち、そして強烈な恐怖が襲ってくる。その臨場感に腕が震え出していました。
 実際、今でもフラッシュバックすることあるし、急に汗がダラダラ流れてくることさえある。あまりの緊張状態でその場にへたり込みたくなる。

 僕は精神薬の類が全く受け付けない体質なので(効かないどころか逆に大声で暴れ出してしまう)、薬で軽減させることさえ出来ないんですよ。錯乱し過ぎてリストカットした血を顔に塗りたくってしまい、ドクターストップが掛かりました。

「もし、この子が見るからに奇行を働いていたら、冷めた目で僕のことを見ていたんじゃないか?」と思うと背筋が凍り付く。

 だったらいっそのこと、「全部壊れちゃえばいいのに、もっと惨めになって欲しいな」というのが本音だったのです。自分と同じになって欲しい。汚物に塗れていて欲しい。

 何で顔も声も知らない女子高生に粘着してるんだよ? と思われるかもしれませんが。
 恐らくは、僕自身が13〜19歳くらいの時に体調が悪化した時の記憶を抱えているからでしょう。青春時代の影を引き摺っている。

 そんなことを考えていたら。ふと、頭の中にある百合漫画のタイトルが思い浮かんでくる。

「きたない君がいちばんかわいい」

 この漫画は、無理矢理ヘソピを空けたり、嘔吐させたり失禁させたり……などと、徹底的に「汚い」ことをさせていくのです。
 自分の出した吐瀉物や排泄物に塗れた女の子に歪んだ愛情をぶつけていく……という極めて偏執的なもの。可愛らしい絵柄とハードコアなSMのギャップが凄まじく、マニアには堪らないんじゃないかと。

 僕にSMの趣味は無いのですが、綺麗な存在が汚くなっていく姿に心を揺り動かされる……というのはわかる気がする。「可哀想な存在」に対して哀憐みたいな感情が溢れ出てくるから。

 相手が可哀想な状態だからこそ、僕の心に「哀れみ」が生まれたのであって。今までの平和な世界ではどうなっていたんだろう?

 その女子高生のツイートはSMとは違う意味合いで僕に「救い」を与えていた。
 貧困から弱り切って生理用品すら用意出来ない少女、陰部からはきっと、血生臭い、本来なら決して交わることのない人間。僕が欲しくても手に入れられないもの……。何もかも持ってる女性。

 そんな人間が僕と同じような位置に堕ちてきてくれる。「きたない君がいちばんかわいい」と思った。だって、君は僕のことを好きになってくれないから……。

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